アメリカ食品安全近代化法に基づく危害分析及びリスクに基づく 予防管理に関する規則案の概要

                    2013年2月

                     橋 梯二

            東京大学農学生命科学研究科非常勤講師

食品安全近代化法第105条(食品・医薬品・化粧品法第419条)において「本法施行後18ヶ月以内に長官は、危害分析、危害の記述、予防管理等を実施するための科学を基礎とした最低限の基準を確立するために規則を作成しなければならない。また、長官は、危害分析及び予防管理に関する規則についてのガイダンス資料を作成しなければならない」とあり、FDAは、2013年1月4日、規則案を公表し、同年5月16日を期限としてコメントを求めた。

1.規則案の趣旨及び構成

規則案の趣旨

アメリカは、従来より食品の安全の確保について多大の努力を傾注し、世界でも最も安全な国の一つになっているが、今日、食料供給は多様で次第に複雑になっている。また、新しい食品が市場に投入され、新しい食品安全問題が発生し、新しい病原菌が生じ、食品による病気のリスクが高まっている。さらに、グローバル化によっても食品安全は影響され、アメリカは食品の15%、海産物の80%,果物の50%,野菜の20%を輸入に依存しているので輸入食品の安全確保も重要になっている。

このような状況から、アメリカの食品安全政策は転換の時期を迎えているとの認識から、2011年食品安全近代化法が制定され、この法律はFDAに対して予防管理の基本的枠組みを形成するよう求めている。本規則案は内外の食品を対象にこの安全措置の枠組みを提案するものである。

規則案の構成
1969以来数度の改正を重ね、充実させてきた適正製造規範(Current Good Manufacturing Practice in Manufacturing, Packing or Holding Human Food, CGMP)(21 CFR Part 110)を改正するとともに、新たに、危害分析及びリスクを基礎とする予防管理を中心とした21 CFR Part 117を創設する。

その構成は次のようである。

  SubpartA 一般規定

  Subpart B  現行適正製造規範

  Subpart C  危害分析及びリスクを基礎とする予防管理

  Subpart D  改正要求事項 

  Subpart E  認定施設に適用される例外の撤回

  Subpart F  記録に適用される要求事項

  Subpart G  保留

HACCPは、危害分析及びリスクを基礎とする予防管理とほぼ同じ効果をもつ予防管理であるので、Subpart CHACCPが適用となっている食品には適用にならない。その他、適用にならない施設、食品及び行為を明確化する。  

本規則は、食品の製造、加工、包装、保管又は輸入している施設でFDAに登録することが義務付けられている施設に適用されるが、FDAに登録されるべき施設及び予防管理(Subpart c)が適用とならない認定登録施設の定義を明確化する。

農業行為と食品製造・加工等の行為との区分を明確化するため、また、食品安全に関する用語の規則内での整合性を保つ等のため、これらに関連する多くの用語の定義を明確にし、改正する。

アメリカは、食品の15%を輸入に依存しており、輸入食品の安全確保も重要である。したがって、輸入食品についても基本的に本規則が適用になる。本規則と同等の安全措置が輸出国で確保されているかどうか輸入される食品について確認するため、本規則とは別の規則によって海外供給業者確認計画を実施する。

2.提案規則の概要

(1)一般的事項(Part 117, Subpart A)

登録施設の定義の改正21CFR Part 1の改正)

 登録されるべき施設として混合施設(mixed-type facility)の定義を追加する。混合施設とは、食品・医薬品・化粧品法(以下「法」という)第415条において登録免除となる行為(主として農業に関する活動)と登録されるべき施設に要求される行為(主として加工品製造に関する活動)を同時に行っている施設である(第1.227及び第1.328の改正)。

訳者注:

・施設

「施設」とは「登録施設」のことである

・施設の登録 

  2002年バイオテロリズム法によって、食品を製造、加工、包装、保管又は輸入している国内施設及びアメリカに食品を直接輸出している海外施設についてFDAへの登録を義務づけた(2003年施行)。

登録施設は約420,000あるといわれ、その半数は海外施設である。

・施設の登録の適用除外

  農場、レストラン、食品小売業、漁船及び農務省が全面的に管轄する食肉、鶏肉、卵製品に係る施設は登録の対象から除かれている。

小規模経営、零細経営の定義

小規模経営(Small business)とは、従業員が500人未満の経営とする。

零細経営(Very small business)とは、年間の食品の販売額が250,000, 500,000,又は1,000,000ドル未満の経営が考えられるが、どの販売額基準を採用するかまだ決めていない。

用語の定義の改正及び新設(第117.3

現行のすべての定義を見直すこととし、次のように改正又は新設する(重要と思われるもののみを取り上げる)。

・重要管理点(critical control point)

   不適切な管理が最終食品に対する危害、汚物(filth)又は腐敗(decomposition)の原因となり、それを許容し、又は、助長することとなる可能性の高い食品加工上の点

・環境危害(environmental hazard)

   健康に影響があり、製造・加工、包装及び保管の環境において生存し、生き残る(persist)能力のある微生物たとえば、salmonella spp, Listeria monocytogenes

・危害(hazard)

  管理がなされない場合、病気又は危害の合理的な原因となり得るような生物学的、科学的、物理的又は放射能物質(agent

・認定施設(qualified facility)

  Partで定められた零細経営又は次の2要件を同時に満たす施設

過去3カ年において製造・加工、包装、保管された食品の年平均の販売額について、最終消費者に直接販売された額が他の購入者に販売された額を超える場合、及び過去3カ年における食品の販売額の年平均販売額が500,000ドル未満の場合

・調理済食品(ready to eat, RTE food)

 加工食品を含み生の状態の食品又はその他の食品で生物学的危害を十分最小化するためそれ以上の加工を行わず食されることが合理的に予見されるすべての食品

 予防管理規則の適用の例外

次の施設及び行為は予防管理に関する規則(Part 117 Subpart C)の適用を受けない。

・認定施設(qualified facility)(第117.5(a)

・水産物又はジュースのHACCPが適用になっている食品(117.5(b)及び 第117.5(c)) 

熱処理低酸度密閉容器入り食品(第117.5(d)

・補助食品(dietary supplement)の製造、加工、包装又は保管を行っている施 設(117.5(e))

・法第419条による基準が適用になっている行為(野菜・果実の安全基準)(第117.5(f)

・零細経営又は小規模経営の混合施設で行われるリスクの低い産品の包装と保管(第117.5(g)

  リスクの低い包装及び保管の対象食品は、カカオ豆、カカオ製品、穀物・穀物製品、蜂蜜、果物・野菜、ジャム、メープルシロップ、落花生・木の実、清涼飲料・炭酸水、砂糖大根・サトウキビ・砂糖などの11産品である(103(c)(1)(C))

・零細経営又は小規模経営の混合農業施設で行われる、リスクの低い製造・加工(117.5(h))

   リスクの低い製造・加工は、

自己の農場で生産された生鮮産品を加工する場合は、

人工熟成、煮ること・蒸すこと、乾燥、油の抽出、挽くこと、ジャムの製造、砂糖の製造、落花生や木の実への塩付けなど10項目(103(c)(1)(C))

自己の農場産でない生鮮産品を加工する場合は、

上記の項目のほか、コーティング、野菜・果実の冷却、カカオやコーヒーの発酵、キャンディの製造、ココア製品の製造、蜂蜜の製造、ジャムの製造、メイプルシロップの製造、清涼飲料や炭酸水の製造など合計24項目

 ・環境にさらされない包装食品の保管のみを行っている施設(第 117.7(a))。ただし、当該施設は、第117.206で提案される修正要求事項が適用される。

本規則の施行の時期

本規則は、最終規則成立から1年後に施行になるが、小規模経営は2年間の猶予期間をもって施行になり、零細経営は3年間の猶予期間をもって施行になる。

(2)現行適正製造規範及びガイダンスの改正(Part 117 Subpart B)  略

(3)危害分析及びリスクを基礎とする予防管理(Part 117 Subpart C)

食品安全計画(117.126

 117.126(a)は、施設の所有者、運営者又はその代理人(以下「施設の管理者」という)が書面による食品安全計画を作成することを要求している。

 第117.126(b)は、食品安全計画には次の事項を含めることを要求している。

  ・書面による危害分析

  ・書面による予防管理

  ・書面による予防管理の実施をモニターするための手続き及び頻度

  ・書面による改善措置手続き

  ・書面による確認手続き

  ・書面によるリコール手続き 

 第117.126(c)は、有資格者が食品安全計画を作成することを要求している

 第117.126は、食品安全計画は施設ごと(企業ごとではない)に作成することを要求している。

危害分析(第117.130

117.130(a)(1)は、施設の管理者が既知のあるいは合理的に予想される危害(hazard)を製造される食品の種類ごとに特定し評価すること、第7.130(a)(2) は、危害分析は書面によることを要求している。

危害特定(Hazard identification) 117.130(b)

117.130(b)は、施設の管理者が次の危害を考慮することを求めている。

 ・寄生虫、環境病原菌、その他の健康に影響する微生物を含む生物学的危 害(117.130(b)(1))

・農薬及び薬品の残留、自然毒、腐敗、許可されていない食品添加物、アレ ルギー物質を含む化学的危害(117.130(b)(2))

 ・物理的危害(117.130(b)(3))

 ・放射線危害第117.130(b)(4))

生物学的危害に関して、Cryptosporidium spp, Giardia intestinalisToxoplasma gondiiは寄生虫の例である。環境病原菌は、たとえば、Listeria monocytogenes, Salmonellaである。その他の健康に影響する微生物には、たとえばCampylobacter spp, Clostridium perfringens, STECO157STECnon-O157を生じるShiga toxin, Shigella,spp, Stapylococcus aureus, Vibrio spp, Yersinia enterocoliticaを含むバクテリア及びウイルス(hepatitis A, norovirus)である。

放射線危害には、たとえば、radium-226, radium-228, uranium-235, uranium-238 strontium-90, iodine-131, cesium-137を含む。

危害評価(第117.130(c)

117.130(c)(1)は、病気の重篤度を含め危害が起こるかどうか決定するため、特定された危害の評価が危害分析に含まれなければならないことを要求している。 

 第117.130(c)(2)は、調理済食品(RTE, ready to eat)が包装する前に環境にさらされる場合は、環境病原菌が発生するかの評価を行うことを要求している。

117.130(c)(3)は、危害評価に関連する特定の要素の効果について考慮すべきことを求めている。特定の要素は、第117.130(c)(3)(i)から(x)までに次のように定められる。

  ・食品の形成(第117.130(c)(3)(i)

たとえば、酸や保存料の添加は食品の安全にとって重要であり、病原菌の増大に関する危害評価に大きな影響を与える

・施設・装置の状態、機能、デザイン(第
117.130(c)(3)(ii)

たとえば、調理済食品の装置には特別の注意が必要であること、金属と金属が接触する装置は金属破片が混入する危険があること、古い装置は清潔にするのが難しいことなどである。

・生鮮の原材料(第117.130(c)(3)(iii)

SalmonellaE.coli O157:H7に汚染された原材料を使用した食品でリコールの対象になったものは多い。また、隠れたアレルギー物質についての評価も行う必要がある。

・輸送方法(第117.130(c)(3)(iv)

   輸送中の不適切な温度管理は危害を生みやすいことなどである。

  ・製造・加工の方法(第117.130(c)(3)(v)

たとえば、調理済み食品の冷却、保存過程でClostridium perfringensbacillus cereusなどの胞子を生じる(sporeforming)バクテリアが生じやすいなどである。

 ・包装及び表示(第117.130(c)(3)(vi)

 ・保管および配送(第117.130(c)(3)(vii)

 ・意図した又は予見される食品の使用(第117.130(c)(3)(viii)

たとえば、調理されて消費されるのかなどであり、混合乾燥スープはしばしば調理済食品として使用される。

 ・従業員の衛生を含む衛生(第117.130(c)(3)(ix)

 ・その他(第117.130(c)(3)(x)

危害の予防管理(117.135)

117.135(a)は、施設の管理者が、製造・加工され、包装され又は保管されている食品が危害分析で特定された危害を最小限にすることを確保するために予防管理を定め、実施しなければならないことを要求している。また、法第402条に定める違反及び法第403条に定める誤表示を防止することも要求している。この予防管理は、HACCPにいう重要管理点に限定されない。さらに、予防管理も書面化されなければならない(第117.135(b))。

訳者注:不正
 「食品の内容における不正」とは食品・医薬品・化粧品法第402条に定められた「adulteration」であり、健康に害のある有毒なあるいは不衛生な物質が混入されていたりして食品が法律違反とみなされることである。また、「表示における不正」とは同法403条に定められた「misbranding」であり、表示や提示において事実と異なることや消費者に誤認を与えることを示すことを指し、これも法律違反とみなされる。アメリカでは、この二つが食品安全に関する不正(違反)の基本的概念である。

117.135(c)(1)は、施設ごと及び食品ごとに、加熱、加酸、放射線照射(irradiating, 乾燥、冷蔵などについて危害管理に関する指標(parameters)を定めることを要求している。また、第117.135(c)(2)は、施設ごと及び食品ごとに、生物学的危害、化学的危害、放射線危害、物理的危害を最小限にするように、最高又は最低の値(value)を定めることを要求している。

117.135(d)(1)は、予防管理には、プロセス管理が含まれていなければならないことを定めている。
  たとえば、デリ・サラダを製造する場合、プロセス管理として、B.cereusのような病原菌の成長を防止するため、冷却をおこなうことになり、加工中4度c以上で保たれる合計時間を定める。この場合、プロセス管理は加工の時間であり、関連指標は、4度c以上で保たれる最高限度時間を含む温度と時間である。

117.135(d)(2)アレルギー物質の管理を定めており、第117.135(d)(2)(i)は、交差接触(cross contact)の防止のための手続きと措置が含まれることを要求している。また、第117.135(d)(2)(ii)は、誤表示を避けることを含む最終製品の表示に関する手続きと措置を定めることを要求している。

117.135(d)(3)は、衛生管理を定めている。

117.135(d)(3)(1)(A)は、設備及び装置の食品に接触する表面を清潔にする手続きを定めることを要求している。この手続きには頻度、衛生剤の濃度、適用方法、適用時間が含まれる。また、第117.135(d)(3)(1)(B)は、不衛生な物及び人間から食品、容器及びその他の食品と接触する表面への、また、生鮮産品から加工産品への交差接触及び交差汚染を防止するための手続きを定めることを要求している。

最近の事例からすると、環境病原菌の危害を防止するためには、特に調理済食品へのこの危害を防止するには、衛生管理が非常に重要である。ジュースと海産物のHACCPでは8項目(SSOPs)のモニタリングを要求しているが、本規則は多岐にわたる産品を対象としていることなどから2項目を適用すればよいとの結論に至った。他の6項目はCGMPでカバーされる。

117.135(d)(3)(ii)は、衛生管理の条件と実行が定められた手続きと異なる場合は、施設の管理者はタイムリーに改善しなければならないことを要求している。

リコール計画(117.137)

 117.137(a)は、施設の管理者は書面によるリコール計画を作成しなければならないことを定めており、第117.137(b)は、リコール計画には次のような手続きが含まれることを要求している。

 ・リコールされる産品の直接の荷受者(consignees)に対して返却方法又は処分方法に関する通知を行うこと(117.137(b)(1))

 ・当該産品によってもたらされる危害についての公表(公衆への通知)((117.137(b)(2))

 ・リコールが実施されることを確認するため、効果的なチェックを実施すること((117.137(b)(3))

 ・リコール産品の適切な処分。たとえば、食品の安全について懸念がない使用に戻すこと、廃棄など(117.137(b)(4))

モニタリング(第117.140

117.140(a)は、施設の管理者が予防管理をモニターするため、実施頻度を含め書面による手続きを作成し、実施することを要求している。 第117.140(b)は、施設の管理者は予防管理が安定的に実施されていることを保証するために十分な頻度でモニタリングを行うことを要求している。しかし、具体的な頻度は定めていない。第117.140(b)は、確認(第117.150(b))及び記録の確認(第117.150(d)(2)(i))の対象になるものとして、すべてのモニタリングを記録することを求めている。

このモニタリングと確認(Verification)は、危害分析によって特定された危害が十分に最小化していること、また、製造・加工、包装又は保管された食品に法令違反や誤表示がないことを確保(保証)するための制度である。

改善措置(第117.145

117.145(a)(1)は、施設の管理者は、予防管理が適切に実施されていない場合にとられるべき改善措置を書面で定め、実施することを要求している。

117.145(a)(2)は、次を確保するための改善措置手続が記述されなければならないことを定めている。

 ・予防管理実施上の問題点を特定し改善するための適切な活動( 117.145(a)(2)(i))

 ・影響を受けたすべての食品の安全評価(117.145(a)(2)(ii))

・施設の管理者が影響を受けた食品が法令に違反しているか誤表示しているか確認できない場合は、影響を受けたすべての食品の市場への出荷の停止(117.145(a)(2)(iii))

117.145(b)(1)は、予防管理が適切に行われておらず、また、特定の改善措置が定められていないか予防管理措置が有効でないと判明した場合は、施設の管理者が問題を特定し、改善し、影響を受けた食品を評価するための改善措置をとることを要求している。また、

117.145(b)(2)は、上記の場合、施設の管理者が安全計画の改正が必要なのかどうか決定することを要求している。この規定は予見されなかった食品の安全問題に対応するためのものである。

117.145(c)は、とられたすべての改善措置は、第117.150(c)で定める確認(verification)のため、記録されなければならないことを定めている。

確認(verification(117.150)

175.150(a)は、施設の管理者が定められた予防管理が適切かどうか有効性の確認(validate)をすることを求めている。また、第175.150(a)(1)は、有効性確認(validation)は資格のある者によってなされなければならないこと、第175.150(a)(1)(i)は、有効性確認は食品安全計画の実施前になされ、必要な場合は、食品生産の開始から6週間以内になされなければならないことを要求している。

175.150(a)(1)(ii)は、予防管理の有効性の確認は、食品安全計画の見直しによって有効性確認が必要と判断される場合は行われなければならないことを要求している。

175.150(a)(2)は、予防管理の有効性確認は科学的及び技術的な情報を収集し評価することによってなされなければならないこと、また、このような情報がないか不十分な場合は予防管理が危害を効果的に管理できるかの検討を行うことを要求している。

175.150(a)(3)は、次の3項目については有効性確認の必要がないことを定めている。

 ・第117.135(d)(2)によるアレルギー物質管理

この管理は一般的には科学的な検討からは評価されないからである。表示に関しても同様である。

 ・第117.135(d)(3)による衛生管理

衛生管理に使われる薬品等の効果や使用方法などは薬品を製造した企業によって評価がなされているからである。

 ・第117.137によるリコール計画

  175.150()は、施設の管理者は、モニタリングが実施されていることを確認(verify)しなければならないことを要求している。たとえば、モニタリング活動の定期的な観察、モニタリングを実施している者とは独立した者による検査(test)などである。

175.150()は、施設の管理者は、改善措置がなされていることを確認することを要求している。

175.150()(1)は、モニタリングを実施する際の器具及び確認のための器具を測定(calibration)しなければならないことを要求している。たとえば、これらは、pHメーター、温度計などに大きく依存しているからである。

175.150()(2)は、モニタリング、改善措置などについての記録が完全であるかどうか点検(review)しなければならないことを定めている。第175.150()(2)(i)は、モニタリング及び改善措置の記録については、記録がなされた日以降1週間以内に点検がなされなければならないことを定めている。

175.150(e)は、施設の管理者は、モニタリング及び確認における器具の測定を行う頻度についての書面による手続きを定め、実施することを求めている。

175.150(f)は、施設の管理者は、次の場合は食品安全計画の再分析(reanalysis)を行うことを要求している。

・少なくとも3年ごと(175.150(f)(1)(i)(A))

・施設の活動に重大な変更があった場合(175.150(f)(1)(i)(B))

・施設の管理者が危害の可能性について新たな情報を得た場合( 175.150(f)(1)(i)(C))

・予防管理が適切に運営されておらず、特定の改善措置手続きが定められ ていない場合(175.150(f)(1)(i)(D))

・予防管理が有効でなくなった場合(175.150(f)(1)(i)(E))

175.150(f)(3)は、新しい危害及び科学的理解の進展に対応するため、FDAが食品安全計画の再分析を行うことを要請できることを規定している。

117.155は、有資格者に適用される要求事項を定めている。第117.155(a)は、一又は複数の有資格者が食品安全計画を作成し、予防管理の有効性を確認し、予防管理の実施と有効性に関する記録を点検し、食品安全計画の再分析を実施することを求めている。第117.155(b)は、資格要件を定めており、有資格者となるためにはFDAが適当と認める基準カリキュラムと同等のリスクを基礎とした予防管理の適用に関する訓練を受けていなければならないこと、又は業務の経験を通じて有資格と認められることとしている。

危害分析及びリスクを基礎とする予防管理で要求される記録(第117.175

 117.175(a)(1)から(5)までは施設の管理者が次の事項について記録し、保存しなければならないことを要求している。

・危害分析、予防管理、モニタリング手続き、改善措置手続き、確認手続き及びリコール計画を含む書面による食品安全計画

 ・予防管理のモニタリングに関する文書

 ・改善措置に関する文書

 ・確認に関する文書

 ・有資格者のための訓練に適用される文書


(4)認定施設に関する修正要求事項の新規定
Part 117. Subpart D

 117.201(a)(1)は、認定施設はFDAに対して認定施設であるとする書類を提出することを要求している。また、 第117.201(a)(2)(i)は、認定施設が施設の管理者が潜在的な危害を特定し、予防管理を実施し、予防管理をモニタリングしていることを示す書類を提出できることを規定している。これは、食品安全措置を実施することを義務付けた法第418(1)(2)(B)(i)を満たしていることを示す第一の方法である。第二の方法として、第117.201(a)(2)(ii)が、州の農務省などの適切な機関が発行するライセンス、検査報告、証明書、許可証などを含む書類を提出できることを定めている。

117.201(c)(1)は、当該書類は本規則の施行の日から90日以内にFDAに提出しなければならないことを要求している。また、第117.201(c)(1)は、当該書類は少なくとも2年ごと、あるいは第117.201(a)で提案された情報に変更があった時に再提出されなければならないことを要求している。

117.201(d)は、前記第117.201(a)(2)(i)に定める書類を提出していない施設は、食品を製造・加工している施設の名前及び住所を通報することを要求している。海外施設も同様である。この場合、食品にラベルがなされる時は、この通知はラベルによくわかるように表示されなければならない(117.201(d)(1))。ラベルがなされない時は、消費者の購入の時点、ポスター、商品についての情報などにおいてこの通知がなされなければならない(117.201(d)(2))

117.201(e)(1)は、認定施設は、当該書類の基礎となっている記録を保持することを要求している。

(5)未提案の予防管理及び確認の追加手続きに関するコメント要請  略

(6)認定施設に適用される例外の撤回(Part 117. Subpart E略 

(7)記録に適用される要求事項(Part 117. Subpart F 

 第117.305は、本Part 117で提案された記録に適用される一般的な要求事項を定めている。第117.305(a)は、保存される記録はオリジナルのものでなければならず、コピー又は電子的な記録でなければならないと定めている。また、第117.305(b)は、記録は、モニタリングによって得られた現実の状況と観察を含んだものであることを要求している。

 第117.310は、施設の管理者は、食品安全計画が最初に作成された際、及び改正の際、日付を付して署名しなければならないことを要求している。

 第117.315(a)は、本Part 117におけるすべての記録は、記録された日以降少なくとも2年間は保存されなければならないことを要求している。また、食品安全計画を除き、記録された日から6カ月以降は施設以外の場所に記録が保管されてもよいことを定めている。ただ、当局の点検の要請があった時から24時間以内に施設に戻され、備え付けることができるようにしなければならない。

 第117.320は、本Part 117におけるすべての記録は、保健福祉省長官の代理として正当に認められた者からの書面又は口頭による要求に応じて直ちに提供されなければならないことを要求している。

参考

食品安全基本法第103条 危害分析及びリスクに基づく予防管理

 (法第4章(21 USC.341 seq)の改正、法第418条として追加

(1)危害分析及び予防措置

@ 基本事項

 施設の管理者(所有者、経営者又は代理人)は、食品に与える危害等を評価し、当該危害の発生を最小限にするか予防する予防管理を確定し、実施しなければならない。また、当該食品に不正がないこと及び表示に不正がないことを保証しなければならない。さらに、これらの管理を監視し、通常の業務として監視の記録を保持しなければならない。

A 危害分析

 施設の管理者は、既知のあるいは合理的に予想される危害の特定及び評価を行わなければならない。

B 予防措置

施設の管理者は、重要管理点を含む予防管理を特定し、実施しなければならない。

C 効果の監視

施設の管理者は、実施した予防管理の有効性を評価しなければならない。

D 改善措置

予防管理が適切に実施されないか効果がない場合は、施設の管理者は実施の失敗によって生じる再発を減ずる措置、影響を受けるすべての食品の安全評価を実施しなければならない。また、影響を受けた食品が内容及び表示について不正がないことを証明できない場合は、影響を受けた食品すべてについて販売を停止しなければならない。

E 確認

施設の管理者は、予防管理が適切であるかどうか、監視を実施しているかどうか、改善措置について適切な決定をしているかどうか、予防管理が危害を最小限にし、予防しているかどうか、計画が書面化され定期的に分析をしているかどうかについて確認しなければならない。

F 記録保持

 施設の管理者は、少なくとも2年間は、予防管理の監視、食品安全につての違反、テストの結果、実施した改善措置等についての記録を保持しなければならない。

G 書面による計画

施設の管理者は、施設が本条の要求事項を満たすためにとる手続きに関して書面による計画を作成しなければならない。

H 再分析

施設の管理者は、施設の事業に重要な変更がある場合は、危害に関する分析をしなければならない。長官は、新しい危害と科学的な進展に対応するよう分析を要請することができる。

(2)適用除外

@ 次に従うことを要求されている施設は、本条は適用されない。

  FDAの水産物に関するHACCP

  FDAのジュースに関するHACCP

  FDAの熱処理低酸度密閉容器入り食品基準

A 法第419条に従う施設の事業(生鮮果実及び野菜の安全基準に従う事業者の施設)に対しては本条は適用されない。

B 補助食品(dietary supplement)の生産等をしている施設については、本条による改正は、適用されない。

(3)認定施設(qualified facility)に対する要求事項の変更

零細施設(very small business)及び販売額が一定額以下の施設については上記(1)の@からHまでの義務の適用は免除される。

しかし、当該施設の管理者は、潜在的な危害を特定し、予防管理を実施し、監視していることを示す文書を長官に提出しなければならない。

また、食品由来の病気(foodborn illness)の発生に関連して義務適用免除の施設に関係する積極的調査(active investigation)が行われている場合、あるいは長官が公共の健康(public health)を保護する必要があると判断した場合は、長官は、当該免除を撤回することができる。

(4)規則の作成

本法施行後18ヶ月以内に長官は、危害分析、危害の記述、予防管理等を実施するための科学を基礎とした最低限の基準を確立するために規則を作成しなければならない。
また、長官は、危害分析及び予防管理に関する規則についてのガイダンス資料を作成しなければならない。

(5)農家の加工等に係る規則の作成

 本法施行後9カ月以内に長官は、農場で栽培又は飼育されていない農産物からの食品を当該農場で行っている包装、保持に係る事業及び当該農場で消費されない食品の製造・加工を行う農場の事業に関する規則の提案を行わなければならない。また、長官は、規則の提案に対するコメント提出期間終了後9カ月以内に最終規則を定めなければならない。

(6)禁止行為(罰則)

 アメリカ国内において、施設の管理者が法第418条(本条)に従っていない行為は、法第301条(21 USC. 331)にいう禁止行為となる。

(1)   施行期日

 本条による改正は、本法の施行後18カ月後に施行する。

食品安全近代化法については、

http://www.ab.auone-net.jp/~ttt/USAlaw2011.html

アメリカの食中毒については、

http://www.ab.auone-net.jp/~ttt/food%20born%20desease%20usa.htmlを参照されたい。

本文書に関する留意事項

本資料は、FDAが公表した680ページに及ぶ危害分析とリスクを基礎とした食品の予防管理に関する規則の提案を要約したものである。提案は、規則案のほか、規則を採用する理由、過去の事件の事例などの背景を説明しているほか、提案の予防管理基準が、HACCPと近似していることからアメリカで強制適用になっている水産物、ジュース及び食肉に関するHACCPとの関連の説明に多く割かれている。また、FDAの疑問点なども盛り込み、主として事業者に対してコメントを求めている。さらに、FDAとしては、まだ、規則提案をしていない懸案事項も多く、それについてのコメントも求めている。

本資料は、この規則案の中で、筆者が重要と考えるものを選択し、要訳し、また、適宜背景説明や具体的事例を加えている。したがって、規則案の項目全部を網羅しておらず、選択が適切でないこともあることも予想され、また、技術用語の訳についても不適切なものがあると思われる。これらの点についてご指摘・ご指導をいただければ幸いである。

本資料の作成に当たっては、JAS協会伊藤専務理事に多大の協力をいただいた。

本資料は、JAS協会の機関誌に掲載されるものである。

トップページに戻る

生鮮果実野菜の安全基準に関する規則提案へ

海外供給業者確認計画に関する規則提案へ