オーストラリアのワイン法

                   平成23年12月

                        髙橋 梯二

  この資料は、日本醸造協会誌 VOL107 2012 6月に掲載されたものである。     

     
    I オーストラリアのワイン法の特色

 

オーストラリアのワイン法は、オーストラリアワイン及びブランデー公社法(Australian Wine and Brandy Corporation Act 1980)(以下「ワイン法」という) 及びオーストラリアワイン及びブランデー公社規則(Australian Wine and Brandy Corporation Regulations 1981)(以下「ワイン規則」という)から構成されているが、また、オーストラリア・ニュージーランド食品基準(Australia New Zealand Food Standards Code 1991)(以下「食品基準」という)も適用になっている。

 

1 ワイン法の対象及びワインの定義

ワイン法は、ワイン及びブランデーを対象としており、ワインの定義は、「新鮮なブドウ若しくは新鮮なブドウのみからつくられる産品の完全なあるいは部分的な発酵によるアルコール飲料」と定義している。また、ワイン法にはアルコール分についての規定はないが、食品基準に8度以上と定義されている。さらに、食品基準には、「果実ワイン」、「野菜ワイン」という用語もあり、これらも「ワイン」の用語を用いることができる。

なお、「新鮮なブドウ」とは、水分60%以上のブドウと規定されている。

 

2 ワイン法の目的及びオーストラリアワイン公社の役割

ワインとブランデーの輸出の振興と管理を第一の目的とし、併せて、これらの産品の消費の拡大も目的としている。この目的達成のため、オーストラリアワイン公社(以下「公社」という」を設立し、ワイン法の目的のための具体的な施策の推進に関する権限を全面的に公社に付与している。従って、公社は法令には従わなければならないが、具体的な施策の運営に当たっては原則として政府からの指示は受けないことになっている。

 

3 適正ラベル計画 (Label integrity program

この計画は、オーストラリアで生産されるワインにおけるヴィンテッジ、品種及び地理的表示についてのワインの表示が真実であり、真実であることの信頼性を高めることを目的としている。その内容は、ワイン関係業者に対する記録義務(トレーサビリティ義務)、公社が任命する検査官の立入検査を含む検査、公社の関係業者に対する資料要求権限である。ただし、この計画はオーストラリアのワインのみに適用され、公社が全面的に管理している。

 

4 表示に関する規制

 オーストラリア及び海外の地理的表示、伝統的表現などの保護についてはワイン法において規定し、オーストラリアのワインについての品種表示、ヴィンテッジ表示、地理的表示などワインに特有の表示はワイン規則で規定している。アルコール度の表示などその他の食品と共通する表示基準は食品基準によっており、ワインの表示基準はいくつかの法令で規制されている。

 なお、オーストラリアの法令には、「ジェネリック・ワイン」、「ヴァライエッタル・ワイン」、「ヴィンテッジ・ワイン」の分類はない(アメリカのワイン法にはこれらの分類の規定がある)。

 

(1)地理的表示や伝統的表現の保護

これは、WTOTRIPS協定(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定 1994)やEUとのワイン貿易に関する協定など国際協定に基づく義務の履行を定めたものであり、「誤った表示」と「誤認を招く表示」に分類し、違反に対しては2年の禁固という重い罰則を適用しており、これは貿易重視の現れと思われる。

 

(2)ブドウ品種、ヴィンテッジ及び地理的表示の表示

他の国の表示基準とほぼ同じように、85%、95%以上などの表示できる容量割合を定めている。優良誤認を招きやすい表示、つまり、割合の少ない優良品種やヴィンテッジを表示することを禁止する規定が設けられている。

 

(3)EUとの協定に基づく表示規制

オーストラリアのワインがEUに輸出される場合、「White Burgundy」などの EUの産地名の使用、「Hermitage」などの使用が問題とされ、オーストラリアは長年にわたってEUと交渉を行い、EUへの輸出がスムースに行えるように努力してきた。最新のEUとの協定は2008年に締結され、これに基づくオーストラリアの義務をワイン規則によって規定している。

EUの登録された地理的表示名は、EUとの協定締結後1年間の猶予期間をもってオーストラリアのワインには使用できないこととした(「Tokay」のみは10年間の猶予期間)。また、「シャトー」などのEUの登録された伝統的表現はオーストラリアのワインに使用できないこととしたが、商標登録等によって以前から使用されていた伝統的表現は継続して使用できることとしている。

 

なお、EUは、EUの登録された地理的表示名とブドウの品種名が競合する場合(品種名に地理的表示名が含まれる場合、品種名と地理的表示名が同一の場合など)は、原則としてその品種名の表示を禁止しており、例外として表示できる品種は、品種ごと、EU加盟国ごと、第3国ごとに定められている。EUとの協定によってオーストラリアのワインが使用できるこれらの品種は次のとおりワイン規則に定められている。

Alicante Bouchet,  Barbera,  Carignane,  Chardonnay,  Orange Muscat,

Pinot Chardonnay,  Rhine Riesling,  Trebiano

 

これによると、日本がEUにワインを輸出する場合、「ミューラトウルガウ」、「バルベラ などのEUの地理的表示名と競合する品種名は表示できないと解釈することができ、また、EUの地理的表示の保護を協定によって約束しているアメリカやオーストラリアに輸出する場合も表示できない恐れもある。 

 

(4)            外国のワインとの混合の場合の表示

 ワインが複数の国で栽培されたブドウからつくられている場合は、そのワインの表示において各国を原産とするワインの割合を示さなければならない。これによるとワインをブレンドした場合はもとより、輸入果汁によって製造したワインもその国名とブレンド割合を表示しなければならないと解釈される。この基準は輸入ワインについても適用となる。

 

(5)食品基準による義務表示

ワイン法やワイン規則は、表示に関しては、品種、ヴィンテッジ、地理的表示、伝統的表現などワインに特有の事項しか扱っておらず、アルコール容量表示、二酸化硫黄含有表示などの義務表示については食品基準で定めている。食品基準は輸入ワインについても適用となる。これらの義務表示について他の国と異なるものは、①アレルギー表示の一環として、卵や牛乳を清澄のために使用した場合は、「卵使用」や「牛乳使用」と表示しなければならないこと、②10gの純アルコールを基準(1drink)とする基準飲酒量( standard drink labeling)を表示しなければならないこと、③ガラスびん以外の容器を使用し2年以内に消費期限を迎えるワインは賞味期限を表示しなければならないことなどである。

 

5 オーストラリア地理的表示 

 オーストラリアがEUにワインを輸出する場合、産地表示についてはEUの規則に合致しているかどうかなどにつき絶えず問題になっていたことから、EUはオーストラリアにおいても産地表示基準を法律において制度化することを勧告し、地理的表示制度ができればオーストラリアのワインの産地表示をEU市場においても認め、保護することとした。これに基づき1994年に「オーストラリア地理的表示」が導入された。

 地理的表示は、ワイン製造業者又はブドウ栽培者若しはそれらの代表的な団体等からの申請若しくは地理的表示委員会(以下委員会という)の発案によって委員会が決定できることになっている。決定に当たっては公告をしなければならず、特に商標権者の異議を確認しなければならない。異議があった場合商標登録管理者はその見解を提出しなければならない。この見解に異議がある場合は連邦裁判所の決定を求めることになっている。法律では、地理的表示と商標との調整手続きについて定め、さらに、規則においてはより詳細な調整手続きが定められている。この調整規定をみると地理的表示と商標との間では先願主義ということでもないと理解される。

なお、オーストラリアのこの地理的表示は、地理的表示委員会により決定登録された地域内のブドウを原則85%以上使用していれば、その地理的表示のワインへの表示が可能であり、品種規制、単収規制などのその他の基準は定められておらず、EUの地理的表示制度とは内容において大きく異なっている。従って、アメリカの原産地呼称(AVA制度等)と同様オーストラリアの地理的表示もいわゆる産品の表示基準にすぎず、TRIPS協定で定められた知的所有権としての地理的表示ではないとの学者等の意見がある。

 

6 輸出管理

輸出の振興と管理を重視するオーストラリアでは、ワイン規則により、公社による厳格な輸出管理を行うことを定めている。まず輸出に当たっては輸出免許が必要であり、具体的な輸出に当たっては、輸出許可証(輸出証明書)が必要である。公社は輸出業者に指示を与えることができ、輸出相手先などについての輸出量を指定することができる。さらに必要な資料の提供を求めることができる。

 

7 ワイン製造基準

 ワインの製造基準は、食品基準によって定められている。この食品基準は輸入ワインにも適用される。しかし、国際協定によって輸出国の製造基準が合意されている場合は輸入ワインについてはその基準が適用される。

なお、製造基準によれば補糖は認められていない。


II オーストラリアワイン及びブランデー公社法の概訳

Australian Wine and Brandy Corporation Act 19802011改訂)

第1部 序

3 目的

 この法律の目的は、

(a)       ブドウ産品の輸出を促進し、管理すること。

(b)       ブドウ産品の輸出後の販売と流通を促進し、管理すること。

(c)       オーストラリアの州間でのブドウ産品の取引を促進すること。

(d)       ブドウ産品の生産の改良及び消費を促進すること。

(e)       ワイン貿易に関する協定その他の国際合意をオーストラリアが   遵守できるようにすること。

 

4 定義(主なもののみを取り上げた)

 「新鮮なブドウ」とは、水分60%以上のブドウをいう。

 

 「ブドウ産品」とは、次のものをいう。

(a) オーストラリアにおいて指定産品からつくられるワイン

(b) オーストラリアにおいて上記ワインから蒸留されるブランデー

(c) オーストラリアにおいて指定産品からつくられるグレープスピ  リッツであって、酒精強化ワイン又はブランデーの製造に適す  るもの

(d) ワイン法の目的のためブドウ産品に関する規則に定められた産  品

 

「指定産品」とは、次のものをいう。

(a) 新鮮なブドウ

(b) 乾燥ブドウ

(c) ブドウ果汁(濃縮果汁を含む)

  

「ワイン」とは、新鮮なブドウ若しくは新鮮なブドウのみによってつくられる産品の完全なあるいは部分的な発酵によるアルコール飲料をいう。また、本法の目的のためワイン規則によって定められるブドウ産品を含む。

 

「ワイン産品」とは、次のものをいう。

(a) ワイン又は、

(b) ワインの生産のために使用されるブドウあるいはブドウ抽出物

「ヴィンテッジ」とは、次のものをいう。

(a)       ブドウに関しては、ブドウが収穫された年

(b)       ワイン又はブドウ抽出物については、そのワイン又はブドウ抽   出物が製造又は取得されたブドウが収穫された年

 

第2部 ワインオーストラリア公社

 

7 ワインオーストラリア公社(以下「公社」という)の役割

(a) オーストラリアからのブドウ産品の輸出の促進と管理

(b) オーストラリア及び海外におけるブドウ産品の消費及び販売の   促進

(c) オーストラリアにおけるブドウ産品の生産の改良

(d) ブドウ産品の販売に関する研究の実施、調整及び支援

(e) ワイン法又はワイン規則によって公社に与えられたブドウ産品   に関するその他の役割

 

 :公社の組織等に関する第3部から第5部までは省略した。

 

第5A部 公社の業務

 

第31K条 公社及び地理的表示委員会に対する指示

(1)     本条に定められている場合及び連邦権限及び企業法1997     Commonwealth Authorities and Companies Act 1997)において定めら  れている場合を除き、公社は連邦政府からの指示(命令)の対  象とならない。

(2)       ただし、大臣が必要と判断する場合は、公社に対して指示す  ることができる。

 
       第6A部  適正ラベル計画 (Label integrity program

 

第1章 序

第39A条 この部の目的

 この部の目的は、オーストラリアで生産されるワインのヴィンテッジ、ブドウの品種又は地理的表示についてのワインになされる表示又はその他の商業目的でなされる表示が真実であり、真実であることの評価を得ることを支援することによって、ワイン法の目的を達成することである。

 

第39C条 この部が適用となる者

(1)      この部は、(3)の場合を除き次の者が適用となる。

(a)       ワイン産品であるブドウを栽培する者

(b)       ワイン産品を生産する者

(c)       ワイン産品を供給するか受け取る者(卸売又は小売としてワイ   ン産品を販売する者若しくは輸入する者を含む)

(d)       ワイン規則により指定される者

(e)       a~(d)に掲げられた者のためにワイン産品を所有する代理   人

 

(2)(1)(d)の目的のため、ワイン規則によって次を定めるこ   とができる。

   (a)この部が適用となる者の種類

   (b)この部が特定された者の種類に適用される状況

 

(3)(1)の規定にかかわらず、次の者にはこの部が適用にならないことをワイン規則により定めることができる。

(a) 特定された者の種類

(b) 特定の状況における特定された者又は者の種類

(4)この部はワイン産品がオーストラリアを原産とする場合においてのみ適用となる。

 

第2章 表示に関連した記録

第39F条 記録者の義務

(1)     この部が適用となる記録者(record keeper)は、ワイン産品に関する次の詳細を示す記録を書面により保持しなければならない。

(a) 記録者の特定(identity

(b) 記録に関係するワイン産品の種類

(c) ワイン産品を受領した日

(d) 受領したワイン産品を供給した者の特定

(e) 受領したワイン産品の量

(f)  受領したワイン産品のヴィンテッジ、品種及び地理的表示

(g) 次の事項について記録者が変更を行うか影響を与えた場合、その記録者がとった措置

(ア)     ヴィンテッジ、品種、地理的表示

(イ)     ワイン産品が保管されているタンク、その他の場所又は物

(ウ)     上記のタンク、場所又は物に保管されているワイン産品の量

(h)      記録者がワイン産品を供給した日

(i)        ワイン産品の供給先の者の特定

(j)        供給したワイン産品の量

(k)       供給したワイン産品のヴィンテッジ、品種及び地理的表示

(l)        規則によって定められたワイン産品に関するその他の事項

(2)    記録は7年間保存されなければならない。

 

第39G条 記録が求められない事項

(1)     ブドウ栽培者は、第39F条(1)(c)~(f)までを示す記録を保持することは要求されない。

(2)     直接販売されるワイン産品については、第39F条(1)(h)~(k)までの事項に関する記録は要求されない。

 

第39H条 記録が必要な詳細事項

:ブドウ品種、記録者・供給元・供給先など、製造(省略)

ブレンド

(4)      複数のヴィンテッジ、品種、地理的表示のワインの場合、次   の詳細が記録されなければならない。

(a) ブレンドされるワインのブレンドの割合

(b) ブレンドされた各ワインにおけるヴィンテッジ、品種、地理的   表示

 

第39J条 違反の場合の罰則

 記録を保持しなかった場合、誤ったあるいは誤認される記録を行った場合は2年の禁固(imprisonment

 

第39ZAA条 公社の記録の要求

 公社は、記録を保持している者に対して書面によって次の事項を求めることができる。

(a) 供給業者(ラベルに供給業者として記載されている者)に対し  て、記録に関連した特定の情報を提供すること。

(b)ワイン法による記録を保持していると公社が信じる者に対し  てその記録を提供すること。

 

第3章 検査

第39ZA条 検査官の任命

 公社を代表して主要職員(principal employee) は、検査官を任命できる。

 検査官の適格者は

(a)   公社職員

(b)   連邦又は連邦当局の職員

(c)    長が合意した場合、州又は準州の職員

(d)   長が合意した場合、地方自治体の職員

 

第39ZC条 検査官の権限

 検査官は、表示に関する法律が遵守されているかどうかを確認するため、身分証明書作成後、ワイン施設の管理者の同意を得て、その場所において検査を実施することができる。

 

第39ZD条 検査令状

(1)      検査官は、特定の場所における検査の令状(warrant)を判事(magistrate)に申請することができる(注 強制的に検査する場合 )。

 

第39ZE条 同意を得て行使する検査官の権限

(1)     立ち入り検査

表示に関する違反の証拠を得るための合理的な理由がある場合、検査官は特定の場所における立ち入り検査を行うことができる。この場合当該場所の管理者の同意を得ることが必要である。

(2)    証拠物件の差し押え

表示に対する違反の証拠を得るための合理的な理由がある場合、検査官は物件を差し押える(seize)ことができる。

 

第39ZH条 質問及び文書作成の要求権限
(1)立ち入り検査を行った検査官は、その場所の者に対して次を要求できる。

(a) 質問に対する回答

(b) 検証するための文書の作成

(3)  実施しない者に対しては30 penalty units が課される。

 

 

第6B部 地理的表示及びその他の用語の保護

 

第1章          

第40A条 この部の目的

 この部の目的は、次のためにワインの販売、輸出及び輸入を規制することである。

(a) オーストラリアがワイン貿易に関する合意及びその他の国際的合意の義務を実行するため。

(b) これ以外の目的で議会が法律を作成するため。

 

第2章            販売、輸出又は輸入に関する規定

 

第40C条 誤った表示によるワインの販売、輸出又は輸入

 誤った表示によるワインの販売、輸出又は輸入を行った者は、禁固2年

 

第40D条 誤った表示

 次の場合は、誤った表示となる。

(a) 国の名前が含まれており、ワインがその国を原産としていない  場合

(b) 登録された地理的表示が含まれており、それが、当該地理的表  示に関係する国、地域、地方を原産としていない場合

(c)  登録された伝統的表現を含んでおり、ワインがその登録された  表現と関係ない場合、あるいは登録された表現に関係するワイ  ンの種類でない場合

 

第40DB条 伝統的表現を含む場合で誤った表示とみなされない場合

(1)       ワインがオーストラリア原産であって、品質用語が登録され  た伝統的表現でもある場合であって、ワインがその用語に関係  するものである場合は、その品質用語が含まれていても誤った  表示とはならない。

 

  :登録されたオーストラリアの品質用語

   クリーム(cream, クラステッド(クラスティング)(crusted/crusting   ),ルビー(ruby,ソレラ(solera,トーニー(tawny,ヴィンテッジ(     vintage

    いずれも酒精強化ワインに適用される品質用語である。

 

(2)      ワイン貿易協定を締結していない国を原産とするワインの場合、誤認を招かず、工業所有権に関するパリ条約1883年第10bisに規定する不公正な競争とならない場合には、登録された伝統的表現が含まれていても誤った表示とはならない。

(3)        商標が含まれる場合であって、その商標が登録された伝統的表現を含む場合、その商標が伝統的表現の保護以前に登録されていたか使用されていた場合は、その商標が含まれていても誤った表示とはならない。

(4)      ビジネスの名前が含まれている場合であって、それが伝統的な表現から構成されている場合、ビジネスの名前が伝統的表現の保護以前に州の法律によって登録されていた場合は、このビジネスの名前が含まれていても誤った表示とはならない。

 

第40E条 誤認を招く表示のワインの販売、輸出又は輸入

 誤認を招く表示によるワインの販売、輸出又は輸入を行った者は、禁固2年

 

第40F条 誤認を招く表示

(1)   地理的表示又は伝統的表示が含まれる場合であって、次の場  合は誤認を招く表示となる。

(a) 地理的表示がワインの原産とする国、地域または地方について  誤認を招くような方法で表示されている場合。

(b) 伝統的表現についてその表現の登録と関連する国、地域又は地  方を原産とするワインであると、あるいは表現の登録と関連す  る分類のワインであると誤認させるような方法で表示される場  合。

(2)   登録された地理的表示又は伝統的表現について、それらに
 「
type」、「style」、imitation」、「 method」あるいはそれらと  類似する表現が伴っていても、その地理的表示の産地あるいは  伝統的表現が認められている産地のワインでない場合。

(3)     登録された地理的表示又は伝統的表現と類似した(resemble)  表現を含み、地理的表示又は伝統的表現の登録と関係する国、  地域又は地方のワインであると誤認を招くような方法で表示さ  れている場合。

(4)     ワインを生産、販売、輸出又は輸入している個人の名前であ  って、その名前あるいは住所がワインの原産である国、地域又  は地方であるかのように誤認を招くよう使われている場合。

 

第40FB条 伝統的表現を含む表示で誤認を招かない表示

(1)      ワインがオーストラリア原産であって、品質用語が登録され  た伝統的表現でもある場合であって、ワインがその用語に関係  する種類のものである場合は、その品質用語が含まれていても  誤認を招く表示とはならない。

(2)        商標が含まれる場合であって、その商標が登録された伝統的  表現を含む場合、

  その商標が伝統的表現の保護以前に登録されていたか使用され  ていた場合は、その商標が含まれていても誤認を招く表示とは  ならない。

(3)    ビジネスの名前が含まれている場合であって、それが伝統的  な表現から構成されている場合、ビジネスの名前が伝統的表現  の保護以前に州の法律によって登録されていた場合は、このビ  ジネスの名前が含まれていても誤認を招く表示とはならない。

 

第40G条 登録された使用の条件に反する表示のワインの販売、輸出又は輸入

 登録された地理的表示、伝統的表現、品質用語又は追加的な用語の表示において、登録された使用の条件に合致していない表示を行った販売、輸出又は輸入をした者は、禁固1年 

 

第40M条 輸入ワインへの国内食品基準の適用

 ワインに適用となる醸造行為、加工又は組成に適用される国内基準の要求事項は、海外を原産とするワインについても適用される。(1A)又は(1B)の場合は、これらの要求事項が適用される。

(1A)ワインの貿易に関する合意(agreement)で定められた醸造行為、加工又は組成に関する基準

1B)海外のワインとの関係において規則によって定められる醸造行為、加工又は組成に関する要求事項

 

第3章            地理的表示委員会(Geographical Indications Committee)の設立及び機能

 

第40N条 地理的表示員会の設立

 地理的表示委員会(以下「委員会」という)が設立される。

 

第40Q条 地理的表示を決定する委員会の役割

 委員会は、

(a) ワインに関するオーストラリアの地理的表示の申請を取り扱う。

(b) オーストラリアの地理的表示の決定(determination)を行う.

(c) オーストラリアの地理的表示の取り消しの決定を行う。

(d) 規則によって与えられたその他の機能を実施する。

 

第4章            オーストラリア地理的表示

 

第40Q条 地理的表示を決定する委員会の権限

委員会は、自らの発案で、あるいは申請によりオーストラリアの地域に関する地理的表示を決定することができる。

 

第40R条 地理的表示の申請

 次の者は、委員会に対して地理的表示の決定について申請することができる。

(a) 大臣が認めたワイン製造者の全国的組織

(b) 大臣が認めたワイン用ブドウ生産者の全国的組織

(c) 州又は準州においてワイン製造者を代表する組織

(d) 州又は準州においてワイン用ブドウ生産者を代表する組織

(e) ワイン製造者

(f)  ワイン用ブドウ生産者

 

第40RA条 地理的表示提案に関する公告(notice

(1)      委員会の長は、申請された地理的表示又は自らの発案による地理的表示について公告しなければならない。

(2)       当該公告においては、

(a)       提案された地理的表示を示し、

(b)       異議があるものに対して商標登録管理者(Registrar of Trade       Marks)にそれを提出するよう促さなければならない。

(c)       異議は、公告から1カ月以内で提出されるよう求めなければな   らない。

 

第40RC条 異議に対する考慮

(1)       商標登録管理者が、異議を受領した時は、委員会に対して通   知しなければならない。

(2)      異議が委員会に通知された後、商標登録管理者は、当該異議   に理由があるのかないのか決定しなければならない。

(3)      商標登録管理者は、当該意義に理由があると決定した場合に   おいても、提案された地理的表示が決定されるべき合理的な   状況があると認めるときは、商標登録管理者は勧告をしなけ   ればならない。

(4)(3)の合理的な状況を決定するに当たり、商標登録管理者   はオーストラリアの国際的な義務を尊重しなければならない   。

 

第40RD条 決定についての公告

(1)    商標登録管理者は、決定をした時は、次の者に対してその決   定及び勧告を通知しなければならない。

(a) 地理的表示を提案した者

(b) 提案された地理的表示に異議を申し出た者

(c) 委員会

(2)  委員会の長は、商標登録管理者から上記の通知を受けた時は、   次を公告しなければならない。

(a) 提案された地理的表示

(b) 商標登録管理者の決定があったこと

(c) 商標登録管理者の決定の条件及び勧告

 

第40RE条 異議の理由が存在しなくなったことの決定

(1)    異議について理由があるとの決定がなされた後に、ある者が  状況の変化により、異議の理由がなくなったことを商標登録管  理者に書面により提出した時は、商標登録管理者は、異議の理  由が存在しなくなったことの決定をすることができる。

 

第40RF 控訴(Appeals

 商標登録管理者の決定に対する控訴は、連邦裁判所に対して行うことができる。 

 

第40SA条 地理的表示の決定の時期

(1)    異議の提出があった場合において、委員会は本条に定められ  た場合においてのみ、地理的表示を決定することができる。
(2)異議の理由が示されなかった場合は、委員会は地理的表示の  決定ができる。

(3)異議の理由が示されても、異議を申し出た者が地理的表示の  決定に合意した場合は、委員会は地理的表示の決定ができる。

(4)      異議の理由が示されても、商標管理者が勧告をした場合は、  委員会は地理的表示の決定ができる。

 

5章 保護地理的表示及びその他の用語の登録

 

第40ZA条及び第40ZB

 登録管理者(Registrar)は、保護地理的表示及びその他の用語の登録を管理する。

 

第40ZD条 登録の内容

 登録は次の4部で構成される。

(a) 第1部

(i)       オーストラリアの地理的表示及びその適用に当たっての条件ii)国の地理的表示及びその適用に当たっての条件

(b) 第2部

   海外の伝統的表現及びその適用に当たっての条件

(c) 第3部

  オーストラリアのワインに関する品質用語(quality wine term)及  びその適用の条

(d) 第4部

   ワインに関するその他の用語及びその適用に関する条件

 

 注:外国からの地理的表示の申請と登録及び地理的表示登録の取り消しに関しては省略した。


III オーストラリアワインブランデー公社規則1981の概訳Australian Wine and Brandy Corporation Regulations 19812010年改訂)

 

第2部 輸出管理

 

第5条 輸出免許の供与

(1)      公社は、申請に基づき、要求事項を考慮し、申請者に対しブ  ドウ産品のオーストラリアからの輸出免許(license)を付与する  ことができる。

(2)       免許の有効期間は3年以内で免許に特定された期間有効であ  る。また更新可能である。

 

第6条 輸出の条件

(1)以下を満たしていなければ、ブドウ産品の輸出は禁止される   。

(a) 輸出者が免許を所有していること。

(b) 公社が購入者を認めていること(approved)。

(c) 産品が免許所有者に与えた公社の指示に従っていること。

(d) 産品が商品として売れるものであること。

(e) 免許所有者が公社に対して産品の見本及びラベルを提供してい  ること。

(f)  公社がその産品に対して輸出許可書(certificate)を与えている  こと。

(3)  ブドウ産品の輸出量が別に定める少量の場合は、上記(1)は  適用されない。

 

第6A条 輸出の条件 食品基準

(1)     ブドウ産品がオーストラリア・ニュージーランド食品基準(  食品基準)を満たしていなければ輸出は禁止される。

(2)      ただし、公社が承認した場合は、特定の事項について、輸入  国の条件に合致し、かつ、食品基準を満たさないことがオース  トラリアのブドウ産品の評価を下げない場合において、上記食  品基準を満たしていなくても輸出が可能である。

(3)      承認は、非準拠の事項及び、他の事項においては食品基準に  準拠していることを記載された書面によって輸出者に行われる  。

 

第7条 輸出許可証(Certificate

(1)   免許の所有者はブドウ産品の輸出について公社に対し輸出証  明書の発給を通知して申請できる。

(3)この通知は、輸出される10日前までになされなければなら  ない。

(3A)公社は、通知を考慮するに当たって、免許の所有者に対しブ  ドウ産品の表示が、連邦、州の法律に適合しているかどうかに  関する資料の提出を求めることができる。

   

第8条 公社の権限

 公社は、免許の所有者に対して輸出できるブドウ産品の量について

(a) 輸出先を特定することなく、あるいは

(b) 輸出先国を特定して、あるいは

(c) 輸出先の者、代理人などを特定して、

  指示することができる。

 

第11条 公社の情報提供要求

(1)  公社から書面によって、ブドウ産品の販売、廃棄、輸出に関す  る情報を特定して要求された場合は、定められた期間内にその 情報を公社に提出しなければならない。

 

第3部 違反条項の例外

 

 第13条 地理的表示及び伝統的表現

(1)     表1に示す地理的表示又は伝統的表現の使用は、協定(2008年のEUとのワイン貿易に関する協定)発効後12ヶ月間は、認められる。

表1

Amontillado,  Auslese, Burgundy, Chablis, Champagne, Claret, Fino, Graves, Manzanilla,  Marsala,  Moselle,  Oloroso,  Port,  Sauternes Sherry,  Spallese,  White burgundy

 

(2)     地理的表示「Tokay」の用語の使用は、協定発効後10年間は、認められる。

 

第14条 Hermitageのワイン

 ワインの表示における「Hermitage」の名称の使用は、次の場合には協定発効後12カ月の間は認められる。

(a) この名称がブドウ品種「Shiraz」の同義語として使用される場  合で

(b) ワインがオーストラリアを原産とし、

(c) ワインがEU加盟国以外の国で販売される場合

 

第15条 Lambruscoのワイン

 ワインの表示における「Lambrusco」の名称の使用は、次の場合には協定発効後12ヶ月間は認められる。

(a) この名称が伝統的にこの名称でつくられ、販売されるワインの種類を示すために使われる場合であって、

(b) この名称がワインがつくられるブドウ品種を示すために使われ  ない場合であって、

(c) ワインがオーストラリアを原産とし、

(d) ワインがEU加盟国以外の国で販売される場合

 

第16条 地理的表示と同じ名称のブドウ品種

 表2に示す名称の使用は、オーストラリアを原産とするワインの場合であって、ワインが生産されるブドウの品種を表示するために使われる場合は認められる。

Alicante Bouchet,  Barbera,  Carignane,  Chardonnay,  Orange Muscat,

Pinot Chardonnay,  Rhine Riesling,  Trebiano

 

部 表示

 

18条 定義

 この部において、「ワイン」とは、オーストラリアで販売され、オーストラリアへ輸入され又はオーストラリアから輸出されるワインをいう。

 

第19条 複数の国を原産とするワイン

 ワインが複数の国で栽培されたブドウからつくられている場合は、そのワインの表示において各国を原産とするワインの割合を示さなければならない。

 

第20条 ブドウ品種

(1)   オーストラリアを原産とするワインの表示における品種名の  使用は次の機関の少なくとも一つによって認められたブドウの  名前又は同義語でなければならない

(a) OIV

(b) 植物新品種保護国際同盟 ( International Union for Protection of        New Varieties of Plants)

(c) 国際植物遺伝資源機関(International Plant Genetic Resources         Institute

 

(2)   オーストラリアを原産とするワインで、2以上の品種からつ くられるワインであって、ある品種からのワインが850ml/L以上であ る場合は、その品種名のみを表示することができる。

 

(3)     オーストラリアを原産とするワインで2以上の品種を表示する場合は、

(a) 品種からのワインの量の割合に応じた順序で品種名が列挙され なければならない。

(b) 表示された品種からのワインの量は、表示されていない品種か らのワインの量より多くなければならない。

(c) 850ml/L以上は表示された品種からのワインでなければならない 。

 

(4)    上記(2)及び(3)の場合の品種からのワインの量の決定 に当たっては、甘味化(sweetening)及び 酵母など微生物の培養物 の量は、50ml/Lを限度として除かれる。

 

(5)      酒精強化ワインにおいて品種からのワインの量の決定に当た っては、ワインに添加されたグレープスピリッツ又はブランデーは 除いて計算される。

 

第21条 オーストラリアにおける地理的表示の使用

(1)      オーストラリアに関連して複数の地理的表示が表示される場 合、登録された地理的表示及び外国の地域の名称の数は3以下でな ければならない。

 

(2)    一つの地理的表示を表示する場合で、

(a) オーストラリアに関連した地理的表示を使い、

(b) 他の国に関連した地理的表示を使用せず、

(c)  外国の地域の名を使用しない、場合は、

地理的表示に関連したオーストラリアの地域又は地方で栽培されたブドウから得られたワインが850ml/L以上でなければならない。

 

(3)    2つ又は3つの地理的表示を表示する場合で、

(a) 少なくとも一つはオーストラリアに関連する地理的表示で、

(b) 外国の地域の名前を使用しない場合は、

ワイン及び表示は次の(4)の要求を満たしていなければならない。

(4)

a) 合計でワインの950ml/L以上が登録された地理的表示に関連 した地域、地方で栽培されたブドウから得られたワインでなけれ ばならない。

 (b)ワインの50ml/L以上が各当該地域、地方から得られたワイン でなければならない。

 (c)登録された地理的表示の表示は、ワインのブドウの割合に 応じた順番で記載されなければならない。

 

(5)ワインの表示が次を使用している場合は、ワイン及び表示は、次の(6)の要求事項を満たしていなければならない。

(a) 少なくとも一つがオーストラリアに関連した地理的表示で、(b)少なくとも一つが外国の地域名
(6)

 (a)合計でワインの950ml/L以上が登録された地理的表示に関連し た地域、地方及び外国の地域名で特定された地域又は地方で栽培さ れたブドウから得られたワインでなければならない。

(b)ワインの50ml/L以上が各当該地域、地方から得られたワインでなければならない。

 (c)登録された地理的表示及び外国の地域の名の表示は、ワイ ンのブドウの割合に応じた順番で記載されなければならない。

(7)この規則において、「外国の地域名」とは、ワインに関係した次の表現をいう。

(a) 登録された地理的表示でなく、

(b) 産品の原産地である国、地域又は地方を示した名である。 

 

22条 ヴィンテッジVintages

 (1)

  (a)複数の収穫年のブドウを使用したオーストラリアを原産とするワインで、

  (b)これらの収穫年の一つ以上の収穫年を表示する場合は、

ワインの表示においてすべての収穫年をワイン中のブドウに関連する割合の順序で示さなければならない。

合の順序たするof micro-organism)に消費期限が    

(2)上記(1)にかかわらず、ある年に収穫されたブドウによるワインが850ml/L以上である場合は、その収穫年のみを表示することができる。

 

(4)        上記(2)の場合において、酒精強化ワインのブドウの量は、ワインに添加されたグレープスピリッツ又はブランデーを除いて計算されなければならない。

 

 

第5部  地理的表示決定の条件

 

第24条 定義

 この部において「地域(region)」とは、

(a) 一つ又は複数の小地域(subregion)を含むことができ、

(b) 土地の単一の広がりであり、それがブドウ栽培の性質において  他と異なりまた同質であり、(i)測ることが可能で、(ii)小地  域より実質的(substantial)でなく、

(c) 年間500トン以上の生産があり、

(d) ha以上のヴィンヤードが5つ以上あり、

(e) 地域として合理的に認識され得ること。

「小地域(subregion)」とは、

(a) 地域の一部で、

(b) 土地の単一の広がりであり、それがブドウ栽培の性質において  他と異なりまた同質であり、実質的(substantial)であり、

(c) 年間500トン以上の生産があり、

(d) ha以上のヴィンヤードが5つ以上あり、

(e) 小地域として合理的に認識され得ること。

 

第25条  地理的表示決定の基準

 委員会は、次の基準を考慮しなければならない。

(a) 地域又は小地域の定義に合致しているかどうか。

(b) 政府の記録、新聞、文献、書籍、地図などで確認された当該地  域の建設及び発展の歴史

(c) 河川、等高線、その他の地形上の特徴

(d) 道路、鉄道、町 建物など建設されたものの存在

(e) 法第40R条の下で委員会に適用される地域の境界

(f)  当該地域に関連したordinance survey map

(g) 当該地域に関連した地方政府の境界

(h)   次のものを含む当該地域を示す用語や表現の存在
   (i)   用語や表現の歴史 

(ii)    当該地域の以外の小売業者に当該用語や表現がどのくらい  知られているか。

(iii)    当該地域又はその他で当該用語や表現が伝統的にどの程度 使われていたか。

(i)提案された地理的表示の次の事項についての同一性と離反性の程度

   (i)        当該地域の地学上の形成

   (ii)       気温、気圧、湿度、降雨、日照時間などに関する当該地域    の気候に関する程度

   (iii)     ある特定のブドウ品種の収穫の始まる時期が他の地域の同    じ品種のブドウの収穫の始まる時期と同じかどうか。

   (iv)     当該地域の全体が同一の流水域内にあるかどうか。

   (v)       灌漑施設からの取水の可能性

   (vi)     当該地域の標高

   (vii)    連邦、州、又は市町村から提案されている開発計画がある    かどうか。

   (viii)   当該地域内に伝統的な地域区分があるかどうか。

   (ix)     当該地域におけるブドウ栽培とワイン生産の歴史


VI オーストラリア・ニュージーランド食品基準
  (
Australia New Zealand Food Standards Code 1991のワイン     関係部分の概訳

     ―ワインの義務表示及びワインの製造基準―
      輸入ワインにも適用される。

 

1 義務表示

食品基準 第1.2.2, 第 1.2.3、第1.2.5、第2.7.1など

 注:ワイン以外の食品・飲料にも適用される基準である。

 

産品の種類の名 (第1.2.2

 産品の種類の名を表示しなければならない。

注:「ワイン」と表示する場合は、ワイン法及び基準で定められた定義に合致していなければならず、水や色素を添加したワインは、「ワインをベースとした飲料(“Wine Based Beverage”)などと表示しなければならない。

供給業者の名前と住所(第1.2.2

 供給業者の名前と住所を表示しなければならない。

 

原産国 (第1.2.2

食品の原産国を表示しなければならない。

注:Wine of Australia」又は 「Australian Wine」は地理的表示であ  り、原産国表示ではない。また、輸入ワインとのブレンドのワインはワイ  ン法第19条に従い、「オーストラリア90%、ニュージーランド10%  」のように表示しなければならない。

 

ロット番号(第1.2.2

 ロット番号を表示しなければならない。

:ロット番号は食品安全確保のために義務付けられている。事故が生じた  場合同一のロット番号のものはすべて回収しなければならない。番号は「  L9330」や「330th day of 1999」のようにつけられる。

 

アレルギー物質(第1.2.3

 すべての食品(ワインを含む)についてグルテン及びそれを含む物質、甲殻類及びそれを含む物質、卵及び卵製品、乳及び乳製品、ナッツ、ごまの種、落花生、大豆及びその製品、10mg/kg以上含まれる二酸化硫黄、ロイヤルゼリー、蜂花粉並びにプロポリスが含まれる場合は、それが含まれることを開示(declaration)しなければならない。

 注:ワインについて清澄のため卵白を使った場合は、「卵」を表示しなけ  ればならない。

賞味期限(第1.2.5

使用期限が2年未満の場合は、賞味期限を表示しなければならない。

注:ワインの場合は、びん以外の容器を使用しているワインについて適用   となる可能性がある。

アルコール分(第2.7.1

容量で1.15%超えるアルコールを含む飲料は、mL/100g, mL/100mLまたは容量パーセント表示でアルコール含量を表示しなければならない。誤差の範囲はワイン及びスパークリングワインについては1.5容量%、酒精強化ワインについては0.5容量%である。

 

基準飲酒量(standard drink labeling)(第2.7.1

 基準飲酒量(standard drink)とは10gのエタノールを基準とした飲料の総量をいう。0.5%を超えるアルコール分を有する飲料には、基準飲酒量を表示しなければならない。

注: たとえば、750mLで12.5%のアルコール分のワインにおけ  る基準飲酒量は約7.4

容器容量(L)×アルコール分(mL/100mL)×0.79

 

容量(第4.5.1

ワインの容量を容器の大きさ(高さ)に応じて次の高さの文字の大きさで表示しなければならない

容器の高さ

最小の文字の高さ

<120mm

2.0mm

120–<230mm

2.5mm

230–<360mm

3.3mm (standard 750mL bottle)

>360mm

4.8mm

 

 注 ラベルにおける表示は、一般には、字の大きさは3mm以上、パッケージ   が小さい場合1.5mm以上でなければならない(第1.2.9)。

 

任意表示事項及び一般表示事項は次のようである。

任意表示

バーコード、ブレンドの詳細、地理的表示、健康上の警告、ブドウ品    種、ヴィンテッジなど

一般表示

著作権、受賞、環境表示、健康表示、受賞メダル、商標など

2 ワイン及びワイン産品

  食品基準 第 2.7.4

1節 定義

この基準において、ワインとは、新鮮なブドウを完全にまたは部分的に発酵させたものであって、単独でブドウから得られた産品及びこれらを混合した産品をいう。

ワイン産品とは、この基準で定義されたワインを1L700ml以上含み、処理され、加工され、調整され、または、ワインではないほかの食品と混合されたものをいう。

2節 ワイン製造中に加えることのできる食品

以下の食品は、ワイン製造中に加えることができる。

(a)   ブドウ果汁及びブドウ果汁製品

(b)   糖類

(c)   ブランデーまたはその他の蒸留酒

(d)   水:許可された食品添加物もしくは加工助剤とともに使用することが必要な場合

  ワイン製造基準

品基準 第4.5.1(オーストラリア限定)

 第1節 定義

「ブランデー」とは、この製造基準の別表の仕様に従い、ブランデーが一般に有する味、香り及びその他の特徴を保証する方法を用いて、ワインを蒸留して得られた蒸留酒をいう。

「酒精強化ワイン」とは、ワインにグレープスピリッツ、ブランデー、あるいはその両方を添加したワイン産品をいう。

「グレープスピリッツ」とは、ワイン、ワインの副産物あるいは乾燥ブドウのもろみを発酵させた酒類を蒸留して得られる蒸留酒であって、メタノールが、20℃において純エタノール1L当たり3gを超えない蒸留酒をいう。

「スパークリングワイン」とは、含有する糖分を完全にあるいは部分的に発酵させて、二酸化炭素を付加したワイン産品をいう。

「ワイン」とは、新鮮なブドウを完全にあるいは部分的に発酵させたものであって、単独でブドウから得られた産品及びこれらを混合した産品をいう。

 第2節 適用 

 この製造基準は、オーストラリアで生産されるワインにのみ適用する。

   :ニュージーランドには適用されないという意味であり、国際協定    に別の規定がある場合を除き、原則として輸入ワインにも適用され    る。

 第3節 生産に用いる物品

(1)この節の表に示された物質は、第5節で課せられた制限範囲内で、ワイン、スパークリングワイン及び酒精強化ワインに使用できる。
(2)この節において「ミステル(mistelle)」とは、新鮮なブドウから調整されたブドウのマストか果汁に、発酵防止のためグレープスピリッツを添加し、20℃において120L/Lから150L/Lのエタノールを含むよう調整したものをいう。

               第3節 表

添加物

アスコルビン酸
炭酸ガス
クエン酸
二炭酸ジメチル(Dimethyl dicarbonate, DMDC
エリソルビン酸
濃縮ブドウ果汁を含むブドウ果汁
ブドウ果皮抽出物
アラビアガム
乳酸
リンゴ酸
メタ酒石酸
ミステル
ソルビン酸カリウム
亜硫酸カリウム類
ソルビン酸
二酸化硫黄
タンニン
酒石酸
酵母マンノプロテイン

 

第4節 加工助剤
(1)この節の表に示された物質は、第5節で課せられる制限範囲内で、ワイン、スパークリングワイン及び酒精強化ワインに使用できる。
(2)この節において、「微生物の培養物(cultures of micro-organism)」とは、チアミン塩酸塩、ピリドキシン、パントテン酸、ビオチン、イノシトールのいずれかまたは複数の添加の有無にかかわらずワイン製造に使用される酵母(酵母細胞壁を含む)やバクテリアをいう。
(3)塩化チアミン、チアミン塩酸塩は、ワイン、スパークリングワイン及び酒精強化ワインの微生物の増殖促進の目的でのみ添加することができる。

             第4節表

加工助剤

活性炭
寒天
アルギン酸カルシウム及びカリウム
リン酸アンモニウム類
アルゴン
ベントナイト
炭酸カルシウム
酒石酸カルシウム
二酸化炭素
セルロース

コラーゲン
硫酸銅
微生物の培養物
クエン酸銅
ケイソウ土
ジメチルポリシロキサン(Dimethylpolysiloxane, シリコーン樹脂)
卵白
酵素類
ゼラチン
過酸化水素
イオン交換樹脂
アイシングラス
リゾチーム
乳及び乳製品
窒素
オーク
酸素
パーライト
フィチン類
植物性たんぱく質、食品製造基準1.3.33(a)において加工助剤として認められているもの
ポリビニルポリピロリドン
炭酸カリウム
フェロシアン化カリウム
炭酸水素カリウム
酒石酸水素カリウム
二酸化ケイ素
塩化チアミン
チアミン塩酸塩

 第5節 組成
(1)ワイン及びスパークリングワインは、20℃において80mL/L以上  のエタノールを含まなければならない。
(2)(1)であっても、ワインは添加したエタノールを含んではな  らない。
(3)酒精強化ワインは、20℃において150mL/L以上220mL/L以下のエ  タノールを含まなければならない
(4)ワイン、スパークリングワイン及び酒精強化ワインは以下のメ  タノールを含んではならない。
 (a) 白ワイン、白のスパークリングワインにおいては、20℃におい  て純エタノール1Lあたり2gを超えるメタノール
 (b) その他の製品においては、20℃において純エタノール1Lあたり  3gを超えるメタノール
(5) ワイン、スパークリングワイン及び酒精強化ワインにおいて  は、下項の数値以下でなければならない
 (a)糖分が35g/L未満の製品における総二酸化硫黄は250mg/L、その  他の製品の場合
300mg/L
 (b) ソルビン酸、ソルビン酸カリウムは、ソルビン酸として   200mg/L
 (c) 可溶性塩化物は、塩化ナトリウムとして1g/L
 (d) 可溶性硫酸塩は、硫酸カリウムとして2g/L
 (e) 可溶性リン酸塩は、リンとして400mg/L
 (f) 二酸化硫黄を除く揮発酸度は、酢酸として1.5g/L
 (g) シアン化物またはシアン化物錯体は、シアン化水素として  0.1mg/L
 (h)二炭酸ジメチルの添加量は200mg/L

(6)フェロシアン化カリウムが、ワイン、スパークリングワイン、 酒精強化ワインの製造に加工助剤として使用された場合、最終製品 には残余の鉄が含まれる。
(7)ワイン、スパークリングワイン及び酒精強化ワインには、第3 節または第4節に指定された物質に伴って必要とされる水、あるい はワイン醸造工程に付随する水でかつワイン中の水の存在が優良製 造規範(GMP)に適合している場合に、1Lあたり70 mLを超えない範 囲で水を含むことがある。
(8)この節では、(a)3節の表における食品添加物リスト (b)第 4節の表における加工助剤について、これ以外に最大許容量を規定 するものではない。食品添加物及び加工助剤の使用は優良製造規範 (GMP)の条件に従わなければならない。

 第6節 スパークリングワイン
(1)第3節、第4節で認可された物品に加え、スパークリングワイ  ンは次のものを含んでもよい。
 (a) グレープスピリッツ
 (b) ブランデー
 (c) 糖類
(2)これらの添加によって、20℃において25mL/Lを超えるエタノー  ルの増加がないようにしなければならない。
(3)スパークリングワインは、20℃において5g/L以上の二酸化炭素  を含まなければならない。

 第7節 酒精強化ワイン
 第3節及び第4節で認可された物品に加え、酒精強化ワインはカラメルを含んでもよい。

 別表 この製造基準のための仕様
(1)ブランデー
  (a) 木製容器で2年以上熟成させなければならない
 (b20℃におけるエタノールが830mL/L以下となるよう蒸留された  ものであって、
250ml/L以上のエタノールを含まなければならな  い。
 (c) 次のものを含んでもよい
       
  (i)    
       
  (ii)   カラメル
          (iii)  糖類
          (iv)   ブドウ果汁及び濃縮ブドウ果汁
          (v)    ワイン
          (vi)   プルーン果汁
          (vii)  蜂蜜
          (viii) 香料
 (d20℃において純エタノール1L
当たり3gをこえるメタノールを   含んではならない。

 注 以上の法令の概訳を読むに当たっての注意事項

この概訳は、法令の条文をそのまま訳したものでなく、条文の要点の訳である。従って、重要でない部分は訳していない場合があり、また、表現も正確な訳というより分かりやすくしている。また、各条文全部について概訳をしたものでなく、訳さなかった条もある。条文番号やパラグラフ番号に欠落がある場合は、その番号の条文を訳していないということである。この資料では条文番号は原文と同じにしてあるので正確な条文の内容を知る必要がある場合は、原文を参照していただきたい。

    なお、「注」は訳者の注である。

 

この資料の作成に当たっては、国税庁酒類国際技術情報分析官 宇都宮 仁氏に、特にワインの製造基準に関しご協力いただいた。