原産地呼称の保護に関する191956日付け法律

    (1990年までの改正を含む。)

                             高橋梯二  訳

A 原産地呼称とは、産品の原産地を示し、その産品の品質と特質が産地の自然的要素と人的要素を含む地理上の条件に由来することを示すため、産品に国、地方、あるいは、地域の名称を表示することをいう。
(1966年法によって追加) 

第1条 ある原産地呼称が自分に対して直接的あるいは間接的に損害を与え、また、天然のあるいは加工した産品の自分の権利に反して、さらにその産品の原産に反して、又は、地域の伝統的な、忠実(誠実)な、継続的な用法(生産方法)に反して使用されていると考えられる場合は、何人もその呼称の使用を差し止める訴訟を提起できる。
 保護しようとする産品の権利に関係があり、設立以来少なくとも10カ月以上経過している組合(syndicats et associations)も上記と同様の提訴ができる。

第2条 提訴は、異議の申立てを行う呼称産品の原産地を管轄する民事裁判所に対して行うものとする。当該訴訟は、和解(conciliation)のための予備折衝が免除され、予審が行われ、略式の判決がなされる。

第3条 提訴した者は、提訴の日から1週間後に自分の居住する区の公的な広告紙及び提訴した裁判所の所在する区の公的な広告紙に、氏名、職業、住所、代訴人の氏名、住所及び提訴の内容を記載した簡潔な公告を行わなければならない。
 裁判は、前文に定める公告後15日を経過しなければ、開始してはならない。

第4条 第1条に規定する利益及び期間に関する条件を満たしている何人も、また、どの組合も裁判に参加することができる。

第5条 控訴の通知から1週間後に、控訴人は、第3条に規定する公告を行わなければならない。
 論告は、公告後2週間を経過しなければ開始してはならない。

第6条 控訴院の決定は、破き院に従うことができる。上告を受けた破き院は、提訴された原産地呼称の使用の方法が本法による法的な性格をもつものかどうかを評価する権限を有する。上告によって、以前の判決は停止する。
(1927年7月22日付け法律第1条によって改正)

第7条 最終的な判決又は決定は、当該地域の、及び当該市町村の、場合によっては、当該市町村の一部の地域の全ての住民及び土地所有者に対して効力を持つ。
(1927年7月22日付け法律第2条によって改正)

第7-1条 第1条から第7条までの適用に当たって、裁判による確たる決定がない場合、政府は、国務院からの政令により地域の、忠実な、継続的な用法を基礎として、原産地呼称産品の生産の地域を決定し、また、その産品の品質と特質を決定することができる。
 前段落の規定の適用によって作成された政令の公表がなされた場合、第1条に規定する行為は、以後行うことができない。

第7-2条 第7-1条に規定する政令は、原産地呼称を使用できる産品以外の産品に、あるいはその産品の包装及び商業上のラベルや請求書に、産品の原産に関して混乱を招くような表示を行うことをすべて禁止することができる。

第7-3条 第7-1条及び第7-2条に規定する政令は、直接利害関係のある職業組合との協議を含む公共の調査(enquete)を経た後、定められる。この調査の方法は、国務院からの政令によって定められる。
(第7-1条から第7-3条まで1966年法によって追加)

第7ー4条 原料・加工農産物及び食料品は、AOCの対象とすることができる。これらの産品に対しては、第1条から第7ー3条までは適用しない。
 以下に規定する条件の下で、産品が第A条の規定に適合し、産品の評価が確立しており、認証の対象になる場合は、AOC呼称を用いることができる。
 1990年7月2日付け法律第90ー558号の公布の日に実施されている法令の規定によるものを除き、原産地呼称を構成する地理上の名前は、類似の産品に用いることはできない。
 また、この名前が、原産地呼称の産品の名声を害したり、弱めたりする可能性のある場合は、類似産品以外の他の産品に対しても用いることができない。

 VDQSワインの法律上の認知に関する1949年12月18日付け法律第49ー1603号に関する原産地呼称及び1990年7月1日に実施されている海外県の原産地呼称は、その法的地位を維持する。

第7ー5条 ワイン市場の保護及びアルコールの経済上の取引に関する1935年7月30日付け法律(デクレロワ)(1984年11月16日付け法律で改正)第21条の規定によるワイン、ブランデー、リンゴ酒、なし酒、リンゴ酒及びなし酒をベースにしたアペリティフを害さず(sans prejudice)AOC呼称は、INAOの提案に基づき、呼称ごとに政令で定義される。

 この政令は、生産の地理上の地域、生産の条件、産品の認証を規定する。

第7ー6条 1990年7月1日以前に法律又は規則で定義された原産地呼称は、本法第7ー5条の条件を満たしているとみなす。
 呼称を定義する規定のその後の改正は、すべて第7ー5条に規定する手続きによらなければならない。
 1990年7月1日以前に判例によって定義された原産地呼称及び1990年7月2日付け法律第90ー558号の適用以前に本法第14条及び第15条の適用によって得られた原産地呼称は、第7-4条に定められた条件を満たしているのであれば、1995年7月1日までは、第7ー5条に定められた手続きに従って政令によってAOC呼称とすることができる。それ以外は、呼称は、無効となる。

第7ー7条 「ワイン及び蒸留酒原産地呼称全国機関」は、「原産地呼称全国機関(Institut national des Appellations d’ Origine 」と改める。1935年7月30日付け政令の規定及びその適用に関する条項による本機関の権能は、原料・加工農産物及び食料品のすべてに適用される。

 原産地呼称全国機関(INAO)は、関係組合の意見に従って、AOC呼称の認証を提案する。それには、各AOC呼称について生産地域、生産条件及び認証の手続きについての決定がなされる。
 INAOは、その権能に属する各産品のラベル、表示についての国の規制について意見を提出することができる。また、原産地呼称に関するその他の問題についても意見の提出を求められる。INAOは、フランス国内及び海外における原産地呼称産品の普及・販売促進と保護を行う。

第7ー8条 INAOの機構は、次ぎのとおりとする。
  ワイン、蒸留酒、リンゴ酒及びなし酒並びにリンゴ酒、なし酒又はワインをベースにした食前酒に関する全国委員会

 乳製品に関する全国委員会


 その他の産品に関する全国委員会。

 各委員会は、専門家代表、行政代表及び特に消費者を代表する資格のある者から構成される。
 各委員会は、所掌の産品に関する第7ー7条に規定する問題について意見を述べる。

 各委員会の委員は、INAOの財政及び一般政策の提案について合同で会合する。

 常任委員会は、全国委員会で規定された産品の分類と同じ分類の産業を代表する委員と全国委員会から選出された委員とで構成する。常任委員会は、INAOの予算を作成し、INAOの一般政策を決定する。

 全国委員会及び常任委員会の委員長は、経済及び財政担当大臣と農業担当大臣の共同の省令で任命する。常任委員会の委員長の任期は2年とする。また、それぞれの全国委員会の中から持ち回りで任命される。

 INAOの組織と機能に関する規則は、1935年7月30日付け政令第20条第2項に規定する条件及び実施の条項に従って規定され、また、本条に関する政令は国務院からの政令によって定められる。

(第7-4条から第7-8条まで1990年法により追加)

罰則

第8条   販売中のあるいは販売用の未加工のあるいは加工された産品に対して、追加、変更、削除等によって、不正確と知りつつ、その原産地呼称をラベルに添付したり、見えるようにした者には、3ヶ月以上の禁固及び100フラン以上2千フラン以下の罰金を科す。また、その一方のみを科すこともできる。

 裁判所は、その指定する場所で判決を公示することを命じることができる。また、有罪判決を受けた者の費用で、裁判所が指定する新聞に判決の全部又は抜粋の掲載を命じることができる。

 原産地呼称が不正確と知りつつ、未加工のあるいは加工された産品を販売したり、販売に供したり、流通させたりした者に対しては、上記と同様の罰則を科す。

第9条 前条に規定する犯罪によって損害を受けていると考える者及び第1条に規定する期間と利害関係についての条件を満たしている組合はすべて、刑事訴訟法典の規定に従って、損害賠償請求人(partie civile)となることができる。

ワイン及び蒸留酒の原産地呼称に関する特別規定

第10条 ブドウ産品(produits vinicoles)に関する原産地呼称は、ジェネリック(一般的)なものとはみなされず、また、公共のものともならない。

 本法第1条に規定された原産地に関する定義規定にかかわらず、ワインについては、地域の、忠実な、継続的な製造方法による原料品種と生産地域からのものでなければ、原産地呼称の権利を有しない。

 生産地域は、呼称ワインの生産を行っている市町村あるいは市町村の一部を含む地域である。

 hybrides producteurs directs(注:アメリカ品種等のかけ合わせ品種のことか。) からのワインは、いかなる場合も原産地呼称の権利を有しない。

 本法にいう原産地呼称の権利を有していないワインについては、その表示にあたって、「クロ」、「シャトー」、「ドメンヌ」、「ムーラン」、「トゥール」、「モン」、「コトー」、「クリュ」、「モノポル」及びその他原産地呼称産品であるかのように信じさせる表現の使用は禁止される。
(1927年7月22日付法律及び1930年1月1日付け法律第3条によって改正)

第11条 自分の産品に原産地呼称を付そうとする生産者(recoltant)は、収穫の届出(declaration)の際、それを明示しなければならない。

 収穫の届出に届出人が初めて行う原産地呼称が含まれている場合は、農務及び調達省の原産地呼称保護担当部局は、生産者から市町村役場に対してなされた収穫の届出の登録と公表を行う。

 本条第2段落に規定する登録及び広報誌(recueil officiel)への掲載に当たっては、公共機関の規則によって決定される税が徴収される。

第12条 ワイン、天然甘口ワイン(vins doux naturels, リカーワイン (vin de liqueur及び蒸留酒の卸売業を行っている者、あるいは、税務署間接税部と卸売りに関する会計を行っている者及び会社・組合は、フランスの原産地呼称産品の売買について出入の特別会計(経理)を行わなければならない。この会計は、産品の種類ごと、呼称ごとに行われなければならない。また、月ごとに整理され、間接税の担当官、不正防止担当の地域局あるいは、県の調査官がその場で閲覧できるようにしておかなければならない。
(1935年7月30日付け政令第19条によって改正)

 この会計における産品の出入に関する記録の管理に資するため、取引商(negotiants)は、商業上の記録を統一した方法で行わなければならない。産品の出入の記録は、空欄なしで連続して行われなければならない。記録は、原産地呼称とその産品の量を示さなければならない。その場合、入荷については、税務当局の発行する書類の番号、色及び事務所を記入しなければならない。
(1927年7月22日付法律及び1929年8月4日付法律によって改正)

 産品がフランスの原産地呼称なしで再販されるのでなければ、産品が購入時と同じ呼称で再販されるのであれ、あるいは、地域の、忠実な、継続的な用法による呼称の権利を有するより広い範囲の地域の呼称で販売されるのであれ、産品は、税務当局の発行書類の番号によって記載されなければならない。
(1927年7月22日付け法律によって改正)

 販売の際、請求書には、フランス原産地呼称の産品については、本条第3段落に規定する事項を記載しなければならない。蒸留酒については流通許可証(titre de mouvement)とその色について記載しなければならない。
 また、輸出用の産品については、流通許可証に同様の記載を行うものとする。

天然甘口ワインを発送する者が、流通許可証を請求する申請書には、クリュ(cru)の名を記載しなければならない。

 これは、蒸留酒の制度には変更を及ぼさない。特に1903年3月31日付けの法律の関係規定に変更を及ぼさな

い。

 本条の適用は、議会(chambres)の承認後、政令によって、1カ月の猶予が与えられる。また、本条は、本法と同様の保護措置のとられる外国からのワイン、リカーワイン に対しても適用される。

(以下の規定は、1960年3月18日付法律の2つの条によって追加)

第13条 醸造所、貯蔵庫にあるregieの出荷に当たっては、生産の届出の際の呼称又は地域の、忠実な、継続的な用法から得られるより一般的な原産地呼称を表示しなければならない。

以下シャンパーニュに関する特別規定等 略  


この資料は、農政調査委員会「のびゆく農業947」、2004年2月に掲載されたものである。

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