AOCジュランソンの生産条件に関する政令

AOCは、現在、約470認定されており、フランスのブドウ栽培面積のほぼ半分を占めている。AOCごとに生産条件を定める政令が定められており、ここでは、その一例としてAOC「ジュランソン」の政令を取り上げてみようと思う。ジュランソンは、ポーに近いフランス南西地方の村である。ここでできる白ワインは、やや甘口で、独特のさわやかな芳香がある。この芳香は産地特有のプティマンサンとグロマンサンとよばれるブドウの品種に由来しているといわれている。比較的古くからあったワインで、アンリ4世(1553-1610)がこの地方で生まれており、ジュランソンのワインを飲んでいたと伝えられている。価格は中程度である。甘口のワイン(AOC呼称:ジュランソン)の方が辛口ワイン(AOC呼称:ジュランソン・セック)より上級とされる。

1975年10月17日付け政令

第1条 柔らかな甘口白ワインのジュランソン及び辛口白ワインのジュランソンセックのAOC呼称は、以下に定める条件を満たしていなければ使用する権利がない。

第2条 これらのワインは、第3条に定める村の地域内で、性質と位置からしてこれらのワインの生産に適した区画から構成される生産地域で収穫されるブドウから製造されなければならない。

INAOの委員会の長から指名される2人の専門家が生産地域の区画を行い、定める。

この2人の専門家が作成する地図は、INAOの全国委員会の調査が行われ、同意が得られた後、関係する各村役場に置かれる。

1936年12月8日付け政令の適用を受けて設置された地図は、前項の適用によって作成される新しい地図が役場に置かれるまでは有効である。

第3条 生産の区域は、ピレネーアトランティック県の以下の村の地域の中で定められる。

  ジュランソン、アボ、アルビュス、アルティクルーヴ、オーベルタン、ボスダロス、カルデス、キュクロン、エスティアレスク、ガン、ゲロ、オードボスダロス、ラコマンド、ラウールカード、ラロワン、ラスーブ、ラスーブタ、リュックドベアルヌ、マゼール、モネアン、ナルカステ、パルベイズ、ロンティニョン、サンホー及びウゾ

第4条 これらのワインは、以下の品種のブドウから製造されなければならない。

  プティマンサン、グロマンサン、クールビュ、カマラレ及びローゼ

 最後から二つの品種の合計の割合は、ジュランソンの呼称ワインでは15%以下でなければならない。

第5条 

 1 ジュランソンセック

 ジュランソンセックの呼称を得るには、ワインはよく熟したブドウの果汁から製造され、自然のアルコール度が最低11度なければならない。

 収穫されたブドウのすべてのロットについて糖分が187g以下の場合は、よく熟したとは認められない。

 補糖が認められた場合、容積でのアルコール度は、14%を超えてはならない。違反の場合は呼称の権利を失う。

 残糖は、リットル当たり4グラム以上なければならない。

 2 ジュランソン

 ジュランソンの呼称を得るには、ワインは高度に熟したブドウの果汁から製造され、自然のアルコール度が最低12度なければならない。

 収穫されたブドウのすべてのロットについて糖分が212g以下の場合は、よく熟したと認められない。

  残糖は、リットル当たり35グラム以上なければならない。

6 ジュランソン及びジュランソンセックの呼称を使用しようとするワインは原

産地呼称ワイン用のブドウ畑の単収に関する1993910日付け政令第93-1067号の条件に合致していなければならない。

 1 ジュランソンセック

 当該政令第1条に規定する基本単収は、生産ブドウのヘクタール当たり60ヘクトリットルとする。

  2 ジュランソン

当該政令第1条に規定する基本単収は、生産ブドウのヘクタール当たり40ヘクトリットルとする。

決定された同一の区画でブドウを生産している場合は、ジュランソンセック及びジュランソンの呼称しか使用できない。

  ジュランソン又はジュランソンセックの呼称は、若い木からのものは認められず、8月31日以前に植付けが行われた年から2年目の年以降の木からのワインのみについて認められる。

第7条 ジュランソン又はジュランソンセックの呼称の権利を得るためには、ブドウの木は次の条件で植栽され、剪定されなければならない。

植栽の方式

列上(rangs)のブドウの株(ceps)と株との間隔は最大で1.30m、列と列との間隔は最大で2.80m、ただし、段丘(terrace)におけるブドウには適用されない。

剪定の方法

長梢剪定(taille longque, 一株に最大2つの枝(arcures)、最大22の芽(yeux)のみが認められる。

 いずれにせよ、実をつける芽の数は、ヘクタール当たり、6,000未満でなければならない。ただし、この規定は、段丘におけるブドウには適用されない。

  段丘におけるブドウについては、長梢剪定、一株に最大2つの枝、実をつける芽最大22のみが認められる。

 垣根面積surface de palissage)は、ヘクタール当たり最低で5,000平方メートルなければならない。ただし、この規定は、段丘におけるブドウには適用されない。この面積は、列の合計の長さにブドウを支える糸(fil porteur)の高さと糸をつける支柱の頂点(sommet des piquets porte-fils)の高さに20cmを加えた長さとの差を掛けて得られる面積である。

8 ジュランソンの呼称を得るためには、ワインは超熟したブドウで、少なくとも2回の連続した手作業によるより分けによって収穫されたブドウからのものでなければならない。ワイン製造は地域の用法に従わなければならない。現行の法律及び規則で認められている用法を用いることができるが、濃縮, 自動排出桶( benne autovidante) 及び連続圧搾器は認められない。

9 AOCワインの分析及び官能検査に関する19741019日付け政令第

74―871号の規定に従ったINAOから交付される合意書がなければ、2つの呼称ワインは流通させることができない。

10 本政令の条件に従い、ジュランソン及びジュランソンセックのAOC

が認められ、かつ、これらの呼称を使用するワインは、収穫の申告、広報、パンフレット、説明書、請求書、領収書においてジュランソン又はジュランソンセックの呼称が「appellation contrôlée」の語句とともに明瞭な形で記載されなければ、収穫の後の申告、一般への提供、搬出、販売ができない。

11条 本政令に定められたすべての条件を満たしていないワインについて

、このワインがAOCジュランソン又はAOCジュランソンセックの権利を有しているかのように購入者を信じさせるようなすべての表示やサインの使用は、 不正に関する一般的な法律及び原産地呼称の保護に関する法制に従い、追及される。また、経済上の罰則も必要であれば適用される。

第12条 AOCジュランソンの定義に関する1936128日付け政令及びこのAOCワインの剪定規則に関する1944515日付け省令は廃止する。

第13条  ジュランソンのAOCワインは、以下の条件が遵守されている場合、「遅摘み(Vendanges tardives)」の特別の表示をつけて届出及び提示ができる。

 ―ブドウ栽培者が「遅摘み」の表示をつけるワインの生産区画に関する事前の申請をINAOに対して行っていること。

 ―収穫は次の品種でなければならない。

     プティマンサン又はグロマンサン

 ―収穫のロットすべてが1リットル当たり最低272gの糖分を含んでいること。この生産条件は事前の届出の際にINAOの管理を必要とする。

 ―ワインは補糖の対象にならない。

 ―ワインの容量でのアルコール度は、16%以上でなければならない。

 ―この特別の収穫の開始日は、ジュランソンの呼称ワインの収穫禁止日の少なくとも5週間後でなければならない。

 ―「遅摘み」の表示を付けるジュランソンの呼称ワインについては、第9条に規定するINAO発行の合意書は早くとも収穫から18ヶ月後でなければ発行されない。またこのワインはAOCワインの分析及び官能検査に関する19741019日付け政令第74-871号に定める分析及び官能検査によって検査され、合意されなければならない。

 ―「遅摘み」の表示の付いたジュランソンの呼称ワインは、ラベルに収穫年の表示をしなければならない。

(第5条、第6条、第7条、第8条及び第13条は1996510日付け政令によって全面改正)


高橋 梯二 訳