本資料は「のびゆく農業」983号、農政調査員会に掲載されたものである。

アメリカのワイン法の概要

            解題 橋梯二 

                翻訳 橋梯二 

                         宇都宮仁 

       アメリカのワイン法の概要 ・・・・・・・・・・

        基本免許等 ・・・・・・・・・・・・・

        ワインの表示及び宣伝 ・・・・・・・・

        ワインの認識の基準 ・・・・・・・・・・

        ワインの表示規則 ・・・・・・・・・・・

        保税地域からのワインの引取り ・・・・・

        国内でびん詰め又は容器詰めされるワインの           ラベル許可・・          
        ワインの容器に関する基準 ・・・・・・・

        アメリカのブドウ品種名 ・・・・・・・・

        アメリカブドウ栽培地域(AVA) ・

        ワインの製造 ・・・・・・・・・・・・

        ワインの生産 ・・・・・・・・・・・・・

        ワインの保存、処理、仕上げ ・・・・・・

        記録及び報告 ・・・・・・・・・・・・・

解題

                                 橋 梯二
東京大学農学生命科学研究科非常勤講師

本稿は、アメリカにおいてワインを規制しているアルコール管理法(Federal Alcohol Administration Act )に基づくアメリカ連邦規則タイトル27(Code of Federal Regulation Title 27Alcohol, Tobacco and Firearms)のうちワインに関する規則の主要部分の概要の翻訳である。また、アメリカでは、清酒も農産物の発酵によるワインとしてワインの分類に含まれるので、訳出した諸規定のかなりの部分は清酒にも適用される規則でもある。

日本においては、ワインは酒税法及び酒団法によって規制さているが、これは、酒税の確保を主な目的とする法律であり、ワイン産業の振興や消費者の保護はほとんど視野にない法律である。しかも、ワインの消費量と生産量が微々たる時代に作られた法律なので、ワインの独自の定義規定はなく、果実酒として定義されているのみである。

さらに、ワインについては消費者に正しく、かつ必要な情報を提供する観点から、また、事業者の公正な競争を確保するうえでも表示が極めて重要であるにもかかわらず、日本では表示に関する基準には法的根拠がなく、業界一部の自主基準で済ませている。また、世界では、高品質ワインと日常消費ワインとの仕分けをし、高品質ワインには、産地表示規制など厳格な規制を適用し、品質の維持・向上と消費者に対する品質保証を行っている。さらに、原産地名を付したワインは知的所有権たる地理的表示として、内外で名称の保護がなされている。このような制度がワインの国際貿易の枠組みになっているが、日本ではかかる法制度は基本的には導入されていない。

ワインのグローバル化が急速に進展するにつれ、アメリカ、オーストラリア、アルゼンチンなどの新世界のワインが大きく進展するとともに、今までワイン産地でなかった、中国、ヴェトナムなどがワイン市場に参入し始めており、日本も法律に支えられたワイン産業の発展が図られないとグローバル化の波にのみこまれてしまう危険もある。このような情勢から、事業者の一部及び学識経験者は日本ワイン法の制定の必要性を訴え、「日本ワイン法制定推進会議」を結成して運動を展開している。

2011年に日本とEUとの自由貿易協定の予備協議が開始されたが、EUは自由貿易協定においてワインを含むEUの農産物・食品についてEUの地理的表示産品を日本市場で保護するよう求めている模様である。日本では、農産物・食品についての地理的表示制度は導入されておらず、自由貿易協定を成立させるうえからも、地理的表示の法制度化が必要になっている。

アメリカは、禁酒法を導入した国であり、アルコールに対する警戒心の強い国でもある。したがって、ワイン法においては安全で安心なワインの製造と消費者に対する正確な情報の提供にかなりの重点が置かれている。しかしながら、事業者の自由度も認め、比較的自由に近代的技術の使用を認めているが、それらについての記録の保持やトレーサビリティを強く求めてもいる。また、表示については、ワインの分類や種類の表示規制は詳細に規制しているが、そのほかは、表示禁止事項以外は真実であれば何を表示してもよいという自由度を認めている。それだけに、ラベルは当局の許可制を採用している。

一方、EUのワイン法は、過剰生産の防止による通常消費ワインの品質の低下と価格の下落の防止に重点を置くとともに、上質ワインについては、地理的表示制度(原産地呼称制度)の活用によるワインの品質の維持・向上と世界市場でのヨーロッパワインの名声の維持に重点が置かれている。このため、上質ワインである地理的表示ワインについては、詳細な生産基準を定め、監視機構も設け、生産者に厳しい規制を課している。それだけに、EU市場に輸入されるワインについても、特に表示について厳しい規制を適用している。

日本でワインについての制度を整備していく場合、ワイン生産の先進国でもあり、また、ワイン制度についても世界的に大きな影響力を持つEU及びヨーロッパ諸国のワイン法をよく理解する必要があるが、ワイン生産と消費の後進国を代表するアメリカのワイン法もよく研究しておく必要があろう。日本では、フランス、イタリアなどの法制度のほかEUの制度については研究がかなりの程度なされているが、アメリカなどの法制度はほとんど研究がなされていない。本稿は、アメリカのワインの制度を知る上での第一歩になるものである。アメリカ連邦規則は詳細に定められており、アメリカが輸入するワイン(清酒を含む)についての規制も定められている。したがって、この連邦規則をみれば、輸入規制もかなりの程度把握できる。

なお、翻訳については、ワインの製造に関する第24章は、宇都宮仁が担当し、それ以外は橋梯二が担当した。 


        アメリカのワイン法の概要

      −連邦規則コード(CFR)タイトル27−

                                橋梯二
   東京大学農学生命科学研究科非常勤講師            宇都宮仁
  (独)酒類総合研究所情報技術支援部門長

           基本免許等(第1章)

1基本免許(清酒にも適用される)

(1)輸入業者(第1.20条)

本法に基づく基本免許のない者は、蒸留酒、ワイン及び麦芽飲料のアメリカへの輸入

に従事することができない。

(2)生産者、調製者(rectifier)、ブレンダー、貯蔵業者(第1.21条)

   本法に基づく基本免許のない者は、蒸留酒の蒸留、ワインの生産、調製・ブレンド又はびん詰を行うことができない。

(3)卸売業者(第1.23条)

 本法に基づく基本免許のない者は、卸売りのために蒸留酒、ワイン又は麦芽飲料を購入し、販売する事業に従事できない。

(4)免許の期間(第1.43条)

  基本免許に有効期限はない。

(5)免許の自動消滅(第1.44条)

   基本免許の貸与、譲渡、自発的な移転をすることができない。また、このような場合、基本免許は、消滅する(1)

                               

 (1) 小売免許は、州又は郡から発行される。

2 ワイン及び蒸留酒の非工業的使用(清酒にも適用される)

ワインの使用(第1.61条)(2)

 次のワインの利用は、工業用とみなされ、非工業用ワインとしての適用から除外される。

(1)酢の生産用として使用される場合で、税の支払いがないワイン

(2)試験・研究用として税の支払いがないワイン

(3)政府等が分析等のために用いる場合で税が免除されているワ
イン

(4)飲料として適切でないワイン

ワインの表示及び宣伝(第4章)

 Iワインの認識の基準(subpart C

1ワインの認識の基準(standards of identity(第4.21条)

ワインは、次のように分類する。

第1分類(class 1)ブドウワイン 

(1)  ブドウワイン

  健全で熟したブドウの果汁(純粋な濃縮果汁を含む)のアルコール発酵によるもので、発酵の後に純粋な濃縮ブドウ果汁を添加してもよい。また、ブドウによるブランデー又はアルコールを添加してもよいが、他のものの添加は許されない。

さらに、発酵の前、途中あるいは後に次の方法により改良(ameliorate)できる。

(a)    ワインの容量の増加が35%を超えないことを限度として、砂糖あるいは水に溶いた砂糖を添加することにより改良できる。ただし、改良されたワインのアルコール発酵によるアルコール容量(度数)は13%を超えてはならず、天然の酸量(natural acid content)でなければならず、水を加えた場合、1000分の5を超えてはならず、又は総乾物重量(solid content)22g/立法100cmを超えてはならない。

                            

(2)ワインの定義については、1918年連邦収入法(26U.S.C.5381-5392)(税法)でなされており、非工業的な使用がなされるもので、アルコール度が7%以上24%以下のものとして定義されている。

(b)  揮発酸の最高限度は、酢酸で計算し、二酸化イオウを除き、赤ワインで0.14g/100mL,他のワインについては0.12g/100mLである。ただし、Brix28度以上の果汁から造られる場合は、赤ワインについては0.17g/100mL, 白ワインについては0.15g/100mLである。

ブドウの果皮、果汁等に含まれる赤の色素の程度に応じて「赤ワイン」、「ロゼ(ピンク)ワイン」、「コハクワイン」又は「白ワイン」と呼ぶことができる。ブドウによるブランデーあるいはアルコールを添加していないワインは「天然、natural」と呼ぶことができる。

(2)  テーブルワイン

  アルコール度14%以下のブドウワイン。「ライトワイン(light  wine)」などともよばれる。

(3)  デザートワイン

 ブドウによるブランデー又はアルコールが添加されたブドウワインで、アルコール容量が14%超、24%以下のもので、シェリー、アンジェリカ、マディラ、ポルトなどの風味を持つもの

2分類 スパークリングブドウワイン

(1)  スパークリングブドウワイン

  密閉された容器内の発酵によって得られる炭酸ガスを含む発泡性のブドウワイン

(2)  シャンパーニュ

  1ガロン以下のびんの中での二次発酵によって得られる発泡性のワインで、フランスのシャンパーニュの風味を持つもの。

(3)  スパークリング低アルコールワイン

  シャンパーニュの風味はもつが、シャンパーニュの基準に満たないワイン。「シャンパーニュ・スタイル」、アメリカン・シャンパーニュ」、「ナパ・バレー・シャンパーニュ」などの表示ができる。

(4)  クラッキング・ワイン(cracking wine)、ペティヤン・ワイン、フリザンテ・ワイン

  シャンパーニュより発泡性が弱く、アルコール度が低いワイン

第3分類 炭酸ガス添加ブドウワイン

 密閉された容器内での二次発酵以外の方法によって得られる発泡性のブドウワイン

第4分類 かんきつワイン

(1)  かんきつワイン

(2)  かんきつテーブルワイン

(3)  かんきつデザートワイン

第5分類 フルーツワイン

(1)  フルーツワイン

(2)  ベリーワイン

(3)  フルーツテーブルワイン

(4)  フルーツデザートワイン

(5)  一種類の果実ワイン

第6分類 その他農産物ワイン

清酒(sake)はこの分類に属する。また、干しブドウからのワインもこの分類に属する。

第7分類 食前ワイン(aperitif wine

(1)  食前ワイン

  ブドウワインとブランデーあるいはアルコールとの混合若しくはハーブ又はその他の香料との混合で、食前酒の風味を持つワインで、アルコール容量15%以上。着色のためキャラメルを使用してもよい。

(2)  ヴェルムース

  ヴェルムースの風味を持つ食前ワイン

第8分類 イミテーション、サブスタンダードワイン

(1)  イミテーションワイン

  化学合成素材を含むワインやブドウ、果実又はその他の農産物の圧搾の後の残渣と水との混合によって得られるワインなど

(2)  サブスタンダードワイン

  揮発酸の限度などの基準を満たしていないなどの規格外のワイン

第9分類 レッジーナーワイン

 ブドウによるテーブルブルワインで、松やにとともに発酵されるか、松やにの香りづけがなされるもの。

2 バライエッタル(ブドウ品種)表示(第4.23条)

(1)     ブドウワインについて原産地呼称(appellation of origin)の表示がある場合に限り、ブドウワインの種類(type)を示すものとして一つ又は複数のブドウ品種名を表示することができる。

(2)     次の(3)の場合を除き、ワインの75 %以上が一つのブドウ品種に由来している場合で、その75 %の全部が表示された原産地で栽培されたものである場合は、ワインの種類を示すものとしてそのブドウ品種を表示することができる。

(3)     ラブルスカ品種から生産されたワインについて次の場合は、その品種を表示できる。

(a) ワインの51%以上が当該品種に由来していること。

(b)  51 %以上が当該品種に由来していることを表示すること。ただし、75%以上であれば、それを表示する必要はない。

(c)  当該品種から由来することが示された割合のすべてが表示された原産地で栽培されていること。

(4)     以下の場合は、二つ以上のブドウの品種をワインの種類を示すものとして表示することができる。

(a) すべてのブドウ品種が表示された品種であること。

  (b) 各品種に由来するワインの割合を表示すること(2 %の範囲   内の誤差を認める)。

 (c) 長官(TTB長官)(3)によって許可されたリストに記載され     ているブドウの品種は、ワインの種類を示すものとして表     示することができる(199627日施行)。

3 ジェネリック、セミジェネリック、非ジェネリック地理表示  (第4.24条)

(1)  長官が認定する場合に限り、ワインの分類又は種類を示している地理的な名称は、ジェネリック(一般名称)になっているとみなされなければならない。その例は、「ヴェルムース」、「sake」である。

(2)  また、ワインの分類や種類を示しているもので、地理的な意味をもつ名称について

長官が認める場合において、セミジェネリックになっているとみなさなければならない。その例は、アンジェリカ、バーガンディ、クラレット、シャブリ、シャンパーニュ、キアンティ、マラガ、マルサラ、マディラ、モーゼル、ポート、ラインワイン(ホック)、ソーテルヌ、オー・ソーテルヌ、シェリー、トカイである。

(3)  長官がジェネリック又はセミジェネリックと認めない地理的名称は、その名称に示された原産地のワインを示す場合のみに使用することができる。このような名称については、長官が特定の産地を示すものとして消費者に及び貿易上知られ、他のワインと識別できるものとして長官が認めたものでなければ、識別できる名称(distinctive designation)とみなされない。

                               

  (3)TTB:アルコール及びタバコ税及び貿易局(Alcohol and Tobacco Tax and Trade          Bureau

識別できない非ジェネリックの名称の例は、「アメリカン」、「カルフォルニア」、「エリー湖」、「ナパ・バレー」、「ニューヨーク州」、「フレンチ」、「スパニッシュ」などである(subpart C of part 12)。

識別できる非ジェネリックの名称の例は、「ボルドー白」、「ボルドー赤」、「グラーブ」、「メドック」、「サンジュリアン」、「シャンベルタン」、「モンラッシェ」、「ローヌ」などである(subpart D of part 12(4) 

                             

(4)    アメリカには「メリテージ」という種類のワインがある。これは古典的なボルドーのブドウ品種のみから造られるワインで、いわゆる「ボルドースタイル」ということであるが、フランスのこの名称に対する反発が強いので「メリテージ」という名称になったとされている。「メリテージ」は商標(証明商標)であり、商標権はメリテージ協会が所有し、そこから認められた者が「メリテージ」の表示ができる。法律上はジェネリック・ワインに属する。

また、「プロプライエタリー・ワイン」という種類もある。これは、品種表示規制などにとらわれない自由な発想から造られるワインで、品種表示などがなされず、生産者独特のワインの種類を意味する。法律上はジェネリック・ワインに属し、ワインの名称は商標によって保護される。「オーパスワン」などがこの種のワインである。また「メリテージ・ワイン」も「プロプライエタリー・ワイン」の一種であるとされる。

4 原産地呼称(appellation of origin(第4.25条)(清酒にも適用される)

(1) 定義

a)アメリカのワインの原産地呼称の名前は、「アメリカ」の名  前、一つの州の名前、隣接する2ないし3つの州の名前、一  つの郡の名前、2ないし3つの郡の名前又はブドウ栽培地域 (viticultural area)の名前である。

(b)輸入ワインの原産地呼称の名前は、国、州、地方、地域又はブ   ドウ栽培地域の名前である。

(2)資格

(a) アメリカのワイン

ブドウ栽培地域以外の産地表示及び複数の郡名及び複数の州名以外の産地表示の場合は、次の条件による。

@     少なくともワインの75 %以上が表示された産地で生産された果実又は農産物に由来していること。

A     「アメリカ」と表示された場合は、最終の生産までアメリカで行われること。州の名前が表示される場合は、その州又は隣接する州で最終まで生産されること。郡の名前が表示される場合は、その郡が属する州内で最終まで生産されていること。

B     表示された地域の法律や規則に合致していること。
(b)輸入ワイン

ブドウ栽培地域以外の産地の表示については、次の条件による。

@  ワインの少なくとも75 %が原産地呼称によって示された産地で栽培された果実又は農産物に由来していなければならない。

A  ワインは、ワインの組成、生産の方法、ワインの指定に関する外国の法律や規則に合致していなければならない。

(3)ブドウ栽培地域を表示する場合

   (a)定義

@ アメリカのワイン

 AVA制度によって識別性を有する(他と異なる)として区画されたブドウ栽培地域

A 輸入ワイン

原産国によって区画が承認され(recognized)、決定された(defined)場所又は地域

(b)AVA(アメリカブドウ栽培地域)の確立

 誰もが長官に対してAVAの設定の申請ができる。

(c)使用(表示)することができる条件は、以下のとおりであ   る。

@  表示が本法又は外国政府によって認められているこ  と。

A  ワインの85 %以上が表示されたブドウ栽培地域で  栽培されたブドウに由来していること。

B  外国のワインについては、ワインの組成、生産の方  法、ワインの指定に関する当該外国の法律や規則に合  致していること。

C  アメリカのワインについては、ブドウ栽培地域が属  している州内において最終までの生産が行われている  こと及びブレンドによってワインの分類や種類の変更  がなされていないこと。 

5 エステイトびん詰(第4.26条)

(1)使用(表示)の条件

  「エステイトびん詰」の表示は、そのワインがブドウ栽培地域の原産地呼称とともになされなければならず、また、びん詰めするワイナリーは、次の条件によらなければならない。

(a) 当該ブドウ栽培地域に存在すること。

(b) ワインを生産するためのすべてのブドウが表示され  るブドウ栽培地域内のワイナリーによって所有又は管  理されている土地で栽培されていること。

 (c)  破砕(圧縮)、発酵、熟成、びん詰が連続して行われ  なければならない(びん詰めするワイナリーからワインが一時的にでも離れることがない)こと。

6 ヴィンテッジ・ワイン(第4.27条)

(1)  ヴィンテッジ・ワインは、ブドウの収穫年の表示が  あるもので、ワインの第1分類、第2分類又は第3分類  に属するワインである。また、ヴィンテッジ・ワインは  、国の名前以外の原産地呼称があるワインでなければな  らない。さらに、ヴィンテッジ・ワインは次の規則が適  用になる。

(a)    ブドウ栽培地域の原産地呼称ワインについては、  アメリカのワイン及び輸入ワインについても少なくと  もワインの95 %以上が表示された年に収穫されたブ  ドウに由来するものでなければならない。

     (b)  国又はブドウ栽培地域以外の原産地呼称表示ワインについ       ては、アメリカのワイン及び輸入ワインについても少       なくとも85%が表示された年に収穫されたブドウに由       来するものでなければならない。

(2)輸入ワインについては、次の条件をすべて満たしている   場合は、収穫年を表示することができる。

(a) 上記(1)に従っていること。

 (b) 輸入以前に5リットル以下の容器に詰められているこ  と、又は、アメリカにおいて元の容器からびん詰めさ  れること。

 (c) インボイスには、その国の法律が収穫年の表示を規制  していること、また、当該ワインがこれらの法律に合  致していること及び当該ワインが収穫年を表示するこ  とが認められていることを証明する原産国から発行さ  れる証明書が備わっていること。  

II ワインの表示規則(subpart D(清酒にも適用される

1基本原則(第4.30条)

 このsubpart Dに従って, 容器詰めされ、表示されたワインでなければ、いかなる者も販売、保税地域からの引き取りなどの業務を行うことができない。

2 義務表示(第4.32条)

(1)  次の事項については、ブランド表示(brand label(表ラベル)の中に表示されなければならない。

(a)  ブランド名

(b)  ワインの分類及び種類

(c)   アルコール容量

(d)  アメリカのワインと外国のワインがブレンドされてい  る場合は、外国のワインの容量の割合(パーセント表示)

(2)  容器に貼られたラベル(補助ラベル)に次の事項が表示さ     れなければならない。

(a)  名前及び住所

(b)  ネット容量

(3)  FD and C Yellow No 5 (色素)がびん詰めされた産品に  使用されている場合は、これを含んでいることを表示し  なければならない。

(4)  二酸化硫黄が10 ppm以上検出される場合は、表ラベ  ル、裏ラベル、ストリップラベル又は首ラベルに二酸化  硫黄を含んでいることを表示しなければならない。

  (5)ブランド名(第4.33条)

(a)      人の名がブランド表示にある場合は、その人がブ  ランド名とみなされる。

(b)      生産年、原産地又は産品の特徴を意味したり、示  唆するようなブランド名は禁止される。

(6)分類及び種類(第4.34条)

   (a)ワインの分類は表示されなければならない。

非発泡のワインについては、ワインの分類に代えてヴァライエッタル表示、セミジェネリック表示、識別できる地理的表示を表示することができる。シャンパーニュ又はクラッキング・ワインについては、「スパークリング」という分類に代えて「シャンパーニュ」又は「クラッキング・ワイン」と表示できる。

乾物重量(solid content)が17g/100立方cmを超える場合は、「specially sweetened,specially sweet」又は「sweetened with excess sugar」と表示しなければならない。

b)次の場合は、ワインの分類又は種類として、たとえば、「American(国の名)」,New York(州の名)」、「Napa Valley(ブドウ栽培地域の名)」又は「Chilian(外国の国名)」をワインの原産地を示すため、表示しなければならない。

(a)      ヴァライエッタル表示がある場合

(b)      ヴァライエッタルな意味を持つ種類の表示がある場合

(c)       セミジェネリックの表示がある場合

(d)      ブドウの収穫年の表示がある場合 

(7) 名前及び住所(第4.35条)

a)アメリカのワイン

   アメリカのワインについては、ボトラーの名前の前に「bottled by」又は「packed by」を表示しなければならず、また住所を表示しなければならない。これに加え、「blended」、「cellared」、「produced or made」、「vinted」、「prepared」などの表現を使用することができる。

     () 輸入ワイン

  輸入ワインについては、輸入業者の名前の前に「imported by」が表示されなければならない。アメリカでびん詰めされた場合は「 bottled by」又は「packed by」が表示されなければならない。

(8)アルコール容量(第4.36条)

a)アルコール容量が14 %を超えるワインは、アルコール容量(度数)を表示しなければならない。14 %以下のワインについては、アルコール容量を表示するか「table wine(light wine)」と表示しなければならない。

 () アルコール容量は、パーセント表示で「Alcohol -% by volume」と表示するが、「Alcohol」の用語を「alc」と、「volume」の用語を「vol」と短縮できる。また、「Alcohol - % to - % by volume」と範囲を表示することができる。この場合最高と最低の幅は14 %を超えるワインについては2 %を超えてはならず、14 %以下のワインについては3 %を超えてはならない。

(9)内容量(ネット容量)(第4.37条)

 内容量が1リットルを超える場合はリットルで表示され なければ ならず、小数点は第2位までとする。また、1リットル未満の場合 はミリリットル(ml)で表示する。

3 表示の一般的基準(第4.38条)

 (1)文字の大きさ

a) 187mLを超える容器の場合

 すべての義務表示は、アルコール容量を除き2 mmメートル以上でなければならない。ただし、義務表示以外の説明表示がある場合は、義務表示の文字の大きさは、説明表示の文字の大きさよりも見やすいものでなければならない。

(b) 187mL以下の容器の場合

すべての義務表示は、アルコール容量を除き1mm以上でなければならない。ただし、義務表示以外の説明表示がある場合は、義務表示の文字の大きさは、説明表示の文字の大きさよりも見やすいものでなければならない。

(c)アルコール容量については、3 mmを超えてはならず、5L以下の容器の場合は、1 mm以上でなければならない。

(2)追加的情報

ラベルには義務表示以外の情報を記載することができる。ただし、これらの追加的情報は、本章の規定に反してはならず、また、真実で、正確でなければならず、競争相手の産品を誹謗するものであったり、誤認を招くものであってはならない。

4 表示禁止事項 (第4.39条)(清酒にも適用される)

 1)ラベルにおける表示

   表示における説明は、次のものを含んでいてはならない。

(a) 誤った又は真実でない説明

(b) 競争相手の産品を誹謗するような説明

(c)  みだらな表現又はデザイン

(d) TTBが消費者に誤認を与えるおそれがあるとみなす説明又はデザイン

(e) TTBが消費者に誤認を与えるとみなす保証に関する説明又はデザイン 

ただし、現金返却保証は禁止ではない。

(f)  公衆に知られた個人又は私的なあるいは公共の機関の名であって、この名の使用が消費者に対してその産品がそれらの名の者あるいは機関によって、生産あるいは管理されていると誤認させるような名、取引上あるいはブレンドの名

 ただし、ワインの生産、ブレンド、調製、輸入、卸売り又は小売に従事している者の名は(f)は適用にならない。

(g) ワインについて次のような印象を与える表現又はデザイン

@     蒸留されたアルコールを含んでいること。

A     蒸留されたアルコールに匹敵すること。

B     酔わせる効果(麻薬的効果)(intoxicating)があること。

   2)年代表示

   年代の表示又は年代に関連する表示は、次の場合を除き禁止さ れる。

@    4.27条に従ったヴィンテッジ・ワインの場合

A    4.38条に従った貯蔵又は熟成を含む製造法の場合

B    ブレンドの名の一部としての「old」の表現

 (3)びん詰めの日付

    びん詰めの日付は、ワインの生産年代に関するものとみなさ れてはならない。

 (4)その他の日付の表示

    ヴィンテッジ又はびん詰めの年代に関する上記(2)及び(3)の場合以外は、日付の表示は禁止される。ただし、ワイナリーの設立年あるいはブランドの確立年は表示できる。この場合5L以下の容器の場合は2mmを超える文字の大きさでなければならず、ワイナリーや人の名前と直接結びついていなければならない。

(5)政府の切手をまねた表示

(a)アメリカの政府又は外国の政府の切手をまねたものあるいは似たものは表示できない。

(b) 輸入ワインが輸出国政府による原産国証明及び又はヴィンテッジ証明がある場合は、証明の内容あるいは政府の名、ワインの分類・種類、ヴィンテッジについて表示ができる。ただし、それら以外の追加的な説明の表示はできない。

 (6)輸入業者の名前の表示

    国内のワインに「輸入業者」又はそれに類似する表現を原 則として表示してはならない。

 (7)旗、紋章等

 TTBがアメリカの軍隊、アメリカの旗、その他の紋章に関連すると考えるデザイン、絵、写真をラベルに含めてはならない。また、消費者に対して紋章の機関あるいは人によって産品が担保され、造られ又は使用されていると消費者に誤認させるおそれのある紋章はラベルに含めてはならない。

(8)健康表示

a)健康に関連する説明を表示する場合は、真実でなければならず、また、その効果について消費者に誤認を与えるおそれがあるものであってはならない。TTBはケース・バイ・ケースでこのような健康表示を評価し、注意書きや誤認を与えないような説明の表示を求めることができる。

b)特定の健康表示

 TTBは健康表示について必要な場合は、FDAに協議する。もし、FDAがその特定の健康表示について医薬品にしか認められないものと決定する場合は、TTBはそれをワインに表示することを禁止する。

c)第3者の意見による健康効果の表示(Health related directional statement

ワイン又はアルコールの健康効果について第3者又は他の情報源による説明は、次の場合を除き誤認を与えるものとみなされる。

@  健康に対する効果についての第3者の又は他の情報源による説明を中立で誤認のないような方法で消費者に伝えること。

A  健康に関する表示の一部として次のような断り書き(disclaimer)を加えること。

  「この説明は、健康の理由からアルコールの消費を奨励したり、増加させたりするものでない」

(9)地理的なブランド名

  ブドウ栽培地域を意味するようなブランド名は、原産地呼称の条件に従っていなければ原則として使用することができない。

(10)地理的な意味を持つ産品名

  特定の地理的な意味を持つ産品名については、消費者が空想的な(fanciful)ものとしてまた原産地を示すものでないとして認めている名で長い間使用されているとTTBが認める場合以外は、その使用が禁止される。

(11)他の原産地表示

  真の原産地以外のその他の産地を示し、又は示唆する表示をしてはならない。

(12)外国の用語

  ブドウの収穫時における特別の用語(たとえば、「Auslese」、「Eiswein」、 Trockenbeerenauslese」など)又は外国の法律において品質を示す用語(たとえば、「Qualitaswein」、「Kabinett」など)は、アメリカのワインに表示することはできない。

(13)ヴィンヤード、農場などの名の使用

  ブランド名においてヴィンヤードや農場の名を使用する場合は、第4.33条及び第4.39条に従うほか、主たる原材料についてワインの95%がそのヴィンヤード又は農場で栽培されたもので造られたものでなければならない。

5 アルコール飲料の健康に対する害の警告義務表示(第16章)(清酒にも適用される)

(1)原則(第16.20条)

  国内産品については、健康に対する害の警告のないアルコール飲料は、アメリカにおいて販売の目的でびん詰めしたり、流通させてはならない。また、健康に対する害の警告がないアルコール飲料をアメリカで販売したり、流通させる目的で輸入することはできない。

(2)警告の義務表示(第16.21条)

表示すべき警告は、妊婦の飲酒が生まれてくる子供に支障をきたすおそれ、及び飲酒が自動車の運転や機械の操作能力を低下させることなどに関する次の警告である。

@  According to the Surgeon General, women should not drink alcoholic beverages during pregnancy because of the risk of birth defects.

A   Consumption of alcoholic beverages impairs your ability to drive a car or operate machinery, and may cause health problems.

6 主要な食品アレルギー物質の自発的表示(第4.31条)(清酒にも適用される)

(1)定義

主要なアレルギー食品とは、牛乳、卵、魚、甲殻類、木の実、小麦、落花生及び大豆等である。

(2)自発的表示

ワインの生産に主要な食品アレルギー物質が使われている場合は、自発的に表示することができる。 

7 有機の用語の使用 (subpart K)  (清酒にも適用される)

  有機の用語の使用(第4.101条)

(1)  有機の用語の表示は任意である。

(2)  有機の用語の使用は、アメリカ農務省の国家有機計画規則(National Organic Program rules)に従っていなければならない。

III 保税地域からのワインの引き取り(subpart E(清酒にも適用される)

1 ラベル許可及び搬出 (第4.44条)

(1)ラベル許可証明書が輸入された港の税関に提出されていなければ、輸入ワインは保税地域(custom custody から搬出することができない。

(2)また、ラベル許可証明書が発行された場合に、当該表示を用いているブランドあるいはロットのワインを保税地域から搬出できる。

 原産国、ワインの種類及びセラー処理証明書(第4.45条)

  外国政府から発行された原産国(origin)及びワインの種類を証明し、また当該ワインが当該外国政府の法律に従って生産されたものであることを証明する証明書がインボイスに添付されていなければ、保税地域から搬出することができない。

IV  国内でびん詰め又は容器詰め(pack)されるワインのラベル許可(subpart F (清酒にも適用される)

 ラベル許可証明(第4.50条)(清酒にも適用される)

(1)   ラベル許可証明書がTTBから発行されなければ、ワインをびん詰めしたり、容器詰めしたりしてはならない。

(2)  ワインのラベル許可証明の発行、拒否、取り消し及び例外証明の手続きは、第13章で定める。 

V ワイン容器に関する基準(subpart H(清酒にも適用される)

メートル表示での容器の基準(4.71条、第4.72条)

 次の容量の容器に詰められなければならない。

3リットル

1.5 リットル

1 リットル

750 ミリリットル

500 ミリリットル

375 ミリリットル

187 ミリリットル

100 ミリリットル

50 ミリリットル 

 

          

VI アメリカのブドウ品種名(subpart J

1 許可された品種名のリスト(第4.91条)

リストに掲載されたドウ品種は、長官によって、アメリカのワインの種類(タイプ)を指定するものとしての使用が許可された品種である(5)

2 ブドウ品種名の許可(第4.93条)

 関係のある者は、誰でも長官に対して品種の許可の申請ができる。申請は、次の証拠を示していなければならない。

(a)       新しいブドウ品種であること。

(b)       当該ブドウ品種を確認するための名前の有効性

(c)        当該ブドウ品種がワインの生産に使われているか又はその可能性があること。

(d)       当該ブドウ品種がアメリカで栽培され、使用されていること。


    アメリカブドウ栽培地域(AVA)(第9章)

I  AVAの申請(subpart B

1AVAの申請書の提出(第9.11条)

申請の手続き

新しいAVAの設定、区画の変更又はAVAの名前の変更のため、誰でも長官に対して申請できる。

2 AVA申請書の要求事項(第9.12条) 

  新しいAVAに関する申請書には、次のような証拠が含まれてい なければならない。

(1)  名前の証拠

(2)  名前の使用

(3)  名前の由来

(4)  区域の証拠

(5)  特別の性質

(a)  気候:温度、降雨量、風、霧など

(b)  土地:土地の形成、土地の形、地震、火山など

(c)   土壌:

(d)  物理的性質:平坦、丘、山岳、水源、灌漑など

(e)   標高:最高及び最低標高

 3 AVA規則作成の手続き(第9.13条及び第9.14条)

 TTBは、申請書類が妥当と認め、規則を作成しようとする場合は、申請されたAVAに関する意見を求めるため、公告しなければならない。

II 承認されたアメリカブドウ栽培地域 (subpart C)

  原産地呼称として使用するために承認されたブドウ栽培地域(AVA)は、次のようである(6)

  

地理的な意味を持つ外国の非ジェネリック名称(第12章)

I地理的な意味を持つ外国の非ジェネリックな名称(subpart C

 外国の国ごとの名称の例のリスト(第12.21条)(7)

                           

  (5)298の品種がリストに掲載されている。

(6)    約200のブドウ栽培地域についてその名前と区画が示されている。

(7)国ごとにこれらの名称が例示されている。

II 外国の特定ワインの識別できる非ジェネリック名称( subpart D

1識別できる外国の名称の承認手続き(第12.3条)

 長官は、識別できるワインの名称を承認することができる。申請書には、当該地理的な名称がアメリカの消費者に、また、貿易上、特定の場所又は地域の特定のワインとして知られている証拠が示されていなければならない。

国ごとに承認された名称のリスト(12.31条)(8)

                             

(8)承認された名称が国ごとに掲載されており、ドイツで「モーゼル」など23産地名、フランスで「コート・ロティ」など88産地名、イタリアで「ソアーベ」など16産地名、スペインで「リオハ」など3産地名、ポルトガルで「ポルト」など2産地名である。これらの産地名は本法律上アメリカ市場において保護される。

しかし、アメリカとEUとのワイン貿易に関する協定(最新のものは2006年協定)によって、アメリカはEU諸国の2000ほどのAOCの名称(地理的表示名称)を保護することを約束し、これに対しEUは、アメリカのAVA地域名、国、州及び郡の名前をEU市場で保護することを約束している。


「アメリカのワイン法、ワインの生産」に移る


トップページに戻る