アメリカ食品安全近代化法に基づく生鮮野菜及び果実に関する規則の 提案 

                                2013年1月

                           橋 梯二

生鮮野菜及び果実に関する規則提案の概要

食品安全近代化法第105条(食品・医薬品・化粧品法419条)において「本法施行後一年以内に保健福祉省長官は、長官が健康に対する重大な悪影響を最小限にする必要があると判断した生鮮の果実及び野菜について安全な生産と収穫に関する科学を基礎とした最低基準に関する規則案を公表しなければならない。長官は、コメント提出期間終了後1年以内に最終規則を作成しなければならない」と規定されている。この規定に従い2013年1月4日、長官の管轄下にあるFDAは規則案を公表し、同年5月16日を期限としてコメントを求めた。したがって、最終規則は2014年5月までに作成されると思われる。

1.規則の概要及び特徴(規則案P 1P 121までの要訳)

(1)生物学的危害に重点的に対応

アメリカでは、毎年、4,800万人が食品に由来する病気になり、128,000人が入院し、3,000人が死亡している。その中で生鮮野菜及び果実による食中毒も多く、1996年から2010年の間に次のような事件が起きている。

もやし(野菜の芽)に関する事件34、

レタス、ほうれん草などの生鮮葉物による事件30

トマトに関する事件17

レモン類に関する事件14

ベリー類やイチゴに関する事件10

生鮮ハーブに関する事件6

たまねぎに関する事件3

これらの食品由来の病気は、主に、E.coli O157:H7, E.coli O157, Salmonella species, Listeria monocytogenes, Cyclospora, Shigella sonnei 及び HepatitisAから生じた病気である。我々は、野菜及び果実の栽培と収穫についてリスクの量的評価(QAR)を行い、その結果、これらの産品は似た経路によって危害が発生すること、つまりこれらの農産物は、たとえば、汚染された水又は改良土壌(soil amendment)に直接にさらされることによって汚染されることが確認された。したがって、本規則は、このような汚染を最小限にすることにより、安全について消費者の信頼の高い水準を維持することを目的に作成されている。

本規則が適用となる農産物は、生鮮の野菜及び果物であり、対象となる農業活動は、栽培、収穫, 包装、梱包及び保存である。

(2)規則の構成

 提案規則は、主として21CFR Part112に次のSubpartsを設けるものである。

Subpart A  一般規定

  Subpart B  一般的要求事項

  Subpart C  人的資格及び訓練に関する基準

 Subpart D  健康及び衛生に関する基準

  Subpart E  農業用の水に関する基準

  Subpart F  動物起源及び人間の排出物の生物学的土壌改良に関する基準

  Subpart G   保留 

  Subpart H  保留 

  Subpart I   家畜及び野生動物に関する基準

  Subpart J   保留

  Subpart K  栽培、収穫包装及び保存活動に関する基準

  Subpart L  設備、道具、建物、衛生に関する基準

  Subpart M  野菜の芽sproutに関する基準

  Subpart N  分析手法

  Subpart O  記録に適用される要求事項

  Subpart P  その他

  Subpart Q  遵守及び罰則

  Subpart R  例外指定の撤回


(3)産品別に異なるアプローチ

産品あるいは産品群により、食中毒のリスクが異なり、リスク評価によると青物葉野菜(leafy greens, トマト、ハーブ、メロン及び野菜の芽(もやし、sprout)は食中毒の発生割合が高い(1996-2010年間の事件の77.6%)。したがって、産品別に適切な対応方法をとるべきであり、リスクの低い産品は本規則の適用から除外することが考えられる。したがって、提案では まれにしか生で食べることがない産品及び微生物の存在を減じるよう商業的な加工がおこなわれることになる産品を適用除外にすることとしている。しかし、リスクが低いかどうかについて判定する基準は危害の発生の多さだけではないとも思われるので、適用除外の産品の決め方等産品別に異なるアプローチについてのコメントを求める。

(4)コーデックスガイドラインとの整合性

我々の規則の提案を作成するに当たって、関係するコーデックスのガイドライン、特に、Codex Code of Hygienic Practice for Fresh Fruits and Vegetables (CAC/RCP53-2003)を考慮し、本規則案は、CODEXコードと同じか整合している。

(5)第3者の利用

我々は、農家に対して、安全規則の確認、実施、遵守についてコンサルタントや第3者機関を雇うことを要求していない。本規則は農家の通常の活動に従事している者によって実施できるよう設計されている。

(4)輸入産品への適用

多くの外国政府がFDAの規則を遵守する能力があるかどうか懸念を表明してきた。規則の重複適用を避けるため、GFSIGlobal GAPなどの現行の民間の基準と合体(convergence)させるべきとのコメントもあった。また、外国政府の安全措置を認証すべきとの意見もあった。我々の意図は、提案する基準の遵守と罰則について国内産品と外国産品に対して同等の取り扱いをすることである。したがって本規則は輸入される海外産品に対しても適用となる。

ただし、外国あるいはアメリカの州が規則の異なる適用を要求できることをSubpart Pに定めてある。

 訳者注:

 輸入食品について食品安全近代化法第301条(食品・医薬品・化粧品法第805条)は、原則としてすべての輸入業者は輸入産品について加工食品の安全予防管理に関する基準(第418条)又は生鮮野菜及び果実の安全に関する基準(第419条)に従って生産されていることを確認するための海外供給業者確認活動を実施しなければならないと規定している。したがって、アメリカに輸出される生鮮野菜及び果実は、アメリカの輸入業者又はその代理検査機関によって、この規則に従っているかどうかのチェックを受けることになる。海外供給業者確認活動に関する規則案は、近く公表される予定である。

(5)FDAの管轄

今までFDAが農場における生産物に介入した歴史はなく、本提案規則の管轄はFDAの最初の試みである。

(6)コスト及び便益

 本規則の適用によるアメリカ及び外国の農場のコストは年間、6300万ドルと推計する。一方、この規則によって食品由来の病気の患者を175万人減少させることができ、その便益は年間10400万ドルと推計する。

2.提案規則の概要P 122~P547までの要約)

(1)Subpart A  一般規定

対象産品

112.1において対象となる産品が定められている。適用となる産品(produce)は人間の消費のために生産されるすべての野菜及び果実で、マッシュルーム、野菜の芽(sprout)、落花生、木の実、ハーブを含む。ただし、大麦、トウモロコシ、ソルガム、オート、米、ライ、小麦、そば、綿実、大豆などの穀物類は対象産品ではない。

対象からの除外

 生で食されることがほとんどない産品は適用除外となる(112.2(a)(1))。たとえば、アーティチョーク、ビート、クランベリ、なす、おくら、じゃがいも、スイートコーン、さつまいも、かぶ、ヤム等であろう。

個人的な消費のために個人によって生産される産品及び農場で消費される産品は適用除外となる(第112.2(a)(2))。

さらに、生鮮の農産物とみなされないfresh cut産物は適用にならない(112.2(a) (3))

以上のほか、微生物の存在を減じるよう商業的な加工が行われることになる産品は適用除外になる(112.2(b))

生鮮と加工の区別

生鮮野菜及び果実であれば本規則(食品・薬品・化粧品法第419条)が適用になるが、加工品であれば同法第418条の適用になり、本規則の対象から外れる。

FDA EPAが研究したその区別は次のようになる。

  生鮮産品を加工産品に変えることとなる行為の例

缶詰にすること、チョッピング、カッティング、調理、産品を変えることになる乾燥、冷凍、挽くこと(grinding)、均質化(homogenization, 放射線照射、製粉、殺菌(pasteurization)、皮をむくこと、屠殺して枝肉等にすること、スライシング、産品の一般的状態を変えることとなる行為

農場、混合施設農場、関係する農業活動の定義

農場とは,作物を栽培し収穫すること又は動物(魚を含む)を飼育すること、あるいは両方を行うことのための物理的にある場所にある施設を意味する。混合施設農場(farm mixed-type facility)とは、作物の栽培と収穫又は動物の飼育を行い、農業の定義の範囲内で他の活動を行うことができる施設を意味する。

農場の規模別分類は次のようになる。

過去3年間の年平均販売額に応じて

零細農家(very small business) 25,000ドル超250,000以下(112.3(b)(1))

 小規模農家(small business) 250,000ドル超500,000以下 (112.3(b)(2))

  本規則が適用とならない農家(excluded from coverage25,000ドル以下( 112.4(a)) (この農場による適用産品の栽培面積は全米の1.5%しかない)

 零細農家への本規則の適用は本規則施行後4年間の猶予期間があり、小規模農家については3年間の猶予期間がある。

 適用となる農業活動は、栽培、収穫、包装及び保存である。

 (2)Subpart B 一般的要求事項

 Subpartでは、本規則が適用になる者に対する一般的な要求事項及び特別の条件下において適用される代替要求事項について議論している。(詳細は略)

(3)Subpart C  資格及び訓練に関する基準 (略)

(4)Subpart D  健康及び衛生に関する基準

 本Subpart Dは、農場労働者及び訪問者が対象産品やそれに接触する物質の表面に危害(hazard)を持ち込むのを防止することを要求している。

訳者注:

危害(hazard)とは、CODEX HACCPでは、食品において健康に対する悪影響となり得る生物学的、化学的又は物理的な物質(agent)と定義されている。

112.31(a)は、病気あるいは感染した者からの微生物による汚染を防止する措置をとることを求めており、たとえば、通常の農場労働者、外部から雇い入れた者の下痢やおう吐などによる感染を防止することである。

112.31(b)は、労働者の健康検査、労働者自身の自覚、観察などにより、労働によって起こる感染を防止することを求めている。この規定はアメリカGAPsガイド、AFDOモデルコード(Model Code of Practice of Association of Food and Drug Officials)CODEXコードの該当部分の要求事項と似ている。

112.31(b)(2)は、労働者の健康に問題がある場合は管理者に報告させるよう措置することを求めている。この規定はAFDOモデルコードの該当部分と似ている。

112.32(a)は、労働者が一定の衛生措置を行うことを求めている。適切な衛生措置が行われず発生した食中毒は、イチゴ、たまねぎ、レタス、バジルにみられた。この規定はアメリカGAPsガイド、AFDOモデルコード、CODEX コードの該当規定と似ている。

112.32(b)(1)は、労働者の清潔を維持する特別の措置をとることを要求している。この規定はCODEX コードの該当規定と似ている。

112.32(b)(2)は、農場労働者が農場の家畜以外の動物と接触することを避けるよう求めており、また、農場内の家畜と直接接触する場合は感染を最小限にするよう適切な措置をとるよう求めている。

112.32(b)(3)は、手をよく洗うことを求めている。特に石けんで洗うのが効果的である。たとえば、フロリダで発生したE.coli O157:H7による事件では、石鹸で手を洗うことが食中毒の感染を減少させることが判明している。また、手を乾かさないことは、微生物の撹拌を引き起こすことになる。

112.32(b)(3)は、手を洗うための適切な施設の特徴を定めている。たとえば、現在、屋外に施設が設置されている例が多いが、屋内の施設が望ましいと考えている。

112.32(b)(4)は、手袋を使用する場合は、手袋を清潔にしておく必要がる。手袋がリユースであれ、使い捨てであれ、汚染されていれば病原菌を移す可能性はある。手袋を使っていると安全だと誤解することもある。この規定はGAPsガイドとCODEX コードの該当規定と似ている。

112.33は、農場への訪問者からの汚染を防止する措置をとることを求めている。第112.33(a)は、訪問者とは許可を得て農場に入るすべての人と定義し、第122.33(b)は、訪問者に対して保護の方針と手続きを理解してもらい、訪問者がこれらの方針と手続きをまもることを確保するために必要な措置をとることを求めている。これらの規定はGAPsガイド、AFDO モデルコード及びCODEX コードの該当規定と似ている。

(5)Subpart E 農業用水に関する基準

農業用水源及び分配システムに関する措置

112.42(a)(1)-(5)は、

・各作期のはじめに、すべての農業用水システムを検査し、この検査で対象産品又はそれに接触する物質の表面に危害が生じる条件を確認すること。

・農業用水の性質、管理の程度、各農業用水の保護の程度、隣接又は近くの土地の利用を考慮すること。

・水が農場に到来する以前に農業用水が他の利用者によって危害がもたらされるかどうかを考慮すること。

を要求している。

112.42(b)-(d)は、

・管理下にある各農業用水を定期的に検査するとともに、ゴミ等を除去す ること。

・汚染の源泉とならないよう農業用水の流通システムを適切に維持するこ と。

・水あるいは流通システムが安全でないと信じる合理的な理由を見出した時は、水の使用を中止すること。

を要求している。

 たとえば、トマトを浸漬するタンクの水にsalmonellaが検出される場合は、その水は安全でない。また、洗浄に使われる水100mlgeneric .Coliが検出される場合はその水は安全でない。

112.42(e)は、水をプールすることから生じる危害を最小限にするために必要な措置を実施することを要求している。


農業用水の処理に関する要求事項

 第112.43(a)は、農業用水が安全でなく衛生的に品質が適切でないと認識した場合は、農業用水を処理することを要求している。また、第112.43(b)は、適切な頻度でその処理をモニターすることを求めている。

農業用水の検査及び頻度

 第112.44(a)は、次の場合に使用される農業用水にgeneric E.Coli100mlの水の中に検出されるかどうかについて量的分析による水の品質検査を行うことを要求している。

 ・野菜の芽(sprout)に使われる灌漑水

 ・収穫時及びその後に産品に直接接触する形で使われる水

 ・農業用茶(agricultural tea)の処理に使われる水

 ・産品に接触する包装等の表面に接触する水又はその表面に接触する氷を 作るための水

 ・収穫時及びその後において手を洗うための水

訳者注:

農業茶(agricultural tea)とは、生物学的物質(たとえば、腐食土、堆肥、糞でない動物の副産物、ピートモス、野菜廃棄物など)から抽出される水のことである。

 第112.44(c)は、栽培時において直接水を適用する場合において、適切な分析手法を用いた水の品質検査を行うことを要求している。もし、100ml当たり、generic .Coli 235CFU (colony forming unit)を超えていれば、この水の使用を停止しなければならない。

この基準はWHOの勧告より厳しい値である。

 第112.45(a)は、次の水を除き農業用水について各作期のはじめに、また、その後の栽培期間において3カ月ごとに検査することを要求している。

  ・公共の水道システムによる水

  ・第112.43に基づいて処理してある水

 我々は、1年に一回の検査では十分でないと判断した。地下水についても3カ月に一回でよいと考えている。

112.45(b)(1)は、雨水(runoff)によるものが相当量を占める地表水(surface water)であって処理していない水については、栽培期間中少なくとも7日ごとに検査することを要求している。また、第112.45(b)(2)は、地下水が地表水になっている水で処理していない水(たとえば農場内の人工の貯水池)については栽培期間中少なくとも1カ月に一回検査することを要求している。

収穫、包装及び保存に使われる水に対する要求事項

 112.46は、収穫、包装、保存の期間中使用する水について措置を導入することを定めている。しかし、厳格な基準を設けるのではなく、自由度を高めておくことを考えている。

 第112.46(b)は、収穫、包装、保存に使用する水の視覚によるモニターを行うことを要求している。また、第112.46(c)は、産品にとって適切な水の温度あるいは微生物の侵入を最小限にするための適切な温度を維持し、モニターすることを要求している。

 我々は、科学的証拠の不足から、水の温度と産品の中心部(core)の温度との差に関する基準については提案していない。しかし、トマトに関する2業界は、これを推奨している。

記録に関する要求事項

112.50(a)は、記録し、保存すべき次の7つの事項を定めている。

・第112.42(a)による検査の結果

・農業用水が安全かどうかを決定するために行われた分析検査の結果の文 書

・第112.43(b)及び(c)の要求を満たすため適切であるとした根拠に関する科学的データと情報

・第112.43( c)(2)による水処理モニタリングの結果に関する文書

・第112.44による検査の結果に関する文書

・第112.44(c)による代替措置の理由付けとなる科学的なデータ又は情報

・第112.45(a)(1)又は(2)による公共の水道システムからの遵守についての結果あるいは証明に関する文書

(6)Subpart F  動物由来及び人間の排出物の生物学的土壌改良に 関する基準 

 Subpart Fは、アメリカGAPsガイド、州の規制、連邦規制及び国際ガイドラインを参考としている。

112.3は、改良土壌(soil amendment)とは,土壌の化学的又は物理的な条件を改善するため、意図的に加えられる化学的、生物学的又は物理的物質(肥料、腐食土、堆肥、糞でない動物副産物(non-fecal animal byproducts)、植物残渣、ピートモス、パーライト、農業用茶など)と定義している。

リスク評価(QAR)によると、動物由来の廃棄物は、campylobacter, salmonella spp, enterohemorrhagic E.coli その他の多種の病原菌を含んでいる。

状態の決定に関する要求事項

 第112.51(a)は、生物学的改良土壌を分類し、微生物を適切に減ずるよう処理されることとしている。また、第112.51(b)は、動物由来の生物学的改良土壌を分類している。

取り扱い、搬送、貯蔵に関する要求事項

112.52(a)において、汚染の原因とならないよう生物学的改良土壌を取り扱い、運び、保存することを提案している。このような取り扱いは、たとえば、処理された生物学的改良土壌と未処理のものとを分別しておくこと、動物由来の生物学的改良土壌が水の分配システムに浸出し汚染源とならないよう防止することが含まれる。

112.52(b)は、処理された動物由来の生物学的改良土壌が、処理されていないあるいは処理中の動物由来の生物学的改良土壌に汚染される可能性を最小限にするよう、取り扱い、運び、保存することを要求している。

112.52(c)は、動物由来の生物学的改良土壌が汚染された場合は、未処理のものとして取り扱うことを要求している。

112.53は、人間の廃棄物は栽培期間中使用することを禁止している(40CFR Part 503に従ったsewage sludge biosolideはこの禁止から除外)。人間の廃棄物は多くの病原菌による汚染の可能性が高い。


受け入れ可能な処理方法

112.54(a)(c)までは、栽培時に適用される動物由来の生物学的改良土壌の受け入れ可能な処理を定めているが、柔軟性を持たせ、いくつかの選択枝が示されている。物理的処理は高熱処理を含んでおり、化学的処理はPHの変更を含んでいる。

112.54(a)は、第112.55(a)で示されるListeria monocytogenes, Salmonella spp,E.coli O157:H7の基準を満たすよう物理的及び化学的処理又はそれらの複合処理を定めている。

また、第112.54(b)は、112.55(b)で示されるSalmonella及び糞便大腸菌群(fecal coliforms)の基準を満たすよう物理的及び化学的処理又はそれらの複合処理を定めている。さらに、第112.54(c)は、112.55(b)で示されるSalmonella及び糞便大腸菌群の基準を満たすよう管理されたコンポスト(composting)の方法を定めている。一つは最低55度cで3日間有酸素(aerobic)の状態でコンポスト維持することである(static composting)。第2の方法は最低55度cで15日間有酸素の状態で最低5回切返しをしてコンポスト維持することである(turned composting)

112.55(a)において、基準値は、第112.54(a)による処理について、(1),5gの検体(analytical portion)において1 CFU (colony forming unit)を検出できる方法を用いてL.monocytogenesが検出されないこと。(2), Salmonella sppが総乾物量4g3MPN(most probable number)未満であること。(3) E.coli O157:H71gの検体中、0.3MPN未満であることと規定されている。

112.55(b)において、基準値は,112.54(b)及び第112.54(c)の処理について、Salmonella sppが総乾物量4g3MPN未満であり、かつ、総乾物量1g中、糞便大腸菌群(fecal coliforms)が1,000MPN未満であることと規定されている。

適用(使用)に関する要求事項及び最低適用間隔

 112.56(a)(1)-(4)は、動物由来の改良土壌についていくつかの適用要求事項と適用間隔を定めている。第112.56(1)(i)は、未処理の動物由来の生物学的改良土壌を適用する場合は、産品に接触しないようにすること及び適用の最低の間隔は9カ月とすることを要求している。第112.56(a)(1)(ii)は、産品に接触しないように適用する場合は、適用の間隔の基準はないことを定めている。

訳者注:

 適用間隔(application interval)とは、改良土壌の適用時期と作物の収穫の時期との間隔をいう。

112.56(a)(2)は、第112.54(a)に従い、第112.55(a)の基準値を満たすよう処理されている家畜由来の改良土壌については、適用方法の規制はなく、最低限の適用間隔もないことを定めている。また、第112.56(a)(3)は、第112.54(b)に従い、第112.55(b)の基準値を満たすよう処理されている家畜由来の改良土壌について,適用中及びその後において産品への接触の可能性を最小限にするよう要求し、適用の最低限の間隔はないことを定めている。

112.56(4)(i)は、第112.54(c)に従い、第112.55(b)の基準値を満たすようコンポストの方法により処理されている家畜由来の改良土壌については、適用中とその後において産品への接触を最小限にするようにし、最低限の適用間隔は45日とするよう要求している。また、第112.56(4)(ii)は、この改良土壌について産品に接触しないよう適用される場合は、最低限の適用間隔はないことを定めている。

記録に関する要求事項

112.60(b)(1)は、未処理の動物由来の生物学的改良土壌又はコンポスト処理による動物由来の生物学的改良土壌を適用した栽培区域及び適用の日を記録すること並びにその栽培区域における収穫の日を記録することを要求している。

112.60(b)(1)は、動物由来の生物学的改良土壌の処理に関する第3者機関から受領した証明書を記録することを要求している。

112.60(b)(3)は、動物由来の生物学的改良土壌の処理のため行われた管理方法(たとえば、施行時間の長さ、温度、切返し)を記録することを求めている。

112.60(b)(4)は、動物由来の生物学的改良土壌について第112.54(c)(3)に基づき代替のコンポスト処理を行った場合の科学的データを記録することを要求している。また、第112.60(b)(5)は、第112.56(b)に基づき代替の最低の適用間隔を理由づける科学的なデータを記録しなければならないことを要求している。

() Subpart    保留 

()Subpart   保留 

(9)Subpart I  家畜及び野生動物に関する基準

112.81(a)は、屋外あるいは一部しか閉ざされていない屋内で作業が行われる場合及び動物が汚染する可能性がある場合における要求事項を定めている。また、第112.81(b)は、本subpartの規定は、完全に閉ざされた屋内には適用されないことを規定している。

112.82(a)は、収穫される作物の安全を確保するため、家畜が草を食べた農地に栽培される作物の収穫時期と家畜の草食の時期との間隔(waiting period)を適切にとるよう求めている。我々は、このとるべき間隔が9カ月を超える必要はないと考えている。

112.82(b)は、作物が植えられている農地に作業用家畜を使用した場合は、既知のあるいは予見可能な危害を防止する措置をとらなければならないことを求めている。たとえば、農耕馬が作物の植えられている場所から離れたところを通るようにする措置などである。

112.83は、対象作物に使われる農地に動物が侵入することに関する措置を定めている。

112.83(a)は、栽培期間中を通じてこれらの農地をモニターするとともに、観察することを求めている。

112.83()は、動物が侵入してきた場合において、動物の数が多く、作物の破壊の程度が大きい時は、作物を収穫すべきかどうか評価することを求めている。動物は人間の病原菌を保有しているので、その糞が作物を汚染する可能性がある。したがって、収穫直前にモニターすることは汚染の防止にとって重要である。

(10)Subpart   保留

(11)Subpart K  栽培、収穫,包装及び保存活動に関する基準

112.112は、作物が汚染されていると合理的に考えられる場合は、汚染を特定し、作物を収穫しないことに関する必要な措置をとらなければならないことを要求している。たとえば、レタスに鳥の糞が付着している場合にそのレタスの頭を収穫しないことなどである。また、第112.113は、作業中に収穫した産品を汚染からまもるように作業しなければならないことを要求している。たとえば、収穫した産品のカットした表面を土地に接触させないことであり、フィールドでの包装の際、清潔なカードボードなど清潔な表面の容器に一時的に保存することなどである。

112.114は、加工を行うこととなる場合など第112.2(b)による例外を除き、地表に落ちた産品を流通させることを禁止している。根菜類は「落下した産物」には含まれない。また、意図的に落下させた産物はこの規則でいう「落下した産物」とはみされない(第112.114)。

112.115は、産品の包装はClostridium botulinum toxinの形成を防止するように行うことを要求している。 酸素の少ない条件下で包装されているマッシュルームはC.botulinumにより毒物が形成される可能性がよく知られている。マッシュルームは収穫後も代謝的に活性で(metabolically active)、包装された内部の酸素の量を急速に減少させる可能性がある。

112.116は、食品の包装材料を使用する場合の措置を定めている。特に第112.116(a)は、包装材料はその目的に沿って適切であることを要求している。たとえば、果物を保持するのにプラスチック容器、水で冷却したり、氷を載せるブロッコリにとってワックスをかけたカードボードなどである。また、第112.116(b)は、包装材料を再利用する場合は、食品に触れる表面を洗浄したり、消毒したりして清潔にする措置をとることを要求している。

(12)Subpart L  設備、道具、建物、衛生に関する基準 略

(13)Subpart M 野菜の芽(sprout)に関する基準

野菜の芽は、温かい、湿気のある、栄養の豊富な環境で栽培されるので人間への感染に関して他の産品に比較し、特別の心配がある。また、種子が汚染の経路となる可能性があると考える。

112.141では、野菜の芽用の種子は、E coli O157:H7及びSalmonellaによる食中毒の経路となると思われるので野菜の芽に関する措置を定めると規定している。第112.141(a)では、種子の中及び表面において既知のあるいは合理的に予見される危害を防止する合理的な措置とらなければならないと規定している。これらの措置は、栽培、収穫、包装及び保存の期間を通じて実施されなければならない。

我々は、種子の供給業者の許可及び確認プログラムを提案しようと考えたが、これは現実的ではなくまた効果もないと判断した。たとえば、オーストラリア及びニュージーランド食品基準でも検討されたがこのようなプログラムは採用されなかった。しかし、カナダとアイルランドは、供給業者によって種子が検査され、栽培者は分析証明書を受け取ることができることを推奨しているが、種子の検査の限界も認めている。我々は、種子の処理と(第112.142)栽培バッチごとの灌漑用水の検査に重点を置いている(第112.143)。

112.141(b)では、種子のロットが食中毒と関連していたことを知るか又は信じる理由がある時はそのロットの種子を使用してはならないことを規定している。第112.141(c)は、種子及び種子を浸す容器を視覚によって検査しなければならないことを定めている。たとえば、ネズミ類や鳥の糞などを見つけることである。

112.142(a)は、十分に閉鎖された建物の中で栽培、収穫、包装及び保存しなければならないことを規定している。また、第112.142(b)は、栽培、収穫、包装及び保存に使用する材料の食品に接触する部分を消毒(sanitized)しなければならないことを規定している。

112.142(c)は、野菜の芽を栽培する種子を科学的に有効な方法によって栽培直前に処理(treat)しなければならないことを規定している。科学的視点からは、2.5 log reduction となる20,000ppmCa(OCI)処理が野菜の芽に広く採用されている。我々は過去の食中毒事件の発生から消毒処理の有効性について知ることができる。たとえば、アルファルファに関するSalmonella kottbusの事件では塩素の濃度(concentration)が20,000ppmより低かったと考えられている。 また、1999年にオレゴン州、ワシントン州、アイダホ州、カルフォルニア州で発生したSalmonella entericaによる事件では、5生産者を追跡したうち事故は化学的消毒をしていなかった2生産者と関係しており、化学的消毒を行っていた3生産者とは関係していなかったことが判明している。

112.143は、検査手続きに関する要求事項を定めており、第112.143(a)は、Listeria spp又はL.monocytogenes(Lm)対策として栽培、収穫、包装及び保存の環境について検査することを求めている。代表的なものは、環境モニタリングにおいて細菌の汚染可能性を見つけた場合、汚染の発生源を決定するため、周辺の微生物の検査を実施し、汚染された場所を清潔にし、消毒することである。UDSA 及びFISISの規制によれば食肉についてListeria  L.monocytogenesの指標生物(indicator organism)として利用することとなっている。FDAの現在の見解は、Listeria sppL.monocytogenesを含む多くのListaria の種類を検出するのでListeria sppL.monocytogenesの指標微生物と考えている。

112.143(b)は、E.coli O157 及びSalmonella spp対策として野菜の芽のバッチごとに灌漑用水の検査を行うか、もし灌漑用水の検査が現実的でないなら(たとえば土壌で栽培される野菜の芽)、生産の段階で生産バッチごとに検査をすることを要求している。

112.144は、Listeria spp又はL.monocytogenes対策として栽培、収穫、包装及び保存の環境をどのように検査するかについて要求事項を定めており、第112.144(a)は、サンプリング及び検査のモニタリング計画の文書を作成することを要求している。また、第112.143(c)(1)は、L.monocytogenesを検査するのかListeria sppを検査するのか特定しなければならないとしている。FDAとしては、環境モニタリングは十分な頻度で実施されなければならないと考えており、我々は月ごとのサンプリング及び試験が最低限の要求であるとのとりあえずの結論に至った。第112.144(c)(2)においては、より頻繁な検査が必要であろうと定めている。たとえば、環境病原菌あるいはその指標生物を検出した場合又は汚染の危険性が高まる状況になった場合は、環境病原菌のモニタリングの頻度を高めるべきである。

112.145Listeria spp又はL.monocytogenesを検出した場合は、発見された場所の周囲の微生物の検査を実施しなければならないと定めている。汚染された場所を清潔にし、消毒することはそこで発見された生物を消滅させるために必要である(第112.145(b))。また、第112.145(d)及び(e)は、環境モニタリングによって環境病原菌あるいは指標生物の存在が確認された場合は、最終的な産品検査を実施すること及び汚染を予防するための必要な措置をとることを要求している。

112.146(a)は、サンプリング計画を書面にし、実施することを要求しており、また、第112.146(b)は、E.coli O157:H7Salmonella sppの検査のために、野菜の芽に使われる灌漑の水及び野菜の芽のサンプルを無菌(aseptically)で集めることを要求している。これは正確な検査を確保するためである。

112.150(b)は、次について記録しなければならないことを定めている。

・第112.144及び第112.150(b)(2)による環境モニタリング計画の書面

・第112.146(a)によるサンプリング及び検査計画の書面

・第112.143及び第112.144により実施された検査の結果

・第112.152に定められた分析方法

・第112.146(b)による検査方法

(14)Subpart N  分析方法  略

(15)Subpart O  記録に適用される要求事項

記録に関しては各方面から多くの意見があったが、我々は、記録は農場において規則が適切にまもられることを確保するために重要であり、詳細な情報を追跡するために有益であり、問題の内容を確定することに有益であり、検査官が規則の遵守を確認するためにも有益である。したがって、年間の活動の記録では不十分と考える。FDAはとりあえずSubpart Oにおいて、一般的要件、記録及び保存要件、当局の閲覧要件、公表の要件を含み記録がどのようになされ、保存されるべきかについて定めている。

 第112.161は、次の事項につて記録がなされなければならないことを定めている。

@ 農場の名前と所在地、Aモニタリングにおいて得られた評価と所見、B産品の名前、必要な場合にはロット番号、その他の産品確認表示(identifier)などの記述、C栽培の場所の位置、その他包装の家屋等の位置及びD記録された活動の日と時間

112.161(b)は、Subpart C,E, F, L及びMにおいて記録し保存することが求められている場合において、これらのSubpartの基準がまもられていない時は、とった活動の記録を付け、保存しなければならないことを定めている。第112.161(c)では、112.2.50(b)(4), 112.50(b)(5), 112.60(b)(1),112.60(b)(3), 112.140, 112.150(b)(1), 112.150(b)(1), 112.50(b)(4), 112.161(b)で要求されている記録については、管理者あるいは責任ある者が検査し署名することを求めている。

112.164(a)は、記録は作成後、2年間保存しなければならないことを要求している。また、第112.166(a)は、FDAの検査とコピーの口頭及び書面での要求に応じて保存期間中アクセスを可能にしておかなければならないことを定めている。また、第112.167は本章(chapter)のPart 20に従って、公表の要件に適合しなければならないことを定めている。

(16)Subpart P  その他      略

(17)Subpart Q 遵守及び罰則   略

(18)Subpart R 例外指定の撤回  略 

参考 

食品安全近代化法における生鮮野菜・果実の安全基準に関する規定

第105条 製品安全のための基準

 (法第21 USC. 341 et seq)の改正、食品・医薬品・化粧品法第419条として追加

(1)基本事項

 本法施行後1年以内に長官は、長官が健康に対する重大な悪影響を最小限にする必要があると判断した生鮮の果実及び野菜について安全な生産と収穫に関する科学を基礎とした最低基準に関する規則案を公表しなければならない。長官は、コメント提出期間終了後1年以内に最終規則を作成しなければならない。

(2)規則の内容

 健康に対する重大な悪影響を最小限にするために必要と長官が決定する手続きや行為について定め、発生が合理的に予想される生物学的、化学的及び物理的な危害を予防する手続きや行為が含まれていなければならない。

 また、小企業(small business)に対しては、規則の適用を規則の施行の日から1年後とする。

(3)規則の適用変更

 アメリカに食品を輸出している国は、本規則の適用変更(variance)を長官に対して要請できる。長官は規則の一部又は全部について適用変更を認め、その適用範囲を特定することができる。

(4)適用除外

 過去3年間において消費者やレストラン等の最終消費者への年平均販売額が他の購入者への販売額を超えている農家及び過去3カ年の平均販売総額が50万ドル未満の農家には本条は適用されない。

 しかし、食品由来の病気の発生に関連して適用免除になっている農家に関係する積極的調査(active investigation)が行われている場合、あるいは長官が公共の健康を保護する必要があると判断した場合は、長官は当該免除を撤回することができる。

(5)禁止行為(罰則)

 本条の要求事項に従っていない行為は、法第301条(21 USC 331)にいう禁止行為となる。

食品安全近代化法については、

http://www.ab.auone-net.jp/~ttt/USAlaw2011.html

アメリカの食中毒については、

http://www.ab.auone-net.jp/~ttt/food%20born%20desease%20usa.html
を参照されたい。

本文書に関する留意事項

本資料は、FDAが公表した547ページに及ぶ生鮮野菜・果実の安全に関する規則提案を要約したものである。提案は、規則案のほか、規則を採用する理由、過去の事件の事例などの背景説明、関連するFDAのリスク評価などを説明し、さらにFDAの疑問点なども盛り込み、主として事業者に対してコメントを求めている。

また、この規則は既存のアメリカがとった各種ガイドライン、アメリカGAPsガイド、野菜及び果実に関するCODEXコードなどを参照しているが、FDAが実施したリスク評価を基にしていることも説明している。特にCODEXコード等の国際基準よりも厳しい措置を採用している場合は、そのリスク評価を説明し、SPS協定に違反していないことを示唆している。

本資料は、この規則案の中で、筆者が重要と考える規則案を選択し、要訳し、また、適宜背景説明や具体的事例を加えている。したがって、規則案全部を網羅しておらず、選択に誤りがあることも予想される。また、技術用語の訳につい不適切なものがあると思われる。これらの点についてご指摘・ご指導をいただければ幸いである。

 本資料の作成に当たっては、JAS協会伊藤専務理事に多大の協力をいただいた。

また、本資料は、JAS協会の機関誌に掲載されたものである。


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