地理的表示「山梨」のワインの指定改正(2017年6月)

                           髙橋 梯二

                       トールーズ大学法学博士

 201510月に施行された「酒類の地理的表示に関する表示基準」に基づき、地理的表示「山梨」について山梨県ワイン酒造組合から指定改正の申請がなされていたところ、国税庁は2017年6月26日指定の改正を行い広告した。

 改正指定は、国税庁のホームページで見ることができる。
 https://www.nta.go.jp/shiraberu/senmonjoho/sake/hyoji/chiri/170619_besshi01.htm

 この改正指定は、次の事項からなっている。

  名称、

  産地の範囲

    酒類区分

    生産基準

酒類の特性

 官能的要素

 科学的要素

酒類の特性が酒類の産地に主として帰せられることについて

 自然的要因

 人的要因

酒類の原料及び製法に関する事項

 原料

 製法

酒類の特性を維持するための管理に関する事項

酒類の品目に関する事項 

 この改正指定の構成は、フランスの地理的表示ワインの生産基準(cahier des charge)とほぼ同じであり、また、内容についてはフランスのPDO(AOC)(保護原産地呼称)よりは規定(生産条件等)が詳細でないものの、PGI(IGP)(保護地理的表示)よりは規制事項が詳細である。これによって、日本は、ワインについてはその地理的表示ワインの内容を明確に説明し保証できるsui generisの制度とすることが明確に示されたといえる。  

現在、北海道で地理的表示の指定に向けた検討が行われており、また、長野県でも検討が始まっている。このように地理的表示は徐々にではあるが、ワイン生産の主要県を中心に指定がなされていくものと思われる。

 2015年には、ワインを含む「果実酒の製法品質表示基準」が制定され、「日本ワイン」は、「日本で収穫されたブドウのみで造られ、水を添加していないワイン」と定義され、表示上、輸入濃縮果汁など海外原料を使用したワインとは明確に区分されることになった。しかし、品質については何らの説明や保証がない。このような状況の下で、日本ワイン中で品質を含む内容が説明・保証できる地理的表示ワインがこれから進展することによって、日本ワインの品質が一層向上し、日本の消費者ばかりでなく世界でも日本ワインの評価が高まっていくことが期待される。