アメリカ食品安全近代化法について                                    2011年1月                                                       橋 梯二
 
この資料は、食品関連産業国際標準化システム・食品トレーサビリティ協議会において2011年に発行された資料に掲載されているものである。

         食品安全近代化法の経過

 アメリカでは、1938年の食品・医薬品・化粧品法制定以来、逐次食品安全制度を充実し、HACCPの導入、リスク分析手法の開発など食品安全に関する制度について世界をリードする役割を果たしてきた。最近では、2002年のバイオテロリズム法によるトレーサビリティの導入や輸入食品の安全対策の強化が図られた。

 しかし、近年食品の安全に関する事故は多く、特に多発する食中毒については、減少するよりも最近やや増加気味であるなど、食品安全に対する不安が問題視され、現行の食品安全制度の有効性に対する疑問も生じていた。

 このような状況から、2007年にブッシュ大統領は、食品安全制度の対する総点検を求め、その後オバマ大統領は、ワーキンググループの設立など食品安全対策を打ち出した。一方、議会においても2007年から食品安全制度の欠陥と改革について議論され、いくつかの食品安全法案が発表された。2009年ジョン・ディンケル下院議員(ミシガン州)により食品安全強化法案(H.R.2749)が提出され、同年7月30日下院を通過した。また、上院においても2009年3月上院法案(S.510)がリチャード・ダービン上院議員(イリノイ州)によって提出され、2010年11月30日に可決した。今後下院との調整(レヴィユーと承認)を行った後、大統領署名が行われる予定になっている(2011年1月時点)。

        食品安全近代化法の概要

1食品危害に対する予防管理の強化
 まず、第一に、食品危害を予防し、発生と被害を最小限にする予防措置に重点が置かれている。その対策は、事業者に対する具体的な予防管理の義務化、FDAの検査や事業者の記録閲覧などの権限の強化及び予防管理を中心とした新制度の創設などである(第1部)。

(1) 事業者の予防管理の義務化
 HACCPの対象となっている食品施設等を除きFDAに登録を義務付けられているすべての施設は、危害の発生を防止し、最小限にする予防管理措置を具体的に定め実施しなければならないことになった(罰則を伴う義務)。また、関連する記録の2年間の保存義務も課せられた(第103条)。 

(2) FDAの権限の強化
 食品危害の発生が予想される場合、FDAはその食品を製造、流通、輸入しているすべての事業者のその食品に関連するすべての記録を閲覧できる権限を持つことになった(第101条)。

 また、検査に関連する料金を施設から徴する権限をFDAに与え、主として再検査の対象となった施設、迅速輸入計画の対象となっている施設から料金を徴収することとなった(第107条)。 

 さらに、登録施設について2年ごとに登録の更新を行わなければならないこととし、また、施設に問題がある場合は、登録の停止をFDAが行えることとした(第102条)。

(3) 青果物に関する新たな制度の創設
 食品事故が比較的多い生鮮の野菜及び果物について危害の予防と危害を最小限にするための農家の生産から消費に至るまでの規則を作成することとした。しかし、規則の具体的な内容は法律では明らかでなく、施行後1年後に規則案が公表されることになっている(第105条)。

2危害発生の場合の対応の強化 

第2には、食品危害の原因の早期究明及び危害発生の場合の対応の強化に重点が置かれている。その内容は、検査頻度の向上、トレーサビリティの強化、義務回収の導入等である(第2部)。

(1) 検査頻度の向上
 高リスク食品の登録施設を特定し、その施設の検査を重点的に行う。また、検査頻度を高め、国内施設については、5年以内に少なくとも1回、その後は3年ごとに検査を行う。また、海外施設については1年目に600の施設について検査し、その後、年々検査数を増やし、5年後には約10,000の施設について検査しなければならないこととした(第201条)。

 また、検査と関連して必要となる分析や試験を実施する試験機関を認定する制度も取り入れた(202条)。

(2) 追加トレーサビリティの導入
 リスクの高い食品を指定し、その食品については、従来のトレーサビリティ義務に追加した記録の義務を課すこととなった。しかし、追加義務は追跡を中心としたものと思われるが、具体的な内容は明らかのなっておらず、FDAが有効なトレーサビリティ手法の開発(270日以内)及び追加的トレーサビリティに関する規則案を発表(2年以内)しなければならないことになった(第204条)。

(3)  義務回収の導入
 従来、回収は事業者の自主的なものとされていたが、問題が生じた場合FDAは出荷の停止を命ずることができ、直ちに聴聞を行い、その後必要な場合には回収の命令を行うことができることとなった(第206条)。

3 輸入食品の安全対策の強化
 第3には、輸入食品の安全確保について輸入事業者の義務拡大、海外施設の検査の強化等を中心に大幅に強化した。その内容は、海外の供給事業者の予防管理実施と法令違反がないかを輸入事業者が確認しなければならない義務、輸入証明書の要求、海外施設検査拒否の場合の輸入停止などである。さらに、輸出国の食品安全に関する制度がアメリカと同等でなければならないとし、FDAに対してこれを輸出国に可能な限り要求していかなければならないとの規定も設けられている(第3部)。

(1) 海外供給業者確認計画への輸入業者の参加
 すべての輸入業者は、輸入食品が海外供給業者によって本法に規定する予防管理等に従って生産されていること及びアメリカの法令に違反する不正がないことを確認する海外供給業者確認活動を実施しなければならない(第301条)。

(2)  輸入証明の要求 
 ある食品について輸入の条件として、アメリカの法律の要求事項に合致していることの第3者機関による証明を要求できることになった(303条)。また、この証明を行うことができる第3者監査機関の認定手続きを整備することとした(第307条)

(3) 海外施設の検査
 海外登録施設の検査を容易にするため、FDAは、外国政府と調整を進めつつ、検査頻度を高めていくこととした。また、外国政府又は海外施設がアメリカの検査を拒否した場合は、食品の輸入を停止しなければならないこととした(第306条)。


(4) アメリカと同等の食品安全制度の要求
 ある輸入食品についてアメリカと同程度に安全であると確信できない場合は、当該国等が改善を示し、その食品の管理がアメリカと同程度の安全を確保することを示すことができる手順をFDAは確立しなければならないこととした(第303条)。

4 FDAの体制の強化等
 第4は、食肉、肉製品、卵製品以外の多くの食品安全を所掌するFDAの権限と組織が弱体であることが食品安全の確保にとって問題であるとの従来からの批判に対応して、FDAの体制と予算を強化することとした(第4部)。

現地スタッフについては、毎年人員を増加させ、2014年度までに5000人とすることを目標とする(2011年に比較し1000人増)。また、2011年から2015年までの現地スタッフの活動費を確保することとしている。

また、アメリカでは、食品安全に関する行政権限がいくつかの省に分散し統一的かつ一体的に施策を進めていくことに問題があるとの議論が長い間なされているが、今回の食品安全近代化法においては従来の各省の権限には変更を加えないこととしている。

  食品安全近代化法の意義と問題点

 食品安全強化法は、アメリカで現実に多発する食品の危害を防止し、国民の健康を保護するためには、従来重視されていたリスク評価のほかに、生産、輸入から流通、消費に至る過程で発生するリスクの予防管理を強化しなければならないとの認識に立っている。そのため、国内事業者及び輸入事業者の予防管理の責任について罰則をもって強化するとともに、予防管理徹底のほか事故が生じた場合の迅速な原因究明、被害の拡大の防止のため、FDAの検査、記録閲覧、回収の権限などを強化する措置を導入している。これは、食品安全の確保について基本的には生産や流通の過程を問わない、あるいは行政が介入しないという従来のアメリカの食品安全・品質政策の基本概念の修正ともいえる。この基本概念は、2002年のバイオテロリズム法あたりから徐々に修正が加えられていたが、今回の食品安全近代化法によってより明確になったと思われる。この意味で、今回の法律は、1938年に成立した食品・医薬品・化粧品法以来の大改正といえよう。

 食品安全近代化法は、この結果、食品事業者に大きな負担を要求することになると思われる。ただ、法律では各制度の具体的な内容はまだ明らかにされておらず、今後1から2年の間に作成される関連の連邦規則の検討において費用と便益等の議論が活発になると予想される。

 特に、輸入食品の安全制度では、輸入業者の負担が重くなり、かつ、海外の輸出業者にも間接的に負担がかかることが考えられる。さらに、アメリカの検査権限や第3者機関の監査権限さらには輸入業者の確認行為が海外の施設にも相当程度及ぶ制度となっており、水際検査だけでは輸入食品の安全は守れないとの考えがこの法律によって明確になっている。これは世界の輸入食品の安全確保の制度にも影響を与え、WTOやコーデックスでも論議される可能性もある。


食品安全近代化法の概要

        (Food Safety Modernization Act S.510)

 この概要は、食品安全近代化法の各条の重要と思われる事項について要約したもので、各条に規定されている事項すべてを要約しているものではない。また、見出しについても必ずしも法律の条文どおりでないものもある。

また、本法では保健福祉省長官(FDAの上部機関)が規則やガイドラインの作成あるいは決定等を行う際、「農務省長官と協議して」との規定が多いが、本概要では協議先については基本的には省略した。

第1条   表題、改正引用及び目次

 本法は、「FDA食品安全近代化法」として引用される。また、本法は、特段の規定がない限り、「連邦食品・医薬品・化粧品法(21 U.S.C.301et seq)の規定の改正を行うものである。

                                FDAとは連邦食品医薬品局(Food and Drug Administration)である

第一部         食品安全問題防止能力の改善

第101条 記録の検査

  (法第414条(a)(21 USC 350(a)の改正)

 長官(保健福祉省長官)がある食品の使用等が人間又は動物の健康に重大な悪影響を及ぼすと信じる場合は、当該食品を製造等(製造、加工、包装、流通、受領、保管又は輸入)しているすべての者は長官に指定された者の要請に応じて当該食品に関するすべての記録の閲覧及びコピー(access)をその者に認めなければならない。

 当該閲覧等の対象となる記録は、当該食品の製造等に関し保存されているいかなる形式のまたいかなる場所における記録である。

                               

 21 USCは、連邦食品・医薬品・化粧品法である。

  「法」とは、連邦食品・医薬品・化粧品法を指す。

  「長官」とは、特段の断りがない限り、保健福祉省長官を指す。

第102条 食品施設の登録

    (法第415条(a)(USC350d)の改正)

(1)2年ごとの施設の登録更新

 登録申請していた登録事業者は、偶数年の10月1日から12月31日までの間に長官に対し施設の登録の更新を申請しなければならない。長官は、変更のない登録事業者に対する簡易更新手続きを定めなければならない。

(2)登録の停止

 登録は、長官が本法によって認められた時期及び方法によって、当該施設を検査することが認められることを保証することが含まれていなければならない。

 長官がある施設で製造等されている食品が人間又は動物の健康に対する重大な悪影響を及ぼす合理的な可能性があると判断した場合、長官は命令によって登録を停止することができる。また、長官は登録停止命令の対象になった登録事業者に非公式な聴聞の機会を与えなければならない。 

(3)改善行動計画

 非公式の聴聞を行った後、長官が登録の停止の継続が必要と判断した場合、長官は、登録を受けている者に対して改善計画の提出を要求しなければならない。

(4)規則の作成

 長官は、登録の停止に関する規則を制定しなければならない。

(5)施行期日

 登録の停止制度の施行は、長官が規則を制定した日から180日後とする。

(6)食品小売業の定義

 次を食品小売業に含めるものとする(施設の登録義務の対象外)。

@  消費者に直接販売する道路わきの小売り施設又は農民マーケット、ただし、食品を加工し、生産する場所以外にある施設。
A  コミュニティ支援の農業計画を通じて流通・販売する施設。
B  長官が定めるその他の直接流通・販売の場所

                               

・施設
「施設」とは「登録施設」のことである

・施設の登録 
  2002年バイオテロリズム法によって、食品を製造、加工、包装、保管又は輸入している国内施設及びアメリカに食品を直接輸出している海外施設についてFDAへの登録を義務づけた(2003年施行)。
登録施設は420,000あるといわれ、その半数は海外施設である。

・施設の登録の適用除外
  農場、レストラン、食品小売業、漁船及び農務省が全面的に管轄する食肉、鶏肉、卵製品に係る施設は登録の対象から除かれている。

第103条 危害分析及びリスクに基づく予防管理
(法第4章(21 USC.341 seq)の改正、法第418条として追加

(1)危害分析及び予防措置

@ 基本事項
 施設の所有者等(所有者、経営者又は代理人)は、食品に与える危害等を評価し、当該危害の発生を最小限にするか予防する予防管理を確定し、実施しなければならない。また、当該食品に不正がないこと及び表示に不正がないことを保証しなければならない。さらに、これらの管理を監視し、通常の業務として監視の記録を保持しなければならない。

A 危害分析
施設の所有者等は、既知のあるいは合理的に予想される危害の特定及び評価を行わなければならない。

B    予防措置
施設の所有者等は、重要管理点を含む予防管理を特定し、実施しなければならない。

C 結果の監視
施設の所有者等は、実施した予防管理の有効性を評価しなければならない。

D    改善措置
予防管理が適切に実施されないか効果がない場合は、施設の所有者等は実施の失敗によって生じる再発を減ずる措置、影響を受けるすべての食品の安全評価を実施しなければならない。また、影響を受けた食品が内容及び表示について不正がないことを証明できない場合は、影響を受けた食品すべてについて販売を停止しなければならない。

E    確認
施設の所有者等は、予防管理が適切であるかどうか、監視を実施しているかどうか、改善措置について適切な決定をしているかどうか、予防管理が危害を最小限にし、予防しているかどうか、計画が書面化され定期的に分析をしているかどうかについて確認しなければならない。

F   記録保持
施設の所有者等は、少なくとも2年間は、予防管理の監視、食品安全につての違反、テストの結果、実施した改善措置等についての記録を保持しなければならない。

G   書面による計画
施設の所有者等は、施設が本条の要求事項を満たすためにとる手続きに関して書面による計画を作成しなければならない。

H   再分析
施設の所有者等は、施設の事業に重要な変更がある場合は、危害に関する分析をしなければならない。長官は、新しい危害と科学的な進展に対応するよう分析を要請することができる。

(2)適用除外

@ 次に従うことを要求されている施設は、本条は適用されない。
  FDAの水産物に関するHACCP

  FDAのジュースに関するHACCP

  FDAの熱処理低酸度密閉容器入り食品基準

A 法第419条に従う施設の事業(生鮮果実及び野菜の安全基準に従う事業者の施設)に対しては本条は適用されない。

B 補助食品(dietary supplement)の生産等をしている施設については、本条による改正は、適用されない。

(3)認定施設(qualified facility)に対する要求事項の変更

零細施設(very small business)及び販売額が一定額以下の施設については上記(1)の@からHまでの義務の適用は免除される。

しかし、当該施設の所有者等は、潜在的な危害を特定し、予防管理を実施し、監視していることを示す文書を長官に提出しなければならない。

また、食品由来の病気(foodborn illness)の発生に関連して義務適用免除の施設に関係する積極的調査(active investigation)が行われている場合、あるいは長官が公共の健康(public health)を保護する必要があると判断した場合は、長官は、当該免除を撤回することができる。

(4)規則の作成

本法施行後18ヶ月以内に長官は、危害分析、危害の記述、予防管理等を実施するための科学を基礎とした最低限の基準を確立するために規則を作成しなければならない。

また、長官は、危害分析及び予防管理に関する規則についてのガイダンス資料を作成しなければならない。

(5)農家の加工等に係る規則の作成

 本法施行後9カ月以内に長官は、農場で栽培又は飼育されていない農産物からの食品を当該農場で行っている包装、保持に係る事業及び当該農場で消費されない食品の製造・加工を行う農場の事業に関する規則の提案を行わなければならない。また、長官は、規則の提案に対するコメント提出期間終了後9カ月以内に最終規則を定めなければならない。

(6)禁止行為(罰則)

 アメリカ国内において、施設の所有者等が法第418条(本条)に従っていない行為は、法第301条(21 USC. 331)にいう禁止行為となる。

(7)施行期日

 本条による改正は、本法の施行後18カ月後に施行する。
                               


・不正
 「食品の内容における不正」とは食品・医薬品・化粧品法第402条に定められた「adulteration」であり、健康に害のある有毒なあるいは不衛生な物質が混入されていたりして食品が法律違反とみなされることである。また、「表示における不正」とは同法403条に定められた「misbranding」であり、表示や提示において事実と異なることや消費者に誤認を与えることを示すことを指し、これも法律違反とみなされる。アメリカでは、この二つが食品安全に関する不正(違反)の基本的概念である。

・食品由来の病気
 本法第205条に「食品由来の病気の発生」とはある食品の摂取によって同様の病気が2件以上発生することをいうと定義されている。主として食中毒の発生である。

・禁止行為
 食品・医薬品・化粧品法第301条による禁止行為については、連邦政府は連邦裁判所に対して民事訴訟を行うことができる。また、連邦政府は、違反者に対して連邦裁判所において刑事的責任を追及できる。

第104条 実施基準

 重大な食品由来の病気の食品汚染物質を決定するため、長官は、少なくとも2年ごとに、毒性学的及び感染学上の研究、分析、現行の適正製造規範(Good Manufacturing Practices)等を含む健康に関するデータ及び他の関連情報を見直し、評価しなければならない。また、長官は、特定の汚染物質に関する科学を基礎としたガイダンスを含む文書を作成しなければならない。

第105条 製品安全のための基準

(法第21 USC. 341 et seq)の改正、法第419条として追加

(1)基本事項

 本法施行後1年以内に長官は、長官が健康に対する重大な悪影響を最小限にする必要があると判断した生鮮の果実及び野菜について安全な生産と収穫に関する科学を基礎とした最低基準に関する規則案を公表しなければならない。長官は、コメント提出期間終了後1年以内に最終規則を作成しなければならない。

(2)規則の内容

 健康に対する重大な悪影響を最小限にするために必要と長官が決定する手続きや行為について定め、発生が合理的に予想される生物学的、化学的及び物理的な危害を予防する手続きや行為が含まれていなければならない。

 また、小企業(small business)に対しては、規則の適用を規則の施行の日から1年後とする。

(3)規則の適用変更

 アメリカに食品を輸出している国は、本規則の適用変更(variance)を長官に対して要請できる。長官は規則の一部又は全部について適用変更を認め、その適用範囲を特定することができる。

(4)適用除外

 過去3年間において消費者やレストラン等の最終消費者への年平均販売額が他の購入者への販売額を超えている農家及び過去3カ年の平均販売総額が50万ドル未満の農家には本条は適用されない。

 しかし、食品由来の病気の発生に関連して適用免除になっている農家に関係する積極的調査(active investigation)が行われている場合、あるいは長官が公共の健康を保護する必要があると判断した場合は、長官は当該免除を撤回することができる。

(5)禁止行為(罰則)

 本条の要求事項に従っていない行為は、法第301条(21 USC 331)にいう禁止行為となる。

第106条 国際的な不正に対する保護

 (法21 USC 341 et seqの改正、法第420条として追加

(1)基本事項

 長官は、@食品システムの欠陥(vulnerability)に関する評価、A不確実性、リスク、コスト、便益の理解への考慮及びB国際的な食品の不正から保護するための戦略と措置の決定を行わなければならない。

(2)規則の作成

 本法の施行後18カ月以内に長官は、国際的な食品の不正から守る規則を作成しなければならない。規則は国際的な汚染の高いリスクがある食品に対してのみ適用となる。

(3)適用除外

 本条は、牛乳を生産している農家を除き、農家には適用にならない。
(4)禁止行為(罰則)

 本条に従っていない行為は、法第301条(21 USC 331et seq)にいう禁止行為となる。

第107条 料金徴収

  (法第7章(21 USC 379 et seq)の改正、法第734条として追加

(1)料金

 2010年以降長官は、次の者に課す料金を評価し徴収しなければならない。

@再検査(reinspection)の対象となる国内施設の責任者及び外国施設のアメリカにおける代理人(agent

A回収命令に従わなかった国内施設の責任者及び輸入業者

B任意認定輸入業者計画voluntary qualified importer programに参加している輸入業者(本法第302条参照)

C再検査の対象となる輸入業者

(2)再検査

 本条における再検査とは、国内施設については、法第704条に基づき検査(inspection)が行われ、食品安全の要求事項に従っていないと判断された後、改善されたかどうかを判断するために同条に基づき行われる検査である。また、輸入業者については、法第801条に基づき調査(examination)が行われ、食品安全の要求事項に従っていないと認められた後、改善されたかどうかを判断するために同条に基づき行われる調査である。

(3)料金の額

 長官は、年度の開始60日前に、連邦告示(federal register notice)に本条による手続きに従って決定された当該年度における料金を公表しなければならない。

    (4)徴収料金の使途

 長官は、徴収した料金が再検査、回収命令、任意認定輸入業者計画、輸入業者の再検査のみに使われるようにしなければならない。

(5)長官は、1年度において次の額を超える料金を徴収できない。

@  回収命令に係る料金 2000万ドル

A  再検査に係る料金  2500万ドル

(6)料金の徴収

 長官は、連邦告知において決定された料金の支払い時期と方法について特定しなければならない。また、料金が30日以内に支払われない場合は、当該料金は連邦法(subchapter II of chapter 37 of title 31)による合衆国政府の要求財産(claim)となる。

108条 農業及び食品防衛国家戦略

 本法施行後1年以内に保健福祉省長官及び農務省長官は、農業及び食品防衛国家戦略を作成し、議会に提出すると同時に公表しなければならない。この戦略には、@農業及び食品制度に関する対応目標、A汚染等を確認するなどの発見目標、B緊急事態への対処目標及びC緊急事態からの回復目標が含まれていなければならない。

第109条 食品及び農業調整委員会

 国内安全省長官(Secretary of Homeland Security)は、保健福祉省長官及び農務省長官と協議し、本法施行後180日以内に、また、毎年、議会の関係委員会に食品及び農業調整委員会の活動に関する報告書を提出し、公表しなければならない。

第110条 国内能力の形成 

(1)報告書

 本法施行後2年以内に長官は、食品由来の病気の発生とその他の危害を防止するための食品安全及び供給過程における安全に関する計画と実行についての総合的な報告書を議会に提出しなければならない。

(2)2年ごとの報告書

 長官は、上記(1)の報告書をもとに、食品安全計画と実施の見直し、将来の計画等に関する報告書を議会に提出しなければならない。

(3)登録施設の識別番号(unique fidentification number

 本法施行後1年以内に長官は、各登録施設の識別番号を求める計画の開発と実施に関する検討を行われなければならない。また、本法施行後15カ月以内に長官は、この検討の結果及び長官が適当と判断する勧告に関する報告書を議会に提出しなければならない。

第111条 安全な食品輸送

 本法施行後18カ月以内に長官は、食品・医薬品・化粧品法第416条(b)に規定する規則を作成しなければならない。また、長官は、航空機による輸送、安全な

食品の流通に関する農村及び遠隔地の必要性に関する検討を含む輸送に関する検討を行わなければならない。

第112条 食品アレルギー及びアナフィラキシー管理

(1)ガイドラインの作成

 本法施行後18ヶ月以内に長官は、任意のものとして使われる学校における食品アレルギー及びアナフィラキシーのリスクを管理する計画を開発しなければならない。

 本法施行1年以内に長官は、任意のものとして使われる学校等における食品アレルギー及びアナフラキシーリスクを管理する計画を開発しなければならない。

(2)学校におけるアレルギー管理補助金(grants

 食品アレルギー及びアナフィラキシー管理ガイドラインの実施について地方教育機関を支援するため補助金を支給することができる。

第113条 新食品素材

  (法第413条(21 USC 350b)の改正)

 長官が本条(第413条)に基づき提出された新食品素材に関する通知がanabolic steroid及びその類似物質(an analogue)を含む素材を利用した補助食品(dietary supplement)が合理的に安全とするのに適当でないと判断する場合には、長官はDrug Enforcement Administrationに通知しなければならない。

第114条 生鮮カキ(牡蠣)のポストハーベスト加工に関するガイダンス要件

 FDAが発する「国家貝類衛生モデル命令(National Shellfish Sanitation Model Ordinance)」に対するガイダンス、規則、改正などが生鮮カキに関するものである場合、長官は、カキのポストハーベスト措置が迅速で安全かコストはどうかなどに関する報告書をその改正案提出の90日以前に議会に提出しなければならない。

第115条 港での購入(Port Shopping

 2002年バイオテロリズム法第308条による改正の実施に関する最終規則が作成されるまで、長官は、長官が法第801条(a)に基づいてアメリカへの搬入を拒否するすべての事案について国家安全省長官に対して通報しなければならない。これに基づき国家安全省長官は、輸入港における当該食品のアメリカへの搬入を拒否できる。

第116条 アルコール関連施設

 本法第102条(施設の登録)、第206条(回収)、第207条(行政隔離)、第302条(任意認定輸入事業者計画)、第304条(事前通報)、第402条(従業員保護)、第403条(行政権限)及び第404条(国際協定の遵守)の規定及びこれらの規定による改正規定を除き、本法は、次のアルコール関連施設には適用されない。

@  連邦アルコール管理法に基づき免許を又は登録を要求されている施設

A  法第415条によって登録を要求されているアルコールを製造等している施設

   第2部 食品安全問題の発見及び対応能力の改善

第201条 国内施設、海外施設及び輸入港に対する検査資源の重点配分、年次報告

  (法第4章( 21 USC 341 et seq)の改正、法第421条として追加)

(1)施設の特定及び検査

長官は、高リスクの施設を特定し、その施設の検査に資源を集中しなければならない。高リスク施設の特定に当たっては、次を考慮する。

@ その施設で製造等される食品の既知のリスク

A 施設の食品回収、食品由来の病気の発生食品安全基準の遵守の経歴

B  施設の危害分析、予防措置の有効性

(2)検査

本法施行後長官は、すべての施設の検査頻度を上げなければならない。

高リスクの国内施設については本法施行後5年以内に少なくとも一回を超える検査、その後は少なくとも3年ごとに検査を実施しなければならない。

 高リスクでない国内施設については本法施行後少なくとも7年以内に1回、その後は少なくとも3年ごとに検査を実施しなければならない。

 海外施設について本法施行後1年目は600の施設について検査を実施しなければならない。その後の5年間は、前年の検査施設の2倍以上の施設を毎年検査しなければならない。

(3)輸入港における施設の特定及び検査

 長官は、アメリカに輸入される食品について検査するために以下を考慮して資源を配分しなければならない。

@ 食品についての既知のリスク

A 食品の輸入先国・地域の既知のリスク

B 輸入業者の違反の経歴

C 法第805条に定める海外供給業者確認計画の要求事項を満たすために輸入業者が行っている業務の厳格さと有効性

D 輸入業者が法第806条に定める任意認定輸入業者計画に参加しているかどうか

E 食品が法第801条(h)(1)にいう優先基準に合致しているかどうか

F 法第801条(q)又は法第806条に定める証明をその施設が受けているかどうか

(4)海産物に関する機関間の合意

 保健福祉省長官、商務省長官、連邦貿易委員会議長及びその他の関連機関の長は、海産物の安全を改善するために必要な合意に参加することができる。

(5)議会に対する報告

 毎年2月1日以前に長官は議会に対して食品の検査について責任のある連邦機関との調整と協力に関する努力を含む報告書を提出しなければならない(21 USC 393の改正)

第202条 食品の試験機関(laboratory)の認定(accredition)

   (法第4章(21 USC 341 et seq)の改正、法第422条として追加)

(1)試験機関の認定

 長官は、本法施行後2年に以内に認定試験機関による試験(testing)の計画を策定しなければならない。また、長官によって承認された(recognized)認定を行う機関(認定機関)及び認定機関によって認定された試験機関の公表登録簿を作成しなければならない。

(2)海外試験機関

 長官によって承認された認定機関は、アメリカ以外で活動する試験機関を認定することができる。ただし、当該試験機関が国内の試験機関に適用される認定基準に合致していることが必要である。

(3)試験の実施手続き

 本法施行後30カ月以内に食品試験は、以下の場合は、連邦の又は連邦以外の認定試験機関によって行われなければならない。

@  本法あるいは実施規則による特定の試験の要求あるいは長官の要請に基づくもので所有者のために、あるいは委任を受けて実施する場合

A  法第801条(a)による産品の輸入支援、及び継続した試験が要求される輸入警告(import alert)に基づくもので所有者のために、あるいは委任を受けて実施する場合

(4)試験結果の報告

 試験結果はFDAに直接報告しなければならない。

(5)食品緊急事態対応ネットワーク(Food emergency response Network)

 本法施行後180日以内に、その後は2年ごとに長官は、議会の関係委員会に対して食品緊急事態対応ネットワークの実施状況に関する報告書を提出しなければならない。

第203条 試験機関ネットワーク統合機構(consortium

 国内安全省長官は、試験機関ネットワークのメンバーの共通の試験方法、共同で行う活動、メンバー間の関係の構築等に関する合意を維持しなければならない。

第204条 追跡及び遡及(tracing and tracking)並びに記録(トレーサビリティ)の強化

(1)パイロット計画の作成

 本法施行後270日以内に長官は、食品産業と調整し、食品由来の病気の発生を防止し、また健康に対する重大な悪影響に対処するため、食品の受領者(recipient)を迅速かつ効果的に特定するための方法を開発し評価するためのパイロット計画を作成しなければならない。

(2)産品の追跡手法

 長官は、アメリカにおける又は輸入される食品の追跡と遡及を迅速かつ効果的に行う能力を改善するための手法を必要に応じて開発しなければならない。

(3)高リスク食品に対する追加的な記録要求

 本法施行後2年以内に長官は、食品由来の病気の発生を防止し軽減するため、ある食品の受領者を早期にかつ確実に特定するため、また当該食品が内容と表示において不正であることによって健康に重大な悪影響を及ぼす脅威に対処するため、現行の記録義務に追加して長官が指定する高リスクの食品の製造等を行う施設に適用される規則案を提示しなければならない。

 この規則は、@食品の原産からの以前のすべての流通の経過の完全な記録、A食品の直近の受領者を超えた受領者の記録等を求めてはならない。また、長官の要請から24時間以内に閲覧等が可能となる限りにおいて中央のあるいはその他の場所に記録を保存することが可能となるように定めなければならない。

(4)高リスク食品の指定

 本法施行後1年以内に長官は、公共の健康を保護するため、記録が適切で必要と認める高リスク食品を指定しなければならない。この指定に当たっては次の要素を基礎としなければならない。

@  特定の食品についての食品由来の病気の発生の頻度と重要度の経歴を含む既知の安全リスク

A  特定の食品について微生物学的又は化学的汚染の高い潜在リスクの存在の可能性、又は感染微生物の成長を助長する可能性

  B   食品の製造過程において汚染が最も生じやすい点

 C   汚染の可能性とそれを減じるための製造過程においてとら  れる措置

 D   特定の食品の摂取が汚染によって食品由来の病気を発生さ せる可能性

(5)高リスク食品リストの公表

 長官が最終規則を定めた時点において長官はインターネットにおいて高リスク食品のリストを公表しなければならない。

(6)記録の保存

長官は、2年を超えない期間において適用食品の腐敗のリスク、価値の低下、味の劣化を考慮して施設が記録を保存することを要請できる。

(7)適用制限

@農家・学校計画の特例

長官は、農務省長官と協議のうえ、農務省が行う農家・学校計画への影響を考慮して、追加的記録に関する要求事項を変更しなければならない。

A農家の適用除外

農家が食品の生産と包装を一体的に行っており、汚染を防止し、さらに食品に名前、住所電話番号及び農家番号が表示されている場合は、追加的記録に係る要求事項は適用されない。

B漁船の場合の適用制限

漁船の使用によって生産されている食品については、漁船の所有者等が当該食品を販売する時点までは追加的記録に関する要求事項は制限され、法第415条に基づく登録が必要な施設の所有者等は当該食品の直近の購入先と販売先のみを記録しなければならない。

C生鮮農産物が混入している場合の適用制限

生鮮農産物が混入している場合は、追加的記録に関する要求事項は制限され、法第415条に基づく登録が必要な施設の所有者等は当該食品の直近の購入先と販売先のみを記録しなければならない。

D農家の消費者への直接販売の場合の適用除外

農家が消費者に対して直接販売している場合は、追加的記録に関する販売記録は要求されない。

(8)評価及び勧告

  最終規則施行後1年以内にComptroller Generalは、議会に対し、規則遵守のコスト及び規則による零細企業のその他の負担並びに連邦、州及び地方の食品安全実施と要求事項等に関する報告書を提出しなければならない。

(9)農家に対する情報提供の要請

  長官は、食品由来の病気の発生に関する積極的調査の期間中、又は長官が公共の健康を守るために必要と判断した場合は、州及び地方政府と協議して、農場の所有者等に対して積極的調査の対象となっている食品の消費者以外の可能性のある直近の受領者を特定するよう要請できる。

(10)禁止行為(罰則)

 本条に基づく記録に関する要求事項に対する違反は法第301条(21 USC 331(e))にいう禁止行為となる。

第205条 監視(surveillance)

(1)食品由来の病気の監視システム

 長官は、食品由来の病気に関するデータの収集、分析、報告、データの有用性を改善するため、監視システムを強化しなければならない。

(2)作業グループ

 長官は、連邦、州及び地方の専門家及び関係者による作業グループを支持し、維持しなければならない。

(3)予算措置

 食品由来の病気の監視システムの活動のために2011年から2015年までの間、毎年2400万ドルの予算措置をとる。

(4)長官は、州及び地方機関における食品安全及び防止の能力を向上し強化するための戦略を開発し実施しなければならない。

第206条 義務回収の権限

  (法第4章(21 USC 341 et seq)の改正、法第423条として追加)

(1)任意回収等手続

 ある食品が健康に対して重大な悪影響があると長官が判断した場合、長官は、責任のある者に対して当該産品の流通停止及び回収の機会を提供(provide)しなければならない。

(2)聴聞前の流通停止命令

  責任あるものが任意の流通停止又は回収を拒否したり、一定期間内に行わなかった場合は、長官は、その者に対し命令(order)によって当該食品の流通停止及び必要があればすべての者へ通知することを要請(require)できる。

(3)聴聞

 長官は、流通停止命令の対象となった者に対する非公式の聴聞を命令発出ご2日以内に行わなければならない。

 (4)聴聞後の回収命令及び変更

 聴聞を行った後長官が当該食品の回収が必要と判断した場合は、長官は、命令を変更し当該食品の回収を要請しなければならない。その場合、回収を行う時期の特定、長官への定期的な報告要請、当該食品が流通していることあるいは流通する可能性についての消費者への通知を行わなければならない。

(5)罰則

 法第423条による命令の拒否及び不服従は、法第301条にいう禁止行為となる。また、回収命令に従わない者は、法第303条の刑事罰が適用される。

第207条 食品の行政隔離(administrative detention

  (法第304条(21 USC 334(h)(1) (A)の改正)

 本法施行後120日以内に長官は、連邦規則コードSubpart K of part 1 of title 21を改正する暫定最終規則を作成しなければならない。

                                                              

 ある食品が人間の健康に重大な悪影響を及ぼす確かな証拠がある場合に一定期間当該食品の隔離を命じることができるが、その権限を強化することが考えられており、本法施行後120日以内に結論を出すことと規定している。

第208条 汚染除去及び処分に関する基準及び計画

(1)基準の開発

 環境保護庁長官は、特定の汚染脅威物質及び未解明の動物疾病の汚染除去及び処分を行う基準及び方法を開発し、普及させなければならない。

(2)モデル計画の開発

  環境保護庁長官、保健福省長官及び農務省長官は、共同して農業又は食品に対して意図的な汚染を行う個人、装置、施設を排除し、また、感染又は汚染された大量の動物、植物又は食品の処分を行うためのモデル計画を開発し、普及させなければならない。

(3)実施

  環境保護庁長官は、モデル計画を評価し、欠点を確認するため、少なくとも年一回実施(exercise)を行わなければならない。

第209条 州、地方及び部族の公務員の訓練の改善

(法第10章(21 USC 391 et seq)の改正、法第1011条及び法第405条として追加)

第210条 食品安全の強化

 (法第1009条(21 USC 399)の改正、 法第1009条及び法第399V―5条として追加)

(1)食品安全強化補助金(法第1009条)

 長官は、調査及び検査の実施、試験機関の食品安全能力の改善、食品安全計画の構築及び改善等を行う機関に対し補助金(grants)を支給することができる。

(2)食品安全統合センター

本法施行後年以内に長官は、食品由来の病気の発生に対処する連邦、州及び地方の保健に関する専門家に資するため、食品安全統合センターFood safety integrated center of excellenceを指定しなければならない。これらのセンターの本部は選定された州の保健部局に置かれる。

第211条 報告食品登録(reportable food registry)の改善
  (法第417条(21 USC 350f)の改正)

(1)重要情報

本法施行後18カ月以内に、長官は、生鮮の野菜及び果実に関するものを除き、責任ある者に対し報告対象食品(reportable food)の消費者向け情報の提出を要請できる。当該情報には、@当該食品についての説明、A責任ある者への連絡先情報、B消費者が当該食品を所有しているかどうかを正確に確認するための情報等が含まれていなければならない。

(2)スーパーマーケット等(grocery store)での消費者への告知

長官は、報告対象となった食品に関する情報を作成し、スパーマーケット等が消費者告知のために使う1ページのサマリーを容易にプリントできる形式でインターネットに掲載しなければならない。

(3)禁止行為(罰則)

 法第417条(h)に規定する情報の要求事項に合致していない行為は法第301条による禁止行為となる。

                               

 
 FDAは、ある食品について重大な健康被害が起きる合理的な可能性がある場合に、警告又は告知を行い、その食品を生産、加工、包装又は保有している登録施設に、24時間以内にFDAにコンピュータによって報告しなければならない義務を課す制度を2009年に発足させた。アメリカに輸出する施設も対象になる。報告対象産品はFDA所管の食品であり、農務省所管の食肉、肉製品、卵加工品は対象にならない。この報告制度はFDAが危害の発生状況をよくトレースし、検査の重点を絞り込むことができ、速やかに食品事故を防止するための制度であるとされる。本条の規定は、消費者に対する情報提供の観点からのこの制度の強化を定めたものである。

         第3部 輸入食品の安全の改善

第301条 海外供給業者確認計画foreign supplier verification program
 
(法章 21 USC 381 et seqの改正、法第805条として追加

(1)確認計画(verification program)

 HACCPの適用を受けている輸入業者及び長官が定める少量の食品の輸入業者等を除きすべての輸入業者は、その輸入食品が@法第418条(危害分析及びリスクに基づく予防管理)又は法第419条(製品安全のための基準)に従って生産されていること及びA法第403条にいう内容や表示において不正がないことを確認するためのリスクを基礎とした海外供給業者確認活動を実施しなければならない。

 この計画の下での確認活動は、出荷に関する監視記録、ロットごとの遵守証明、年次現場検証、定期的な危害分析のチェック、リスクを基礎とした予防管理、テスト及びサンプル出荷を含むことができる。

(2)規則及びガイダンスの作成

 本法施行後1年以内に長官は、海外供給業者確認計画に関する規則を作成しなければならない。また、長官は、輸入業者が海外供給業者確認計画を開発するためのガイダンスを作成しなければならない。

(3)記録の保持及び閲覧

 海外供給業者確認計画に関する輸入業者の記録は、2年以上保存されなければならない。また、長官の代理人の要請に応じて当該記録を速やかに閲覧可能としなければならない。

(4)適用除外

 HACCPが適用となる海産物、ジュース、低酸度缶詰食品の施設について当該施設の所有者等が以下の基準を遵守するよう求められている場合は、本条は適用にならない。

@  FDAの海産物HACCP計画

A  FDAのジュースHACCP計画

B  FDAの熱処理低酸度密閉容器入り食品基準

 また、長官は、研究、評価又は個人消費のために少量輸入される食品についての本条適用の免除を定めなければならない。

(5)計画参加者リストの公表

 長官は、本条に参加している輸入業者について名前、住所、その他の必要な情報を備えたリストを公表し、維持しなければならない。

(6)禁止行為(罰則)

 輸入業者が海外供給業者確認計画に参加せず行う輸入は、第301条にいう禁止行為となる。

(7)施行期日

 本条の施行は、本法施行の2年後とする。

第302条 任意認定輸入業者計画(voluntary qualified importer program
    (21 USC 381 et seqの改正、法第806条として追加)

(1)任意認定輸入業者計画

本法施行後18ヶ月以内に長官は、輸入業者が任意で参加する輸入業者の食品輸入迅速点検及び迅速輸入(expedited review and importation)に係る計画を用意するため、及び輸入食品の施設証明(facility certification)の発行の手続き(本法第307条参照)を作成するために計画を策定しなければならない。

 また、長官は、当該計画に関する参加、取り消し、遵守等についてのガイダンスを作成しなければならない。 

(2)任意参加及び参加資格

 輸入業者は、長官に対して計画に従って指定された食品の迅速点検及び迅速輸入の用意を要求できる。また、計画参加資格は施設証明を受けた施設から輸入する輸入業者に限られる。

(3)罰則

 長官に対する虚偽の報告及び提示は、連邦法18第1001条(section 1001 of title 18,USC)に服することになる。

                               

 連邦法18第1001条によると、法制度や規制等における虚偽の報告等は、罰金、懲役(禁固)の対象となる。

第303条 食品輸入証明の要求

   (法第801条(21 USC 381)の改正)

(1)輸入食品に関する証明

 長官は、ある食品の輸入を認めるに当たっての条件として、(2)にいう証明等を行う機関(entity)が証明又は保証を行っていること及び当該食品が本法の該当要求事項に合致していることを要求できる。

(2)証明等を行う機関

 証明又は保証を行う機関は、長官が指定する輸出国政府又はそれを代表する機関及び法第808条に従って認定された者又は機関(認定第3者監査機関)(本法第307条参照)である。

(3)罰則

 虚偽の証明及び保証は、連邦法18第1001条(section 1001 of title 18,USC)に服することになる。

(4)輸出国の食品安全計画、制度及び基準に関する評価

 長官が外国あるいは外国の地域におけるある産品についての食品安全計画、制度及び基準が本法に従ってアメリカで生産された同種の産品(similar article of food)と同じように安全であると保証するのに不適切であると判断した場合において、長官は、実施可能な範囲において、何が不適切であるかを特定し、当該外国等が長官に対してなされるべき改善を通知し、その食品の管理がアメリカの同種の産品と同じ程度に安全であることを確保することを示すことができる手順を確立しなければならない。

第304条 輸入食品の事前通報
 (法第801条(m)(1)(21 USC 381(m)の改正)

 本法施行後120日以内に長官は、subpart I of part I of Title 21 CFRを改正する暫定最終規則を定めなければならない。

第305条 食品安全に関する外国政府の能力の形成

 本法施行後2年以内に長官は、アメリカに輸出される食品の技術的、化学的及び規制上の外国政府及び関連食品産業の食品安全確保能力を拡大するための総合的な計画を作成しなければならない。

 この計画には、次の事項が含まれていなければならない。

@  2国間及び多国間合意に関する勧告

A  検査報告の多国間認証(recognition

B  アメリカの食品安全要求事項についての外国政府及び生産者の教育・訓練

C  コーデックス要求事項との調和に関する勧告

D  試験方法、発見方法等に関する多国間合意(acceptance

第306条 海外施設の検査(inspection
 (法第8章(21 USC 381 et seq)の改正、法第807条として追加)

(1)検査

 長官は、海外の登録施設の検査を容易にするため、外国政府と調整及び合意を進めることができる。また、高リスク食品に係る施設、供給業者、食品に対する検査に検査資源を当てなければならない。

(2)検査拒否の場合の輸入停止

 海外の工場、倉庫、その他の施設の所有者等あるいは外国政府がアメリカの検査官のこれらの施設の検査を拒否した場合、法律の他のいかなる規定にかかわらず、アメリカへの食品の輸入が拒否されなければならない。

 また、これらの施設の所有者等が検査要求のあった後24時間以内に検査を認めなかった場合、あるいは長官と海外施設との間で合意された期間を過ぎても認めなかった場合は、検査を拒否したものと認める。

(3)商務長官による調査

 商務省長官は、保健福祉省長官と協議して海産物を輸出している者の施設に1人以上の検査官を派遣することができる。

(4)検査報告

 長官は、各検査について検査報告を作成し、対象国また輸出業者に対して報告書を提供しなければならない。また、報告書の結果について輸出業者あるいは輸出国が反論やコメントをするため30日の猶予期間を設けなければならない。

                             

 検査拒否の場合、どのような食品についてアメリカの輸入が停止されるのか法文では明らかにされていないと思われる

                       
第307条 第3者監査機関の認定
(法(21 USC 381 et seq)の改正、法第808条として追加

(1)者監査機関third party auditor

 第3者監査機関とは、外国政府及びその代理人、外国の組合若しくはその他の第3者機関であって、海外の施設等が本条の要求事項を満たしていることを証明するために食品安全監査を実施するふさわしいと長官が認める機関である。

(2)認定された第3者監査機関(認定第3者監査機関)

 長官が承認する認定機関によって認定された第3者監査機関である。個人であってもよい。

 (3)監査対象機関eligible entity

 認定第3者監査機関によって監査を受けることを選択した登録海外施設を含む海外施設である。

(4)認定機関(認定をする機関)の承認

  本法施行後2年以内に長官は、第3者監査機関を認定する認定機関の長官による承認制度を確立しなければならない。

 (5)認定機関の報告

 承認された各認定機関は当該機関が認定したすべての第3者監査機関のリストを長官に提出しなければならない。

(6)証明書の目的

 長官が他の保証と関連して、法第801条(q)の下である輸入食品が同条に合致しているかどうかを決定するために証明を使用する。

 また、長官が任意認定輸入業者計画の下で食品を輸出する施設として資格があるかどうかを決定するために証明書を使用する。

(7)証明書の発行

 認定第3者監査機関は、定期監査終了後及び法の要求事項に従っているかどうかを確認するために行う他の業務の終了後に法第801条に基づく証明書(本法の第303条による証明書)を発行しなければならない。

(8)監査報告の提出

 監査実施後45日以内に認定第3者監査機関は、各監査についての報告書を作成し、長官が定める方法で提出しなければならない。

第308条 FDA海外事務所

 長官は、長官が選定した国に、その国の政府機関に対して食品安全措置に関する支援を行うため、FDAの事務所を設置しなければならない。

 海外事務所の設置に当たっては、長官は、国務省長官、国内安全省長官及びアメリカ通商代表と協議しなければならない。

第309条 密輸食品

(1)基本事項

 本法施行後180日以内に長官は、密輸食品を特定し、密輸食品のアメリカへの移入を防止するための戦略を開発し、実施しなければならない。

(2)通報

 長官は、密輸食品が健康に重大な影響があると判断した後、10日以内に国内安全省長官に法第417条(n)に基づき通報しなければならない。

        第4部 雑則規定

第401条 食品安全予算

(1)基本事項

 食品安全栄養センター(Center for Food Safety and Applied Nutrition),動物医薬品センター (Center for Veterinary Medicine)及びFDAの現地での活動を実施するための2011年から2015年までの予算が認められる。

(2)現地スタッフ(field staff

 上記3機関の活動のために長官は次を目標として現地スタッフを増員しなければならない。

   2011年度  4000人以上

   2012年度  4200人以上

   2013年度  4600人以上

   2014年度  5000人以上

第402条 従業員の保護
(法第4章(21 USC 391 et seq)の改正、法第1012条として追加

(1)基本事項

 食品を製造等している企業は、自発的であれ、職務の義務としてであれ、次の行為を行ったり、行おうとしたことを理由として当該職員を解雇(discharge)したり、差別的扱いをすることはできない。

@  雇用主、連邦政府、司法省長官に対して職員が本法の法令に違反していると合理的に信じる違反及び不作為(omission)の事実等を知らせたり、知らせようとすること。

A  以上のような違反等について証言したり、証言しようとすること。

B  職員が法令違反であると合理的に信じる活動等に参加することに反対したり、拒否すること。

(2)手続き

 上記(1)に違反して解雇されたり、差別的な取り扱いを受けたと信じる者は、この違反が生じた日から180日以内に労働省長官に訴えを起こすことができる(file a complaint)。

 (この後の手続きについて詳しく規定されているが省略する)

第403条 権限

 本法及び本法によって改正された規定は、農務省長官と保健福祉省長官との間の権限、アルコール、タバコ税、管理局と保健福祉省長官との間の権限等を変更するものでない。

第404条 国際協定の遵守

 本法及び本法によって改正された規定は、WTO設立協定又はアメリカが加入しているその他の協定に合致しないと解釈されてはならない。

第405条 予算効果の決定

 本法の予算効果は、2010年Pay-As-You-Go法に従っていることを目的に最新の  Pay-Goの予算効果の宣言の引用によって決定されなければならない。

  2010年11月30日上院通過 


食品安全近代化法海外供給業者確認計画規則提案へ

食品安全近代化法第三者監査機関の認定に関する規則案へ

 
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