アメリカのワイン法の概要(続き)
        本資料は「のびゆく農業」983号、農政調査員会に掲載されたものである。

ワインの製造(第
24章)

                                    宇都宮 仁 訳

I ワインの生産(subpart F

1 破砕及び発酵 (第24.176条)

(1)天然ワインの生産

破砕及び発酵の期間中、設備・装置の洗浄のため水を使うことができる。ただし、果汁の濃度をBrix22度を下回るようにしてはならない。果汁が既に22度未満の場合は、洗浄の目的の水の使用によりBrix度について1度を超えて引き下げてはならない。発酵の開始時において水、砂糖、濃縮果汁(同じ果実のもの)、マロラクティックバクテリア、酵母、酵母の栄養剤、殺菌剤澱下げ剤(precipitating agent,その他許可された物質以外を添加してはならない。酵母の復水に使用できる水は酵母1ポンドあたり最大2ガロンである。(省略)。復水した(rehydrate)酵母の添加による果汁の増加限度は0.5%である。発酵後同じ果実から得られた天然ワイン(9)はブレンドすることができる。

(2)生産されたワインの決定

発酵終了後、発酵槽からワインを移動する際、ワインの容量を正確に決定し、記録し、TTBに報告しなければならない。このとき発酵槽に残存しているワイン又は果汁についてもTTBに報告しなければならない。

2 補糖(Brix調整)(第24.177条)

  糖度が低い果汁から生産するブドウ天然ワインの場合、発酵の前あるいは途中で砂糖あるいはブドウ濃縮果汁を加えることができる。(フルーツワインについては省略)。添加された砂糖又は濃縮果汁は、もとの果汁の糖度をBrix25度を超えて引き上げてはならない。補糖の後、改良されたブドウワインの場合は、果汁に添加された砂糖の量は改良素材に含まれる。

                             

(9)天然ワインとは健全で熟したブドウ又はその他の果実によるワインで乾物重量が21%を超えていないもの。

3 改良(第24.178条)

(1)一般

 5g/Lを超える不揮発酸を含む果汁から天然ワインを醸造する場合、改良素材(水、砂糖、またはこれらの組み合わせ)を発酵の前、途中あるいは後に添加することにより、酸の水準を調整できる。果汁の酸の水準は発酵の前に(ブドウ果汁の場合は酒石酸換算で)計測され、果汁又はワイン1000 galsに対して20 galsの改良素材の添加は、酸を0.1g/L引き下げることになる。

(2)制限

  (a) 改良は、天然ワインが製造される保税工場においてのみ許可さ
れる。

 (b) 改良素材の添加によって、改良された果汁又はワインの酸の水準を5.0g/L未満にしてはならない。

(c) 果汁又はワインに添加される改良素材の量は、改良された果汁又はワインの総量の35%を超えてはならない。最初の酸の不揮発酸の水準が7.69 g/L以上の場合は、果汁又はワイン1000 galsに対して最高538.4 galsの改良素材を加えることができる。

4 甘味化(第24,179条)

(1)一般

 天然ワインの生産において、砂糖、果汁、同じ果実由来の濃縮果汁を発酵後にワインの甘味化のために使用しても良い。果汁または濃縮果汁を添加する場合は、最終製品の総乾物重量は重量で21%を超えてはならない。液糖や転化糖シロップを使用する場合は、砂糖の最大使用容量を超えてはならない。

(2)ブドウワイン

 ワイン生産者が製造する天然ワインにおいては、改良や発酵の後加えられる砂糖は、アルコール分が14%を超える場合は最終製品の総乾物重量17%を超えないようにしなければならない、アルコール分が14%以下の場合は21%を超えてはならない。

5 濃縮果汁及び非濃縮果汁の使用 (第24.180条)

 水で元の濃度に、又はBrix 22度に、あるいは元の濃度と22度の間に戻された濃縮果汁及び水で22度を下回らずに薄められた非濃縮果汁はワインの生産の目的に適合した果汁と認められる。水で薄めても22度を超えている濃縮果汁はさらに水を加えて元の濃度と22度の間にすることができる。生産者は、濃縮果汁を使用する前に、果汁の種類及び濃縮の前後の果汁の総乾物重量の証明(statement)を得なければならない。濃縮果汁はBrix80以上に濃縮されたものは使用できない。

6 砂糖の使用 (第24.181条)

  砂糖の使用の場合、容量としての増加は、砂糖13.5 ポンドに対して1ガロンとして計算される。

7 天然の酸不足の矯正のための酸の使用(第24.182条)

(1)一般

果汁又はワインの天然の酸の不足を補うため、第24.246条(使用が認められる物質の表)の制限の範囲内で酸を加えることができる。ただし、ブドウワインについては、pHを低下させるために酒石酸を使用する以外は改良されたワインあるいは果汁には酸を加えることができない。pHを低下させるために使用される酒石酸については、その添加量の限度を決定するため、添加前に酸の水準を計測しておかなければならない。また、改良されたワイン又は果汁のpHを低下させるために酒石酸を使用した場合、pH3.0未満に減じてはならない。

(2)ブドウワイン

酒石酸又はりんご酸若しくはそれらの酸を混合したものは、発酵の前又は途中で加えることができる。また、発酵が完了した後には、クエン酸、フマル酸、りんご酸、乳酸又は酒石酸若しくはこれらの酸の混合を天然の酸の不足を矯正するために加えることができる。ただし、これらの酸の添加によって最終ワインの不揮発酸の水準が9.0g/Lを超えてはならない(酒石酸換算)。ワイン100mL当たり総乾物重量が8g以上である場合は、最終ワインの酸が11.0g/Lまで(酒石酸換算)酸を添加することができる。

II  発泡ワインの生産(subpart H

     (略)

III  ワインの保存、処理、仕上げ(subpart L(清酒にも適用される)

1 濾過助剤(filtering aids)の使用(第24.243条)

   不活性繊維、パルプ、土又は同じような物質は、ワインのセラー処理又は仕上げにおいて濾過助剤として使用できる。寒天、カラギーナン、セルロース及び珪藻土は、濾過助剤あるいは清澄助剤としてよく使われる。一般的には、不活性な素材の使用については制限がない。また、使用に関する記録の義務もない。しかし、不活性素材がワインに添加される前に水に溶いてある場合は、第24.301条によって記録が義務付けられる。

 濾過助剤が活性化学材料を含む場合又はワインの性質を変える場合は、第24.246条(使用できる物質の表)に従ってのみ使用できる。

2 酸によるワインの安定化

  柑橘ワイン以外では、不揮発酸の量にかかわらず、ワインの安定化のために第24.246条の限度内で安定化のためクエン酸を使用できる。フマル酸の添加も安定化の目的で行うことができる。

3 スティルワインの炭酸ガスの使用(第24.245条)

  蔵出し時点でワイン100mL当たりに含まれる炭酸ガスが0.392g以下であれば、スティルワインに炭酸ガスを加えることができる。誤差の範囲は100mL当たり0.009gである。生産者は決められた試験方法を用いて炭酸ガスの量を測らなければならない。スティルワインを発泡ワイン又は発泡ワインの代用として表示したり、宣伝したりした場合には罰則が適用される。

4 ワイン及び果汁の処理のため使用が許可される物質(第 24.246条)

 本条に掲載された物質は、ワインの製造、セラー処理及び仕上げにおいて適正商用基準に合致しているものとして本条に示された限度内で、次の条件に従い、その使用が許可される。

(1)FDAによって特定の使用又は限度が認められない場合、TTBは、その使用許可を停止又は、改正することができる。

 (2)溶解や分散(dispersal)を促進するため水が加えられる 場合、加えられる水の量は、処理されるワイン、果汁又はワイ ン及び果汁の1%を超えてはならない。

物質及び使用目的

 

使用及び限度

 

アカシア(アラビアガム):

清澄及び安定

使用量は2lbs/100gals (0.24g/L)を超えてはならない。

21CFR 184.1330 (GRAS)

アセトアルデヒド:

濃縮以前の果汁の色の安定

使用量は300ppmを超えてはならず、最終濃縮果汁において検出しないレベルでなければならない。

21 CFR 182.60 (GRAS)

活性炭素:

 

 発酵中の沈降 (precipitation) 補助

27CFR 24.176. GRAS, FDAの勧告的意見

清澄及び精製 (purify)

これらの目的のために使用される量は色を減ずるために使用される活性炭素の総量に含まれなければならない。この量を超える場合は27CFR 24.241 and 24.242 (GRAS) により届出が必要

    ワイン又はワイン用の果汁の色の除去

この目的のために使用する量は25lbs/1000gal (3.0g/L) を超えてはならない。27CFR 24.242 (GRAS)

アルブミン(卵白):

ワインの清澄

1oz. (28.35g) 塩化カリウム、2lbs (907.2g) 卵白、水1gal. (3.785L) の薄い塩溶液として調整する。使用量は、y容量ワイン1000galに対して1.5galを超えてはならない。(GRAS)

アルミノケイ酸塩(水和物)たとえばベントナイト、カオリン

ワイン又は果汁の清澄又は安定

21CFR 182.2727, 182.2729,

184.1155 (GRAS) and 186.1256.

FDAの勧告的意見

リン酸アンモニウム(1塩基、2塩基):

ワイン生産の酵母の栄養及びスパークリングワインの二次発酵の開始

使用される量は8lbs/100gals (0.96g/L) を超えてはならない。

21CFR 184.1141 (GRAS)

アスコルビン酸、イソアスコルビン酸(エリソルビン酸):

果汁及びワインの色素及び香りの酸化防止

ブドウやその他の果実のワインの生産において、ワイン又は果汁に添加することができる。その場合ワインの分類や種類が変更するようなことがあってはならない。

21CFR 182.3013 and 182.3041 (GRAS)

炭酸カルシウム(酒石酸及びリンゴ酸のカルシウム塩を伴っても伴わなくともよい)

 

 

 

  ワインの及び発酵中又は発酵前の果汁の過度の天然の酸の除去

天然の又は不揮発酸は、5g/Lを下回って減じてはならない。21CFR 184.1069 and 184.1099, and 184.1191 (GRAS)

  低温安定

使用される量は30lbs/100gals (3.59g/L) を超えてはならない。

パントテン酸カルシウム:

りんごワインの発酵を促進するための酵母の栄養  

使用量は0.1lb/25000galを超えてはならない。21CFR 184.1212 (GRAS)

 

硫酸カルシウム(石膏):

シェリーワインのpHの低下

最終ワインの硫酸イオンの含有量は2.0g/L (硫酸カリウム換算)を超えてはならない。27 CFR 24.214, 21CFR 184.1230 (GRAS)

二酸化炭素(食品用ドライアイスを含む)

ワインの安定及び保存

27 CFR 24.245

21 CFR 184.1240 (GRAS)

カゼインカゼインのカリウム塩

ワインの清澄

FDAの意見によるGRAS

27 CFR 24.243

クエン酸:

 

 

 

   ワインの天然の酸の不足の修正

27 CFR 24.182 and 24.192

21CFR 182.1033 (GRAS)

      かんきつワイン以外のワインの安定化

使用される量は5.8lbs/1000gals (0.7g/L) を超えてはならない。27 CFR 24.244. 21 CFR 182.1033 (GRAS)

硫酸銅:

ワインの硫化水素及び又はメルカプタンの除去

使用される量は(銅換算で)6ppm (6.0mg/L) を超えてはならない。最終ワインにおける残存量は0.5 ppm (0.5mg/L) を超えてはならない。

21 CFR 184.1261 (GRAS)

消泡剤

polyoxyethylene 40 mono stealate,

 silicon dioxide,

dimethylpolysiloxane,

sorbitan monostearate,

glyceryl mono-oleate and glyceryl dioleate):

泡のコントロール、発酵補助剤

100%活性の消泡剤はその使用量が0.15lbs/1000gals (0.018g/L) を超えてはならず、30%活性の消泡剤は0.5lbs/1000 gals (0.06g/L) を超えてはならない。二酸化ケイ素は濾過によって完全に除去されなければならない。ワインに残存するケイ素は10 ppmを超えてはならない。

21 CFR 173.340 and 184.1505

二炭酸ジメチル:

ワイン、アルコール抜きワイン及び低

アルコールワインの殺菌及び安定化

果汁は21 CFR 172.133の条件を満たしていなければならない。DMDCは合計量で200ppmを超えてはならない。

酵素活性:

以下に示す様々な用途に使用する

酵素の調整は、非毒性及び非病原性微生物から適正製造基準に従っており、また、食品への使用がFDAの規制又は勧告意見によって認められたものでなければならない。

  カルボヒドラーゼ(アルファ-アミラーゼ):

  澱粉を発酵可能な炭水化物とする

 

アミラーゼは、FDAの勧告意見に従ったAspergillus niger, Aspergillus oryzae, Bacillus subtilis, 又は大麦の麦芽によらなければならない。

又は21CFR 173.130によるRhizopus oryzae,又は21 CFR 184.1027によるBacillus licheniformisによるものでなければならない。

  カルボヒドラーゼ(ベータ-アミラーゼ):

  澱粉を発酵可能な炭水化物とする

アミラーゼは、FDAの勧告意見に従い、大麦の麦芽によるものでなければならない。

  カルボヒドラーゼ(グルコアミラーゼ、アミログルコシダーゼ)

   澱粉を発酵可能な炭水化物とする

アミラーゼは、FDAの勧告意見に従い, Aspergillus niger, 21 CFR173.130に従いRhizopus oryzae 又は21 CFR 173.110に従いRhizopus niveusによらなければならない。

カルボヒドラーゼ(ペクチナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ):

果実からの果汁の分離促進

酵素はFDAの勧告意見により

Aspergillus aculeatusによらなければならない。

カタラーゼ:

ワインの清澄及び安定

酵素はFDAの勧告意見により

Aspergillus niger 又は牛の肝臓によらなければならない (GRAS)。

 

セルラーゼ:

ワインの清澄及び安定、果実からの果汁の分離促進

酵素はFDAの勧告意見により

Aspergillus niger によらなければ

ならない (GRAS)。

セルラーゼ(ベータ-グルカナーゼ):

ワインの清澄及び濾過

酵素はTricoderma longibrachiatumに、よらなければならない。使用量は3g/hlを超えてはならない。

21 CFR 184.1250 (GRAS)

グルコースオキシダーゼ:

ワインの清澄及び安定

酵素はFDAの勧告意見により

Aspergillus niger によらなければならない(GRAS)。

リゾチーム:

マロラクティックバクテリアによる劣化からの安定

使用量は500mg/Lを超えてはならない。FDAの勧告意見

 

ペクチナーゼ:

ワインの清澄及び安定、果実からの果汁の分離促進

酵素はFDAの勧告意見により

Aspergillus niger によらなければ

ならない(GRAS)。

プロテアーゼ (general)

熱不安定性タンパクの削減又は除去

酵素はFDAの勧告意見に従い、

Aspergillus niger 又はBacillus subtilisによらなければならない。又はBacillus incheniformisによらなければならない。

21 CFR 184.1027(GRAS)

プロテアーゼ(ブロメリン):

熱不安定性タンパクの削減又は除去

酵素はFDAの勧告意見に従い、Ananus comosus又はAnanus bracteatus (L) によらなければならない。 (GRAS

プロテアーゼ(フィシン):

熱不安定性タンパクの削減又は除去

酵素はFDAの勧告意見に従い,Ficus sppによらなければならない。(GRAS

プロテアーゼ(パパイン):

熱不安定性タンパクの削減又は除去

酵素はCarica papaya (L) によらなければならない。

21 CFR 184.1585 (GRAS)

プロテアーゼ(ペプシン):

熱不安定性タンパクの削減又は除去

酵素はFDAの勧告意見に従い、

豚又は牛の胃によるものでなければならない。(GRAS

プロテアーゼ(トリプシン):

熱不安定性タンパクの削減又は除去

酵素はFDAの勧告意見に従い,

豚又は牛のすい臓によるものでなければならない。(GRAS

ウレアーゼ:

カルバミン酸エチルの生成を防止するため ワインに自然に発生する尿素の削減

 

酵素はLactobacillus fermentumによらなければならない。21 CFR 184.1924

使用の量は200mg/Lを超えてはならず、ワインの最終びん詰めの前に濾過されなければならない。

エチルマルトール:

ワインの安定化

 

Vitis viniferaの天然ワインの場合を除き、使用の最高限度は、100mg/Lである。

FDAの勧告意見による。

フェロシアン化化合物:

ワインからの微量金属の除去及び硫化物及びメルカプタンの好ましくない含有水準の除去

最終ワインにおいて1 ppmを超える

残留があってはならない。また、ワインの基本的性質が変化してはならない。GRAS, FDAの勧告意見 

硫酸第一鉄:

ワインの清澄と安定化

使用される量は3ozs/1000gals (0.022g/L)

を超えてはならない。

21CFR184.1315 (GRAS)

フマル酸:

ブドウワインの天然の酸不足の矯正

最終ワインにおけるフマル酸の量は25lbs/1000gals (3.0g/L) を超えてはならない。

27 CFR 24.182. 21 CFR 172.350

ワインの安定

最終ワインにおけるフマル酸の量は25lbs/1000gals (3.0g/L) を超えてはならない。

27 CFR 24.244. 21 CFR 172.350

ゼラチン(食品規格):

果汁又はワインの清澄 

(GRAS)

 

粒状コルク:

ワインを滑らかにする

使用量は10lbs/1000 galsを超えてはならない。GRAS FDAの勧告意見

アイシングラス:

ワインの清澄

(GRAS) FDAの勧告意見

 

乳酸:

ブドウワインの天然の酸不足の矯正

27 CFR 24.182 and 24.192

21 CFR 184.1061 (GRAS)

りんご酸:

果汁又はワインの天然の酸不足の矯正

27 CFR 24.182 and 24.192

21 CFR 184.1069 (GRAS)

マロラクティックバクテリア:

ブドウワインの安定

Leuconostoc oenos タイプのマロラクティックバクテリアを使用することができる。GRAS FDAの勧告意見

マルトール:

ワインの安定

Vitis viniferaのブドウから醸造される天然ワインを除き、ワインに認められる最高水準は250mg/Lである。FDAの勧告意見

ミルク製品(殺菌全乳、スキムミルク、又は half and half

 

     ブドウワイン又はシェリーの精製用

使用されるミルク製品の量はワイン1000Lに対して2.0L (0.2% V/V) を超えてはならない。

   ワインのオフフレーバーの除去

使用されるミルク製品の量はワイン1000Lに対して10L (1% V/V) を超えてはならない。

窒素ガス:

ワインの濾過中又はびん詰中の圧力の維持、及びワインの酸化防止

21 CFR 184.1540 (GRAS)

 

オークチップ又は断片、炭化させてないもの、処理していないもの:

ワインを滑らかにする

21 CFR 172.510

酸素及び圧搾空気:

 

  果汁及びワインに使用可能

制限なし

PVPP (ポリビニルポリピロリドン)

ワインの清澄と安定化及び

赤ワイン又は黒果汁の色素の除去

ワイン及びワイン用果汁に使用される量は、60lbs/1000gals (7.19g/L)を超えてはならず、濾過によって除去されなければならない。PVPPは、連続式でもバッチ式でも使用できる。最終のワインはワイン色の性質を維持していなければならず、1.5インチセルで0.6 Lovibond以上の色素、又は、AOAC11.003-11.004による95%以下の透過率でなければならない。

21 CFR 173.50

酒石酸水素カリウム:

ブドウワインの安定

使用量は35lbs/1000gals (4.19g/L)を超えてはならない。

21 CFR 184.1077 (GRAS)

炭酸カリウム及び又は重炭酸カリウム:

発酵前又は発酵中のワイン及び果汁の過剰な酸の削減

酸は1000分の5 (5g/L)を下回って削減されてはならない。

21 CFR 184.1077 (GRAS)

クエン酸カリウム:

かんきつワインのpHコントロール及び金属イオン封鎖

クエン酸カリウムの合計は25lbs/1000gal (3.0g/L)を超えてはならない。

27 CFR 24.182. 21 CFR 182.1625 and 182.6625 (GRAS)

メタ重亜硫酸水素カリウム

ワインの殺菌及び保存

最終ワインにおける二酸化硫黄の含有量は27 CFR 4.22 (350ppm). 21 CFR 182.3637 (GRAS) の制限を超えてはならない。

シリカゲル(コロイド状二酸化ケイ素):

ワイン又は果汁の清澄

使用量は、ワイン1000galsに対して30%濃度のシリカゲル20lbs 相当量を超えてはならない (2.4g/L) 。シリカゲルは、濾過により完全に除去されなければならない。21 CFR 172.480

ソルビン酸及びソルビン酸カリウム塩:

ワインの殺菌及び保存、黴防止及び二次発酵防止

最終ワインにおいて300mg/Lを超えるソルビン酸を含んではならない。

21 CFR 182.3089 and 182.3640 (GRAS)

大豆粉(脱脂):

ワインの発酵促進のための酵母の栄養

使用量は2lbs/1000gals (0.24g/L) を超えてはならない。 (GRAS)

二酸化硫黄:

ワインの殺菌及び保存

 

最終ワインにおける二酸化硫黄の量は

21 CFR4.22 (b) (1), 21 CFR182.3862 (GRAS) に定められた限度を超えてはならない。

タンニン:

 

りんご果汁又はりんごワインのタンニン調製

果汁及びワイン(りんごを除く)のタンニン調整

 

タンニンの残存量は、没食子酸換算で白ワインについては0.8g/L、赤ワインについては3.0g/Lを超えてはならない。色に影響を与えないタンニンしか使用することができない。

GRAS FDAの勧告意見による。

総タンニンは、タンニン酸 (poly-galloylglucose) の添加によって150mg/Lを超えて増加してはならない。

酒石酸:

ブドウの果汁又はワインの天然の酸の不足の矯正、また、ワインの改良のための材料が使用された場合のpHの低下

27 CFR 24.182 及び24.192. 21 CFR 184.1099 (GRAS) に従った使用

チアミン塩酸塩:

ワインの発酵促進のための酵母の栄養

使用量は0.005lbs/1000gals (0.6mg/L) を超えてはならない。

21 CFR 184.1875 (GRAS)

自己消化酵母:

ブドウワイン又はフルーツワインの

発酵促進

21 CFR 172.896 and 184.1983  GRAS

FDAの勧告意見

酵母、自己消化酵母の細胞壁・膜:

果汁又はワインの発酵促進

使用される量は3lbs/1000gals (0.36g/L)を超えてはならない。(GRAS)

   「GRAS」とは、一般的に安全と認められる添加物(generally recognized as safe)の略である。GRAS物質は、21 CFR Part 182又は Part 184に掲載されているものか、FDAが勧告意見によって一般に安全と認めたものである。

5 ワイン、果汁及び蒸留素材の処理のために許可される方法(第24.248条)

本条に掲載された方法は、本条の制限の範囲内においてワインの製造、セラー処理、仕上げにおいて適正商用基準に合致しているものとして許可される。

ただし、方法の特定の使用や限度がFDAによって認められないとされた場合は、TTBはその方法の使用の許可を停止し、又は改正することができる。

 方法

使用

摘要及び限度 

電気透析

酒石酸の除去促進

ワインの本来の性質を変えてはならない。  

物理的な方法による二酸化硫黄の除去

果汁に含まれる二酸化硫黄の削減

果汁の基本的性質を変えてはならない。

イオン交換

 

 

果汁及びワインの処理における各種の利用

果汁及び最終ワインに対して陽イオン、陰イオン及び非イオン交換樹脂をバッチ法又は連続のカラム法によって使用できる。

 

 

1. 果汁又はワインの性質を変えてはならない。

 

 

2. 果汁又はワインに通常に含まれる程度を下回って色を減ずることはできない。

 

 

 

 

3. 無機陰イオンを10mg/Lを超えて増加させてはならない。

 

 

4. 金属陽イオンを300mg/Lを下回って減じてはならない。

 

 

 

 

 

 

5. ブドウワインの天然の酸または不揮発酸が、赤ワインについては4g/L, 白ワインについては2.5g/L, その他のブドウワインについては4g/Lを下回ってはならない。

 

 

6. 果汁又はワインのpHについて、pH2.8を下回って減じてはならない。またpH4.5を超えて増加させてはならない。

 

 

7. 樹脂について(省略)

金属削減マトリックス・シート法

ワインにおける銅や鉄などの金属の削減

(1)    (1) 活性材料、ポリビニルイミダゾールはシートの重量の40 %を超えてはならない。

(2) ワインの色を有意に変えてはならない。

ナノ濾過

 

ワインの揮発酸の削減

(イオン交換と共に行われる)

膜圧力250psi 以下の条件で、選択的に分子量150以下の分子を透過させる膜を使用しなければならない。

浸透(Osmotic transport)

 

アルコールの削減

(1) ワインの性質を変えてはならない。

(2) 除去した溶液がワインに移動してはならない。

逆浸透(Reverse osmosis)

ワインのエチルアルコールの削減、及びワインのオフフレーバーの除去

膜圧力200 psi 以上の条件で、選択的に分子量500以下の分子を透過させる膜を使用しなければならない。この処理の際、水を添加すると基準外ワインと表示しなければならない。ワインの本来の性質を変えてはならない。

気液接触分離

(Spinning cone column)

ワインのエチルアルコールの削減、及びワインの臭いの除去

ワインの本来の性質を変えてはならない。

二酸化硫黄削減マトリックス・シート法

ワインの二酸化硫黄の削減

(1) 活性素材、ポリビニルイミダゾールはシートの重量の40%を超えていてはならない。

(2) ワインの色を大幅に変えてはならない。

温度勾配法

(Thermal gradient processing

ワインを低アルコールワインと高アルコールワインに分離

この処理によってワインの本来の性質を変えてはならない。高アルコールワインはアルコール分24volを超えるようにしてはならない。この処理の際に水を加えると規格外のワインとなる。

果汁を低Brixのものと高Brixのものに分離

この処理による低いBrixの果汁はワインの生産に使用できる。Brixの高い果汁はワイン生産に使用するために水によって希釈されてはならない。

減圧下での薄膜蒸発

 

ワインを低アルコールのものと高アルコールのものとに分離

ワインの本来の性質を変えてはならない。アルコールとともに分離された水は閉鎖系の中で還流によって回収しワインに戻すことができる。処理の前にワインにもとから含まれている水以外の水を加えると規格外のワインとなる。

限外濾過

(Ultrafiltration)

 

たんぱく質の除去。

白ブドウの皮からの強いタンニンの白ワインからの削減。ブラン・ド・ノワールワインからのピンクの色の除去。

ブレンドの目的で赤ワインを色の濃いものと浅いものとに分離。

膜圧力が200 psi未満の条件で分子量が5002500未満の分子を選択的に透過させる膜。ワインの本来の性質を変えてはならない。21CFR 175.300, 177.1520, 177.1550, 

177.1630, 177.2440, 177.2600, 177.2910

IV  記録及び報告(subpart O(清酒にも適用される)

1 一般(第24.300条)

(1)  ワインの事業を行っている企業の所有者は、取引の記録をつけ、本章にしたがって報告しなければならない。

(2)  記録及び報告は、記録を付けた日から3年以上所有者によって保存されなければならない。

(3)保税工場でワインの事業を行っている企業の所有者は、記録を完成させ、TTBに月別、4半期別及び年次報告をしなければならない。

  2 バルクスティルワインの記録 (第24.301条)

 スティルワインを保税工場で生産し又は受け取る企業の所有者は、バルクのスティルワインの取引の記録をつけなければならない。

(1)  実測による発酵させたワインの生産量

(2)  移入量、課税移出量、輸出・自家用(10)・分析などに使用した量、スパークリングワインに使用した量

(3)  製造方法のタイプ、例えば、発酵、改良、甘味化、スピリッツの添加、ブレンド

(4)  改良、甘味化やスピリッツの添加に使用したワインと製成したワインの量

(5)  異なる課税区分のワインをブレンドした際に、使用したワインと製成したワインの量

(6)  製法ワイン、酢・蒸留原料として使用した量

(7)  発酵槽から再発酵、蒸留装置又は酢製造装置に移動した量

(8)  24.248条でいう処理を行う際に、制限事項に従っていることや、適正商用基準に準拠していることがわかる記録

(9)  このパートで認めた添加物を水に溶解又は分散して使用する場合のワインに加える水の量

(10)通常ではない処理の記録

(11)省略

3 発泡ワインの記録 (第24.302条)

  スパークリングワイン又は人工炭酸ガス添加ワインを保税工場で生産し、又は受け取る企業の所有者は取引の日付及び生産、受け取り、貯蔵、保税工場からの引出し及び生じたロスの詳細を示す記録を付けなければならない。記録は、使用された生産の方法ごとに(バルク又はびん内発酵、人工炭酸ガス添加)行わなければならない。

4 補糖及び改良の記録(第24.304条)

 果汁の補糖又は果汁の改良あるいはその両方を行った企業の所有者は、製造及び取引を行った日付の記録をつけなければならない。記録の様式は定めないが、TTBの職員が補糖及び改良に関する規制に合致しているか容易に判別できるために必要な情報が含まれていなければならない。量はすべて記録され、砂糖がどこで使われたかを記録しなければならない。

5 甘味化(sweetening)の記録(第24.305条)

 ワインを砂糖又は果汁で甘味化を行った企業の所有者は、処理を行った日付ごとに甘味化の記録を付けなければならない。

6 びん詰又は容器詰めの記録 (第24.308条)

 保税工場でびん詰、容器詰めを行い、又はびん詰あるいは容器詰めワインを受け取った企業の所有者は、税の種類ごとに次の記録を付けなければならない。

(1)日付、ワインの分類、びんのサイズと数、びん詰あるいは容器詰めされたワインの量、保税工場から引き出したワインの量等

(2)  びん又は容器に使われたラベル

(3)  ワインのロットごとの第24.255条で求められるびん詰及びアルコール試験(11) 

                           

(10)自らが消費する目的で、範囲内において無税で醸造することが認められている。
(11)以上のほか、在庫、砂糖、酸、炭酸ガスなどに関する記録義務が規定されている。

 

参考文献

・連邦アルコール管理法

Title 27 CFR(2011年4月19日時点もの)

米国における酒類輸入関連制度

http://www.nta.go.jp/shiraberu/senmonjoho/sake/yushutsu/02_pdf/01.pdf#search='アメリカアルコール管理法'

アメリカへのアルコール飲料(ワイン及び清酒)の輸出の手順については、このサイトに紹介されている。

本資料を利用するに当たっての注意事項

(1)    本資料は、酒類(ワイン、蒸留酒、ビール)を対象としたアメリカ連邦法細則である連邦規則コードのTitle 27のうちワインに関する規則を抽出して概要を訳したものである。

(2)    また、ワインの中でもブドウによるワインに関する規則を重点的に訳している。しかし、清酒も「その他農産物ワイン」に分類されており、訳出された規則の多くの部分は清酒にも適用されるものである。清酒に適用される条文かどうかは原則として条文等の頭に記入してある。

(3)    Title 27 CFRは膨大な法令であり、ワインに関連する条文すべてを訳しておらず、また条文を訳しても全訳でなく、概略である。タイトル等の番号も条文の原文そのままでないこともある。また、意味を分かりやすくするため多少の意訳もしてある。

(4) 脚注は訳者の注である。

                                  

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